ミサイル



サイドワインダー (ミサイル)
AIM-9L
サイドワインダー(Sidewinder)は、アメリカが開発した短距離空対空ミサイル
正式名称はAIM-9。赤外線を探知して攻撃するヨコバイガラガラヘビにちなんで名づけられた。




YF-12の兵器倉に搭載されようとしているAIM-47




離陸直後のYF-12




F-14の左翼下に搭載されたAIM-54C フェニックス(中央付近)



AIM-54をフル装備したF-14


AIM−7P


F-15によるASATの発射実験
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赤外線フレア 
赤外線誘導ミサイルを、おびき寄せるためのオトリ



 スティンガーサイドワインダーなどの、赤外線誘導ミサイルをおびき寄せるには、航空機と同様の周波数特性を持ち、強力な赤外線源を、短時間に発生させる必要がある。

  このため、赤外線フレアには照明弾に使用されるマグネシウムのほか、フロン、バイトンなどが使用され、燃焼すると、強烈な光と赤外線を放射する。
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 旧式の赤外線誘導ミサイルでは、エンジンの排気口から放射される、2〜5ミクロン帯の赤外線を、点として捉えるレティクル方式を採用しており、比較的容易に赤外線フレアにおびき寄せられる。
 しかし、近年主流となりつつある、赤外線フレア識別能力に優れる、画像赤外線シーカーを欺瞞するには、2〜5ミクロン帯の赤外線のほか、エンジン排気および、機体の空力加熱により放射される8〜14ミクロン帯の赤外線を発生させ、赤外線画像も航空機に似せる必要があるため、赤外線フレアを多数放出して面展開するタイプもある。

 米空軍の使用するM-206赤外線フレアは全長20.3cm、断面は一辺2.5cmの正方形の、箱型アルミニウム製カートリッジに収納されている。
 構造はインパルス・カートリッジと呼ばれる射出用火薬と、点火薬および、マグネシウムとポリテトラフルオロエチレンの発熱体から構成される。
 フレア・カートリッジは、航空機の胴体などに設置された、チャフ・フレア・ディスペンサーと呼ばれる箱型の装置に装填される。

 ミサイル警報装置などで、ミサイルの接近を感知すると、インパルス・カートリッジにより射出され、0.5秒後に点火薬により発熱体に点火、約4秒間1000℃以上で燃焼して赤外線を放射する。

 赤外線フレア運用上の制約は以下の通り。

 最近では、レーザーを接近してくるミサイルに向けて照射し、赤外線シーカーを飽和、または盲目にさせるタイプの赤外線誘導ミサイル防御装置も開発されている。

                          2004年4月10日作成


性能・諸元

-203赤外線フレア
全  長:20.3cm
重  量:190g
燃焼時間:3.5〜5秒




航空機から発射される中距離、空対地ミサイル。対空砲火の射程外から、目標をピン・ポイントで攻撃できる。







 通常型地中貫通爆弾では破壊できないほど、地下深くに建設された指揮・統制施設、核・生物・化学兵器の貯蔵施設などを破壊するための核爆弾
   従来、このタイプの地下施設を確実に破壊するため、米国の装備する核爆弾では最大級の爆発威力9メガトン
(TNT火薬9百万トン相当)を有するB53核爆弾を地上爆発させる想定をしていた。
しかし、爆発力が大きすぎ、広範囲に多大な被害をおよぼす。B61‐11は、これに替わり爆発威力は小さい(0.3キロトン〜10キロトン)
が、
地下数mで爆発して衝撃波を効果的に地中に伝え目標を破壊する。マスコミ等では、これをMini Nuke(ミニ・ニューク:小さな核爆弾)と呼ぶ。






空軍の長距離弾道ミサイル。左から、PGM-19 ジュピター、PGM-17 ソアー、
LGM-25C タイタン II, HGM-25A タイタン I, ソアー・アジェナA(打ち上げロケット)。




陸軍のミサイル。左から、MIM-14 ナイキ・ハーキュリーズ、MIM-23 ホーク(手前),
MGM-29 サージェント(奥), LIM-49 スパルタン(ナイキ・ゼウス)、MGM-31A パーシング I、
MGM-18 ラクロス、MIM-3 ナイキ・エイジャックス。



