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交響曲第4番ニ短調 作品120


概要

型崩れと無駄のない構成

 シューマンと言うと,どうしてもピアノ曲作家のイメージが強いが,交響曲やチェロ協奏曲などでも立派なものも作っている。もっとも,それらの作品においてもピアノ作家らしい印象は残っている。
 シューマンの交響曲は全部で4曲が発見されているが,番号は作曲順ではなく発表順である。この曲は,シューマンの若い頃に幻想曲として作曲されたが,晩年に書き直されて交響曲第4番となった。そのため,交響曲第4番と言っても,作曲された順番では2番目のものであり,大胆な構成に若々しさが感じられる曲である。また晩年に手を入れられたせいか,管弦楽の響きも他の3つの交響曲より洗練されているように思える。

 この交響曲はすべての楽章が連続して演奏される。それぞれの楽章も,部分的に省略されたり,ちゃんと終止しなかったり,主題を使い回されたりで完全な形を保っていない。それだけに,全体が1つの楽章のようにも見え,他の交響曲にない緊密さが感じられる。まさに無駄のない構成だといえよう。また,初版ではギターが使われていたとの事であるが,残念ながらギター入りの演奏を聞いたことはない。
 なお,この曲はほとんどの速度標語がドイツ語で書かれている。これは,ベートーヴェンの後期の曲やシューマンの曲によく見られるものである。そして,この曲はシューマンの交響曲の中では唯一短調のものである。

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