この曲は,106曲にわたるハイドンの交響曲の最後の交響曲である。この曲には,あまり目立つ旋律や特徴がないせいか,国内ではあまり有名になっていない。しかし,私はこの曲こそがハイドンの最高傑作であると思う。
特にこの曲の第1楽章の構成美は,ハイドンの交響曲の中でも抜きんでており,注意して聴くと奥深さが感じられる。これまでのハイドンの快速で元気な第1楽章とは一味違い,ベートーヴェン並のロマン性を感じさせるところもある。
この曲に付けられた「ロンドン」という題名は,ハイドンの与り知るものではない。ザロモン・セットがいずれもロンドンで初演された為に,ロンドン・セットと呼ばれることもあり,それを記念して付けられたとか,この曲のあまりに堂々とした内容が,さながら大ロンドンを思わせるとかの説がある。