空対地ミサイル。上からAGM-88 HARM、
AGM-45 シュライク、AGM-65 マベリック。


巡航ミサイル

巡航ミサイル(じゅんこうミサイル - Cruise missile)とは、飛行機のようにジェットエンジン
を装備し自律的に飛行するミサイルのこと。
一言で言えば「飛行する爆弾」である。



トマホーク巡航ミサイル(ブロックIV)



ミサイル駆逐艦ステザム (USS Stethem, DDG-63)から発射されるトマホーク

トマホーク巡航ミサイル  長距離巡航ミサイルの名称 本来はアメリカ・インディアンが戦闘に使用した斧の英語名


解説                            総合索引

  
 イージス艦などの水上艦艇や潜水艦から発射可能な長距離巡航ミサイル。有人攻撃・爆撃機を危険にさらすことなく、敵地深くの指揮・通信施設、発電・変電所、石油精製・貯蔵施設などの戦略目標に攻撃を行なう精密誘導陸上攻撃兵器。湾岸戦争、コソボ紛争、アフガニスタンへの対テロ報復攻撃にも使用された。
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 トマホーク巡航ミサイルは核弾頭搭載、戦略兵器として1970年代前半に開発され、サイズは潜水艦の魚雷発射管から発射できるよう長さ6.25m、直径53cm重量1910kg以内とされた。制式名称は当初、BGM-109と呼ばれたが、後に変更され水上艦艇搭載型をRGM-109TLAM(Tomahawk Land Attack Missileトマホーク陸上攻撃ミサイル)、潜水艦搭載型をUGM-109と呼ぶ。両者共に搭載される弾頭により単一弾頭搭載型をC型(Block2A)、複合効果をもつ子弾搭載型をD型(Block2B)とした。なお、核弾頭搭載型、艦船攻撃型TASM(Tomahawk Anti Ship Missile)は、廃棄または現役を退いており、ここでは取り上げない。

 トマホーク巡航ミサイルは、小型軽量のターボファン・エンジンを搭載して地上数10mを予め定められた飛行コースで飛行する。速度は最大でマッハ0.75と、ロケット推進のミサイルがマッハ2以上で飛行するのに比べれば遅い。しかし、燃費の良いターボファン・エンジンにより射程は1000kmを超える。小型で、低空を飛行するため、戦闘機や地対空ミサイルなどで迎撃するのは困難だ。

 トマホークは、ロケット・ブースターにより発射されると保護カバーが外れて、操舵翼と主翼、空気取り入れ口を展開、ロケット・ブースターは燃焼後投棄され、ターボファン・エンジンを始動して巡航に移る。

 海上はINS(慣性航法装置)により飛行、陸上ではTERCOM(TERrain COntour Matching地形等高線照合方式)と呼ばれる、標高を数値化した電子マップ(地図)と、搭載する電波高度計から得られる地形データを照らし合わせて現在の位置を特定する、精度は80m前後とされる。

 最終段階ではDSMAC-2(Digital Scene-Matching Area Correlation デジタル式情景照合装置)と呼ばれる、電子光学センサーにより地上をスキャン、事前に用意された情景と比較して飛行コースの修正を行なう。なお夜間には地上を照らすための照明装置を作動させ、地上をストロボライトのような光で照らし出す。電子マップと情景イメージは目標に接近するに従い、範囲サイズが小さくなり約10mの精度を持つ。


目標突入方法は、以下の3種類の機動パターンから選択できる。

  • HAM(Horizontal Attack Maneuver水平攻撃機動) 目標の横から突入。
  • Pop−Up/Terminal-Dive Maneuver(ポップアップ、最終降下機動)目標直前で上昇して逆落としに目標の上面からほぼ垂直に突入
  • Programmed Warhead Detonation Maneuver(事前プログラム爆発機動)目標真上で弾頭を爆発させて、爆風と破片により目標を破壊する

