クラシック音楽館 :: ドヴォルザーク :: 交響曲

交響曲第9番ホ短調「新世界より」作品95


概要

親しみやすい旋律の交響曲

 ドヴォルザークの交響曲の中でも抜きん出て有名なのがこの「新世界より」であるが,あまりに有名な第2楽章の陰に隠れて,他の楽章が軽んじられていないだろうか。確かに第2楽章の主題 [♪] は美しく,ロマンチックである。しかし,第1楽章はブラームス譲りの高度な展開技術を見せるし,第3楽章なども聴きどころが多い。有名になりすぎたがゆえ,優れているにもかかわらず隠れてしまう部分ができてしまったのは,ベートーヴェンの「第9」と共通の点ではないだろうか。

 なお,ホ短調という調性はベートーヴェン以来の交響曲にはあまり使用されてこなかったが,ブラームスが交響曲第4番で採用して以来,チャイコフスキー交響曲第5番,そしてこのドヴォルザークの交響曲第9番と続いている。三者はいずれもドイツロマン派(あるいは新古典派)風に作曲され,第4楽章がホ長調ではなくホ短調で書かれているなどの共通点もあり,新古典派ホ短調交響曲御三家とも言われている(かもしれない)。

論争の的

 とても有名なこの曲であるが,過去にはしばしば論争の的にされている。たとえばこの曲の初演当時に起きた議論が,この曲がアメリカの曲であるか,ボヘミアの曲であるかということである。旋律にアメリカの先住民のものや黒人霊歌などが多く取り入れられているといわれ,この曲がアメリカを題材としたラプソディであるという評価が起きた事があるのである。
 ドヴォルザーク自身はこれを否定し,ボヘミアの心をアメリカの歌で歌ったまでだという曖昧な発言を残している。しかし今になって聴き直してみると,第1楽章の一部分にそういった旋律が使用されている他は,特にアメリカらしい旋律が多いわけでもないようにも思える。

聴きどころ

ひとめぐり

おすすめ名盤

談話室

聴いてみよう