韓国上場企業の上期業績、悪化
証券先物取引所と韓国上場企業協議会が19日にまとめたところによると、有価証券市場(メーンボードに相当)に上場した12月決算法人621社のうち、
前年と業績比較が可能な579社(製造業567社、金融業12社)の上期の売上高は440兆2627億ウォン(約45兆8300億円)、
営業利益は39兆2894億ウォン(約4兆900億円)といずれも前年同期比23.9%増加したが、
最終利益は同1.01%増の30兆3420億ウォン(約3兆1600億円)にとどまった。
証券先物取引所の分析によると、売上高と営業利益が大幅に増加したにもかかわらず、最終利益が伸び悩んだのは、
上期に原油価格が急騰した上、ウォン相場が下落し、企業が多額の為替差損を計上したことが理由だ。
一部企業は銀行とのデリバティブ契約で巨額の営業外損失を出した。
上期の製造業上場企業の売上高営業利益率は8.09%だった。
売り上げ1000ウォン(約104円)に対し、81ウォン(8円)の利益が上がることを示している。
前年同期より1.22ポイント改善したが、それが最終利益の増加には全くつながらなかった。
為替差損とデリバティブ商品の損失で企業の財務健全性が低下した。
予想外の損失で製造業の負債比率は前年同期より9.51ポイント高い90.51%を記録した。
店頭市場コスダックの上場企業は、為替差損とデリバティブ商品による悪影響がさらに大きかった。
コスダック上場の12月決算企業897社は前年同期に比べ、売上高が17.7%、営業利益が25.4%増加したが、最終利益は78.4%も減少した。
本業で稼ぎ出した利益のほとんどが営業外損失で消えたことになる。
特にコスダック上場企業は4−6月期に2600億ウォン(約270億円)の赤字を出した。
韓進、錦湖アシアナ、SK、ロッテは減益となった。
韓進グループは上期の最終損益が5391億ウォン(約565億円)の赤字となり、前年同期(631億ウォン=約66億円)に比べ赤字幅が大幅に拡大した。
崔洽(チェ・フプ)記者
まず外部では、日本企業を中心とする「打倒サムスン」の雰囲気が強まっている。
数年前にサムスンと組んで蜜月関係にあったソニーは、最近3800億円を投じてシャープと合弁で第10世代液晶パネル工場を大阪に建設することを決めた。
世界3位の半導体メーカーである東芝は、富士通と資本提携を結んで次世代半導体開発に乗り出すことにした。
次世代ディスプレーとして脚光を浴びている有機発光ダイオード(OLED)分野では、
ソニー、シャープ、東芝、パナソニックなどの日本企業が政府と協力して共同の技術開発に乗り出し、
サムスン電子に照準を合わせている。
いわゆる産・産協力を通じてサムスンを捕らえようとする「日の丸構想」が具体化しているのだ。
昨年8月にはシャープが米国テキサス州の裁判所にサムスン電子を相手取って、
「サムスンがシャープの液晶特許技術を侵害した」として製品の販売中止と損害賠償を請求する訴訟を起こした。
その後両社の間で、米国や東京、ソウルなどで7件の特許審判が1年以上続いているのも、サムスンにとっては負担だ。
現在のところ、これらの争いは1件も解決していない。
ある業界関係者は「裁判所がシャープの主張を受け入れた場合、
サムスン電子には数百億ドル(百億ドル=約1兆500億円)の賠償支払い義務が生じるだけでなく、
898億ドル(約9兆4000億円)に達する世界の液晶市場での主導権を失うことになる」と述べた。
これら外憂だけではない。サムスンは業績悪化や新製品開発の不振などで内部的にも苦
戦している。
半導体や液晶などの主力製品が同時に不振に陥っており、「エニーコール神話」
を打ち立てた携帯電話も、中国やインドなどの新興市場でノキアなどのライバルに押され気
味だ。今年5月半ばごろに76万ウォン(約7万1600円)だったサムスン電子の株価は現在、50
万ウォン(約4万7000円)台中ごろにまで落ち込み、わずか4カ月で20万ウォン(約1万9000円)
ほど値を下げている。
英国の市場調査専門機関ミルワード・ブラウン・オプティマーが最近サムスンのブランド価
値を昨年の127億ドル(約1兆3300億円)=44位=から、14ランクダウンの118億ドル(約1兆
2400億円)=58位=とするなど、サムスンの価値を下方修正している。