 運用上の制約は、当初、飛行ルート計画作成が、戦域攻撃計画センターのみに限られ柔軟性に欠け、計画立案にも時間を要した。また、誘導装置の心臓部であるTERCOMは砂漠などの特徴の無い地形では信頼性が落ちるため、わざわざ山岳地帯を飛行させたり、飛行ルートが定型化、昼間、視界がよければ、自動小銃などの小型火器でも撃墜可能であった。DSMACも飛行ルート上で基準と成る建物が破壊されてしまうと、機能しなくなるので、他の建物や地形を利用したルートを再設定する必要があった。
 これらの制約を緩和するため、改良型ではGPS(全地球測位システム)を搭載して多彩な飛行コースの設定が可能となった。さらに飛行ルート計画立案も艦上で作成可能となり運用上の柔軟性が向上した。

  構造は、大きく5つに区分される。最前部にTERCOMや電波高度計、DSMAC、INSなどを収めた誘導セクション、この後方はペイロード・セクションとよばれ弾頭や燃料タンクを収納する。
 なお弾頭にはWDU−25B454kg爆風・破片炸薬を搭載する、単一弾頭タイプのC型と、BLU−97/B、CEB(Combined Effect Bomblets複合効果子弾)と呼ばれる、対装甲・破片・焼夷効果をもつ166個の子弾を搭載するD型があり、目標に応じて使い分けされる。
 ペイロード・セクション後方は中央胴体セクションで発射後展開される主翼と燃料タンクを収納する。その後方、後部胴体セクションは上下に分かれ、上部に燃料タンク、下部に発射後展開される空気取り入れ口があり、後方には推力270kgを発生するF107-WR-400小型ターボファン・エンジンと空力展開される4枚の操舵翼がある。
 最後部には106型発射用ロケット・ブースターがあり、推力2700kgを12秒間発生して初期加速を行なう。構造はモジュラー構造になっており簡単に改良が可能だ。

 登場以来、精度・信頼性向上のため改良が続けられており、新規製造だけでなく、旧型の改造も行なわれている。代表的なものはBlock3、Block4、後のタクティカル・トマホークなどがあり、その概要は以下の通り。

●Block3

  • 有人攻撃機の攻撃開始直前に敵防空網を無力化するため秒単位の弾着時間設定が可能となる。
  • DSMAC-2のメモリーを増設して多彩な飛行経路を選択可能にしたDSMAC-2Aを搭載。
  • GPSを追加して攻撃精度を向上。場合によっては、GPSだけも飛行コースを設定可能となり、運用面での柔軟性を向上させた。
  • C型は弾頭を小型のWDU-36B、318kg爆風・破片炸薬に変更。信管は建物の壁・屋根等を貫通してから爆発させるように遅延信管を装備。炸薬は熱や衝撃に鈍感なものに変更され安全性が向上した。
  • 弾頭の小型化により空いたスペースに燃料105kgを搭載、航続距離を最大1600kmとした。
  • ターボファン・エンジンをF107-WR-402に変更、推力は10%以上向上、燃費は3%減少した。点検期間を6年として整備・維持経費の削減。
  • 潜水艦発射型では推力を増加した新型111型ブースターロケット・ブースターを搭載。
  • 戦域攻撃計画センターでの飛行ルート計画立案のスピード・アップ。
  • 潜水艦や空母、指揮艦などでもトマホークの飛行ルート計画立案のできるAfloat Planning Systemの搭載で運用面での柔軟性を向上。

