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交響曲第1番ハ長調 作品21


概要

1番とは言っても……

 ベートーヴェンの記念すべき交響曲第1番である。1番とは言っても,ベートーヴェンが30歳になってから作曲されたもので,内容を見ても既にベートーヴェンらしい香りが強い曲になっている。内容の濃さ,オーケストレーションの見事さは,既にハイドンやモーツァルトといった先人を凌駕しているといえよう。特にオーケストレーションについては,当時にしては珍しく,木管楽器や金管楽器を弦楽器並に活躍させており,ピアニスト出身のベートーヴェンにしてはよく出来すぎているといえる。
 この曲は,第1楽章の第一主題がモーツァルトの第41番「ジュピター」に,第2楽章の第二主題が同第40番に似ているといわれている。確かに少し似ている面もあるが,ベートーヴェン自身がこれを意識して作ったのかどうかは分からない。しかし少なくとも,主題の扱いかたについては,ベートーヴェンの方が一枚上手だったようである。

爽やかな聞き心地

 ある曲をある言葉で表現すると,どうしてもその言葉に引きずられた先入観を持ちがちになってしまうので,曲を言葉で表現するのは,私はあまり好きではない。しかし,この曲をあえて言葉で喩えてみると,『朝日のような爽やかな交響曲』という感じになるのではないだろうか。私も初めてこの曲を聞いた時からそのような印象を持っているし,こういう印象を抱く人も多いのではないかと思う。

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