またサムスン首脳部 は米国のメモリーカードメーカーであるサンディスクの買収を検討するなど、危機から抜け
出すためにさまざまな手を尽くしているが、これといった突破口を見いだせていないのが実状だ。
サムスンのある関係者は「李健熙(イ・ゴンヒ)会長の突然の辞任でリーダーシップに空白
が生じている上に、新しい成長エンジンの発掘もうまく行かず、これまでにない危機的状況に
ある。
今の状況を打開できるだけの強い求心力やチャレンジ精神が失われているのが問題
だ」と指摘した。
産業部=宋義達(ソン・ウィダル)次長待遇
◆連鎖的に広がる資金難説
今年上期から浮上した流動性危機説は、ハイニックス半導体、錦湖アシアナ・グループ、STX、斗山グループなど大企業の株価を一斉に押し下げた。
今月に入り、コーロン、東部、SK、LSなどの企業グループにも影響が拡大し、株価下落は業績や業種を問わない状況となっている。
ハイニックス半導体の株価は6月に転換社債の発行を検討するとの情報が伝えられたことがきっかけで急落し、
先月国内で5000億ウォン(約480億円)規模の転換社債を発行すると発表されたことでさらに下落した。
錦湖グループは7月、大宇建設と錦湖タイヤのプットオプション行使とグループの業績悪化見通しで危機説に巻き込まれた。
8月29日には斗山グループが昨年末に51億ドルで買収した米建設機械ブランド「ボブキャット」の買収資金に関連して、株価が下落した。
9月1日には建設景気の悪化見通しからコーロン・グループの株価が2日連続ストップ安を記録した。
◆錦湖「風説に積極対応」
錦湖グループの李竜柱(イ・ヨンジュ)専務は「証券会社と一部のインターネットメディアが今年初めから
金融監督院、国税庁、検察が錦湖グループに対する捜査に着手するとの風説を流し始め、それに先手を打つ対応ができなかったことが痛かった」と振り返った。
続けて李竜柱専務は「経済低迷の余波で一部グループ企業の収益見通しが明るくないのは事実だが、資産35兆ウォン(約3兆3400億円)、
負債比率156%の優良企業グループが深刻な資金難に直面しているとの主張は行き過ぎたものだ」と話した。
ただ、李竜柱専務は「大型の合併・買収案件を成功させた後、非中核資産の売却計画を十分に公表せず、
大宇建設を大韓通運買収に参加させるなど、市場の期待にやや反した面があるのも事実だ。市場の信頼を得るために積極的に対応していく」と述べた。
斗山インフラコアの李相河(イ・サンハ)企画調整室専務は「主要グループ企業が過去最高の実績を挙げており、信用格付けもAクラスを維持している。
今年のグループ営業利益は2兆4000億ウォン(約2270億円)に上る見通しで、ボブキャットに10億ドル(約1080億円)を
出資したことを流動性危機と結びつけるのは大げさだ」と述べた。
李相河専務は「最近の株価急落は市場とのコミュニケーション不足から生じた側面があるため、意思疎通に向け努力したい」と述べた。
サムスンの場合
サムスンは最近、原油高やウォン高に半導体価格の下落が追い打ちをかける三重苦に悩まされている。
サムスンSDIは今年第1四半期、創業以来最悪となる1100億ウォンの赤字を計上した。
サムスン電子も2004年に12兆2000 億ウォン(約1兆6200億円)だった営業利益が昨年、7兆ウォン(約9318億円)にまで落ち込んだ。
ここ数年間にわたって携帯電話・半導体・液晶パネル(LCD)といった主力製品の収益率が悪化したことを受けたものだ。
サムスンは4?5年前から「将来の主力分野の開発」を目標に掲げてきたが、依然として半導体に代わる主力製品を見つけられないでいる。
今では「グループそのものも安穏としてはいられない」という言葉も聞かれる状況だ。
国民としては、サムスンが組織の立て直しを迫られるほどなら、ほかの企業はいったいどんな状況にあるのか心配にならざるを得ない。
電気・電子分野における韓国企業の平均収益率は約1.4%だ。しかし世界の100大企業を見ると、平均4.5%とその3倍以上の数値をつけている。
自動車・鉄鋼・化学といった分野でも、韓国企業の平均収益率は世界の大企業の半分にも満たない。
しかも韓国企業は2000年以降、収益率が下降する傾向が続いている。
為替相場や原油価格だけの問題ではなく、主力事業での競争力悪化が大きく作用しているのだ。
【ソウル9日聯合】銀行業界が9日に明らかにしたところによると、最近の急激なウォン安の影響で、外貨建て融資を受けた企業らの元金をウォンに換算すると、