●タクティカル・トマホークTactical TomahawkTACTOM(当初Block4と呼ばれていた改良計画を発展させたタイプ)開発中

  • 前方監視テレビカメラを搭載、衛星経由のデータ・リンクで発射後の攻撃目標の変更・再設定や、陸上・海上の移動目標も攻撃可能となる。弾着直前の画像から攻撃の成果を予測可能。
  • 長い航続距離を生かして目標地域上空で長時間滞空可能。
  • 電子妨害に強いGPSを採用。
  • 搭載する艦艇で目標設定可能となり、運用上の柔軟性を向上。
  • 高価なターボファン・エンジンから、燃料効率はやや落ちるが、価格の安いターボジェットに変更。
  • 燃料タンクを大型化して、航続距離を最大で3000kmとした。
  • エンジン給油方法改良と補正不要なリング・レーザー・ジャイロの採用で15年間使用可能となる。
  • 弾頭に自律誘導型弾頭も計画中。
  • 価格低減および整備維持費用の低減のため、既存部品を多用、部品点数も35%削減。
  • 価格はBlock3の1億7500万円から7100万円(概算値)となった。
名称 RGM-109C/D(水上艦艇発射型)
UGM-109C/D(潜水艦発射型)
TLAM-C/D
タクティカル・トマホークTactical TomahawkTACTOM(Block4発展型)
Block2A/B Block3
用途  C:陸上ピンポイント攻撃  D:陸上広域目標攻撃 陸上・海上、固定・移動目標攻撃
誘導
装置
TERCOM
INS
DSMAC-2
TERCOM
INS
GPS
DSMAC-2A
前方監視テレビカメラ
画像伝送用衛星データ・リンク装置
INS
GPS
DSMAC-2A
弾頭 C型 WDU−25B454kg爆風・破片炸薬 WDU-36B、318kg爆風・破片炸薬に変更、貫通効果もあり 詳細不明
D型 166個CEB(複合効果子弾)
BLU−97/B
炭素繊維放出型もあり
射程km 1120 1600(C型のみ) 3000
目標地域上空での長時間待機も可能
攻撃精度 10m前後 数m
全長m 6.25←
翼幅m 2.67
弾体
直径m
0.52←
エンジン F107-WR-400 F107-WR-402 F122ターボジェットエンジンに変更
重量
kg
C型 1560(水上艦艇発射型)
1500(潜水艦発射型)
1588 1500
D型 1465(水上艦艇発射型)
1510(潜水艦発射型)
不明
速度km/h 約600−900
備考 D型は子弾を散布した後は空のミサイルをそのまま他の目標に突入させたり、囮として使用することも可能 弾着時刻指定を秒単位で可能に
C型燃料搭載量を105kg増加
Afloat Planning Systemで運用面での柔軟性が高まる
衛星経由で発射後の攻撃目標の変更・再設定や戦場監視機能
価格・整備維持費用低減のため、商用品多用、部品点数を35%削減
燃料タンクを大型化
エンジン給油方法の改良、補正の不要なリング・レーザー・ジャイロの採用で15年間保管可能
現在開発中

                                                          2004/5/09改訂


性能・諸元
RGM-109C(水上艦艇発射型)Block3
全長:6.25m
翼幅:2.67m
弾体直径:0.52m
射程:1600km
重量:1588kg
弾頭:WDU-36B、318kg爆風・破片炸薬
誘導方式:TERCOM・INS・GPS・DSMAC-2A
速度:600−900km
メーカー:レイセオン社


参考文献

艦載兵器ハンドブック 世界の艦船別冊 海人社
雑誌 軍事研究 2000年7月号 艦載陸上攻撃武器 多田智彦
雑誌 軍事研究 2001年6月号 近未来/遠未来の艦載兵器 多田智彦
雑誌 世界の艦船 1990.8号 米海軍のウエポン・システムA対空兵器 野木恵一
大図解 世界のミサイル・ロケット兵器 坂本明 グリーンアロー出版社
兵器最先端3太平洋艦隊読売新聞社編 読売新聞社
米軍最新兵器1500 成美堂出版社編 成美堂出版
世界の近未来兵器カタログ 日本兵器研究会編 アリアドネ企画
世界のミサイル 弾道ミサイルと巡航ミサイル 小都元著 新紀元社
CARRIER A Guided Tour of an Aircraft Carrier Tom Clancy BERKLEY BOOKS
Federation of American Scientistsホームページ
Raytheon社ホームページ
 TOMAHAWK CRUISE MISSILE MIL-TECH SERIES Nigel Macknight Mortorbooks International



ジーニ核ロケット弾(ホワイト・サンズミサイル射爆場博物館)



ハウンド・ドッグ空対地ミサイル(ホワイト・サンズミサイル射爆場博物館)



ボマーク地対空ミサイル




ナイキ・ゼウス(当時呼称はジュース)弾道弾迎撃ミサイル



ミニットマンI型ICBM



メイスB巡航ミサイル




パーシングI短距離弾道ミサイイル(ホワイト・サンズミサイル射爆場博物館)



RIM-2 テリア



テリアを試射するミサイル駆逐艦ファラガット(USS Farragut, DDG-37)



シースパロー



RIM-8G タロス




ホワイトサンズ・ミサイル試射場博物館に展示されているターター



ミサイル巡洋艦に搭載されたMk.26連装ランチャーに装填されたスタンダードSM-2MRミサイル。
ランチャーには五つのキルマークが描かれている。





発射機上のMIM-3 ナイキ・エイジャックス



発射機上のMIM-14 ナイキ・ハーキュリーズ



ホーク地対空ミサイル
発射機(左) / 運搬ローダ(右)




ホーク地対空ミサイル発射の瞬間



発射機上のXLIM-49 ナイキ・ゼウスB



チャパラル・ミサイル・ランチャー





トラックに搭載されたM54発射機から発射されるMIM-72。



パトリオットミサイル発射の瞬間



M171ショルダー・ランチャーを構える兵士






サステナー・モーター点火前の発射直後のFIM-43C レッドアイ・ミサイル。



訓練にて発射されるFGM-148ジャベリン



UUM-44



潜水艦の魚雷発射管からのUUM-125 シーランスの発射に用いられる耐圧カプセル。
胴体側面に「SEA LANCE」と大きく書かれている。



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巡航ミサイルとは何か

 地上攻撃型巡航ミサイルは、無人で、武装された航空機で、
事前にプログラムされた経路を高精度の誘導システムによって飛行し、
意図された目標の数m以内にミサイルを到達させられるシステムです。
潜水艦、巡洋艦、航空機などから発射されます。
非常に低空を飛行するので、レーダーでも補足できません。
現在は、アメリカ、ロシア、フランスが実用化に成功していますが、
装備数、性能、実戦経験において、アメリカが圧倒的優位にたっていると考えられます。

 図は、空母機動部隊から発射可能なアメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の構造です。
アメリカは、第一次湾岸戦争ではじめて「トマホーク」を実戦使用しましたが、その後精度はさらに向上しています。
通常弾頭と核弾頭どちらにも対応できるようになっており、外観から見分けるのは困難です。
核弾頭を搭載しているA型はもちろん、通常弾頭のB,C,D,E型を含むすべてのタイプで、深刻な核汚染を引き起こします。

 ミサイル自体の振動を押さえる為や重心位置の調整の為、ダンパーと呼ばれるおもりが先端に付けてありますが、
このダンパーに、劣化ウランが使われているからです。米海軍のマニュアルには、試験中に衝突して壊れた「トマホーク」を修理する為には、
放射線防護服、手袋、マスク等の着用と、作業終了までの放射線計量が義務付けられているのはそのためです。

 命中精度が高く、相手の報復能力を破壊する可能性が高くなったことで、いわゆる相互「抑止力」がはたらかず、
所有国が先制攻撃を行いたいという欲求にかられやすくなる点でも、危険な兵器と言えます。

 アメリカは、湾岸戦争以後も、93年、98年にも「トマホーク」をイラク攻撃に使用していますが、
「驚きと畏怖」作戦開始時2日間で消費されようとしている量は、これまでのどの作戦をも上回る膨大なものです。






















ヘルファイア






ヘルファイア 
対戦車ミサイルの名称。Heliborne-launched, Fire and Forget(ヘリコプター発射、撃ちっ放し)を組合わせた造語。
英語のHellfire(地獄の炎の意)を意識して命名されたと思われる。

解説. 

 攻撃ヘリコプターなどに搭載されるセミ・アクティブ・レーザー誘導 対戦車ミサイル。
 レーダー、指揮・通信施設、橋、建物などのピンポイント目標の破壊や、ヘリコプター同士の空対空戦闘にも使用される。制式名称AGM-114 Hellfire Missile。Copyright
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 ヘルファイア・ミサイルは、米陸軍により有線誘導方式 対戦車ミサイルTOWの後継として1971年に開発が始められ、1984年から部隊配備を開始。 現在までに65000発以上が生産されアラブ首長国連邦、イギリス、イスラエル、エジプト、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、クウェート、サウジアラビア、スウェーデン、台湾、ノルウェーなどで使用されている。

 湾岸戦争では対機甲戦闘のほか、開戦当日、AH-64アパッチ攻撃ヘリコプターに搭載され、イラク軍レーダー・サイトを攻撃・破壊した。またアフガニスタンにおける「不朽の自由」作戦では無人機プレデターに搭載され、車輌や建物の破壊もおこなった。