1年間でドル建てで52.5%、円建てで78.7%それぞれ増加した。
1年前に10億ウォンを借り受けた場合、元金のウォン換算額は8日の為替レートを基準に、
ドル建て融資では15億2500万ウォン(約1億596万円)、円建て融資では17億8600万ウォンとなる。
ドルまたは円で返済しなけらばならない利子もウォン安の分だけ増えることになる。
都市銀行関係者は「ウォン建て融資よりも利子が安いため外貨建て融資を受けた企業らが当惑している。
満期が到来する企業は気をもんでいる」と話す。
利子の節約にと外貨建て融資を受けたものの、事実上、貸金業者から資金を調達したのと同じ水準の費用がかかっているからだ。
満期を延長し現在のレートで返済せずに済ませても、外貨建て融資の金利上昇による負担は抱えることになる。
また、運転資金に充てる目的で融資を受けた場合は満期を延長できないため、状況はさらに厳しい。
韓国銀行は昨年8月にウォン使用を目的とした外貨建ての運転資金融資に対し満期延長を認めない方針を示した。
ことし3月末にウォン安円高が急速に進み為替差損の負担増が懸念されたため1回に限り
償還期限延長を行ったのを除けば、その方針は現在も維持されている。
当時、円建て融資の満期を延長し、急場をしのいだと安どしていた企業は、かえって40%以上のウォン急落にため息をついている。
企業らは年初からの為替相場の不安な動きに、外貨建て融資をウォン建てに転換してきた。
一部の企業は先月にウォン安がピークに達したと判断し外貨建て融資を受けたが、今月からの急速なウォン安で困難に陥っている。
先月末現在、ドル建て融資は韓国外換銀行とウリィ銀行を中心に主要都市銀行6行で1億7500万ドル増加している。
災いとなって戻ってきた「円の誘惑」
仁川南東公団で陳列台メーカーを経営しているチェ某社長は、このごろ夜も眠れない。
銀行で昨年12月初め、1年満期で借りた2億4000円の返済日まであと2カ月となったからだ。
当時、円建て融資の金利がウォンでの融資金利より2ポイント低く、年間3%台だったので、得をしたと喜んでいた。
しかし今は事情が完全に変わってしまった。融資を受ける際、100円あたり840ウォンだった為替レートが1300ウォン台になったからだ。
チェ社長は「当時借りた金額をウォンに換算すれば20億ウォンだが、今の為替レートなら返済額が33億ウォンを超える。
景気も悪いのに、こんな損害まで生じたら会社を閉めてしまいたい心情だ」と話した。
最近3〜4年間、金利が低いという魅力から個人と企業が先を争って借りた円が災いのブーメランとなっている。
対円のウォン相場は昨年10月1日100円が798.9ウォンから8日1395.28ウォンと75%もはね上がった。
問題になる円融資は2001年10月から2006年8月まで爆発的に増えた。
韓国銀行がこの期間、外貨与受信規定を廃止し、外貨融資に制限が消えたからだ。
当時、日本の超低金利とかみ合いながら市中に円資金が豊富だった。
2006年末基準で円融資残額は1兆5077億円。
その後、韓銀が外貨融資を制限したが、今年の6月末、融資残額は1兆4040億円になる。
企業は借りたお金で投資をするか運転資金として使った。
医師たちは融資を受けた金で医療装備を購入した。
一部は円で融資を受けて不動産を買ったため、価格を引き上げた1つの原因ともなった。
問題は当時、個人たちの借りた金は大部分「3年据え置き、5年分割返済」条件なので、今年から返さなければならない金額が多くなるというのだ。
ソウル江南で融資仲介業者は「主に外国系保険会社で円融資をあっせんして保険商品を売ったものが多かった」とし
「円融資で不動産投資をした人々は住宅価格も下がって二重苦を経験している」と話している。
企業は1年後に返す条件で借りた後、返済を延ばしているが、最近、ウォンが下がって悩みも膨らむ一方だ。
返済を延期してもウォン安が続いて損害がますます増えているからだ。
韓銀は今年の1月から円を借りた企業が為替差損負担を減らすよう、運転資金の返済期間を1回に限り1年延ばすことを許容した。
今年8月の対円ウォン相場が100円あたり990ウォンだった返済を、1年延期した中小通信企業キム某社長(48)は
「当時よりウォンが下がり、心配ばかりつのる」と話している。