  ヘルファイア・ミサイルの構造はモジュラー構造となっており、大きく5つに区分される。
  先端部分はレーザー・シーカー(探知機)を内蔵しており、レーザー照射機から目標に向け照射されたレーザー波の反射光を捕らえる。L型(ロングボウ・ヘルファイア)ではレーザー・シーカーに替えてアクティブ・ミリメートル波レーダー・シーカーを搭載、発射後は自律して目標に誘導される撃ちっ放し能力を持つ。

 シーカー後方は弾頭部分で、8kgの成形炸薬弾頭と着発信管を内蔵する。F型からはERA(爆発反応装甲)に対抗するため、前部に小型成形炸薬弾頭を追加したタンデム弾頭タイプとなった。M型では焼夷効果をあわせ持つ爆風・破片炸薬弾頭を使用する。
 弾頭部分後方はジャイロや自動操縦装置などを内蔵する誘導部分となっている。
 誘導部分の後ろはM120固体推進薬ロケット・モーターを内蔵しており、外側には安定翼が取り付けられる。
 最後部は作動装置を内蔵する飛行制御部分と外側に操舵翼4枚を装着する。

 ヘルファイア・ミサイルはAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターなどの、M272またはMIL-STD-1760データ・バスを持つM299ランチャーに、2発もしくは4発搭載される。
 発射されるとロケット・モーターが約3秒間燃焼してミサイルを毎秒340m(マッハ1)以上に加速、燃焼終了後は惰性で飛行する。

 発射後およそ200mを飛行すると安全装置は解除されるが、レーザー・シーカーの制約から最小交戦距離は500mとなる。最大有効射程は8kmだが、最大高度約250m(A型は500m)の放物線状の経路を飛行する。雲底の低い場合、雲の中に入るとレーザー・シーカーは目標を見失ってしまうので、ミサイルが雲の中に入らないように交戦距離を短くする必要がある。
 

 交戦時、波長1.06μのパルス・コード化されたレーザー波を、航空機もしくは地上から目標に向けて照射する。交戦モードにはヘルファイア・ミサイルを発射する航空機自身が、レーザー波を照射する自律モードと、OH-58D観測ヘリコプターや地上部隊がレーザー波を照射する遠隔モードがある。
 遠隔モードの場合、ヘルファイア・ミサイルを発射する航空機は丘や樹木の陰に隠れて、目標を直接見ることなくミサイルを発射する。レーザー照射はOH-58Dや地上部隊に任せ、発射後は直ちに退避行動を取れるので生存性が高い。また複数のミサイルを別々の目標に向けて発射することも可能だ。しかし、発射航空機とレーザー照射機の間で、目標の位置情報、レーザー照射コード、照射時期などの情報を密接に交換する必要がある。


 ヘルファイア・ミサイルの発射方式には目標をレーザー・シーカーで補足する時期によりLOBLとLOALと呼ばれる2つの方式がある。
 LOBL(Lock-On Before Launch)は発射前にレーザー・シーカーで目標をロック・オン(補足)する。
主に発射する航空機から目標を直接目視できる場合に用いられる。
 LOAL(Lock-On After Launch)はミサイル発射後にレーザー・シーカーが目標をロック・オンする方式で、発射する航空機は丘や樹木の陰からヘルファイア・ミサイルを発射する。主に遠隔交戦モードの場合に用いられる。

高い攻撃能力を持つヘルファイア・ミサイルだが、運用上の制約は以下の通り。



IRBM




発射準備態勢に入ったジュピターIRBM。全天候ドームが開きかけている。
後方の車輌は支援車両群。



発射態勢に入ったジュピターIRBM



中距離弾道ミサイルジュピターの発射




ジュノーII型ロケット




AGM-62 ウォールアイ
米国立空軍博物館に展示されているAGM-62





右翼パイロンにAGM-62を搭載した第136戦闘攻撃飛行隊のF/A-18C(1992年)。




砂漠の嵐作戦でAGM-62を搭載して空母サラトガ
を発艦する第81戦闘攻撃飛行隊所属のF/A-18C(1991年)。





ホワイトサンズ・ミサイル試射場博物館にあるA-7とAGM-62




NAWCでのテスト中にウォールアイIIを投下するA-6E イントルーダー1994年)。



ウォールアイ I



F-15Cから発射されたAIM-7


スカッド
短距離弾道ミサイルの名称



解説
 旧ソ連で開発された自走式発射機搭載型、短距離弾道ミサイル

【捕捉】
 
「短距離」とは、射程1万kmクラスのICBM(大陸間弾道ミサイル)に比較して射程の短い、射程1000km以下の弾道ミサイルをさす。

 スカッドは第二次世界大戦後、ドイツのV2ミサイルの技術を元に開発に着手、1955年に配備を開始した。旧ソ連の制式名称はR-11、R-17。NATO(北大西洋条約機構)での呼び名はSS-1 Scudスカッド。ロシアでは既に現役を退いている。しかし、旧東側諸国、中東、アフリカ、北朝鮮などでは、現在でも第一線兵器である。生産数は7千発以上、短距離弾道ミサイルのベストセラーだ。Copyright (c)2003-2006 Weapons School  All rights reserved.
 
イラン・イラク戦争、湾岸戦争等でも、スカッドおよび改良型のアル・フセインが使用された。

 
スカッドは技術的には、既に旧式兵器でCEPは1000m以上と、ピンポイント攻撃には向かないが、都市や物資集積場などの攻撃に使用され、、生物・化学兵器を搭載すれば相手方をパニックに陥れることも可能で、心理的効果は大きい。

 スカッドの構造は、先端の弾頭部分に高性能炸薬、、生物、化学兵器などを搭載する。

 ただし、スカッドに搭載可能な小型・軽量の核兵器開発には、高度な技術力を必要とし、現時点ではイラン、イラク、北朝鮮に独自開発能力はないとされる。
 また生物・化学兵器を搭載する場合には、適切な高度で、これを散布する近接信管や、散布装置の開発は不可欠である。
 さらに、これらの兵器を使用した場合、相手方から報復として、同様の攻撃を受ける可能性もあり、使用には慎重にならざるを得ない。湾岸戦争時、イラクは生物・化学兵器を搭載したスカッド(アル・フセイン)を保有していたが、米国などからの核兵器による報復を怖れ、使用しなかったとされる。
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 弾頭部分後方は慣性航法装置や自動操縦装置などを内蔵する誘導部分となっている。この後ろはケロシン(灯油)または、UDMH(
Unsymmetrical Dimethyl Hydrazine:非対称ジメチルヒドラジン)などの燃料タンクと、酸化剤IRFNA(Inhibited Red Fuming Nitric Acid:抑制赤煙硝酸)のタンクを持つ液体推進剤ロケットである。
 UDMHは引火性が高く、有毒である。
酸化剤のIRFNAも、毒性が強く、金属を腐食する。旧ソ連製スカッド・ミサイルでは、推進剤注入状態でも最大90日間は保管可能とされる。

 タンク後方は燃料と酸化剤を混合して噴射する燃料ポンプと、これを燃焼させるロケット・エンジンである。後部端にはグラファイト(黒鉛)製ベーンが取り付けられ、推力偏向方式により飛行方向を制御する。外側には安定翼4枚が取り付けられる。

 スカッド・ミサイルは
TEL( Transporter-Erector-Launcher vehicle運搬・起立・発射車輌)と呼ばれる自走式発射機MAZ543などに搭載され、戦場を移動する、この位置を特定して攻撃することは困難である。
 発射指令を受けると、ミサイルを垂直に起立させ、発射方向を調整、機能確認などを行う。この間、約1時間を要し、敵からの攻撃に弱い状態となる。なおスカッド・ミサイルは固定式発射機からでも使用可能だ。 湾岸戦争ではペトリオット・ミサイルによる迎撃を混乱させるため、ほぼ同時に数発のスカッド・ミサイルを発射した。Copyright (c)2003-2006 Weapons School  All rights reserved.

 
発射されると事前にプログラムされた目標に向け、飛行方向、速度を調整、所定の条件に達するとロケット・エンジンを停止させる。このタイミングが命中精度に大きく影響する。この後は、与えられた運動エネルギーにより弾道飛行して目標に向かう。ICBMなどでは加速段階 終了後、弾頭部分を切離すが、スカッド・ミサイルでは役目を終えた推進装置と、弾頭部分は一体のまま飛行する。このため再突入時、空気抵抗により弾道に誤差を生じる場合や、空中分解する例が湾岸戦争で報告されている。

 弾道飛行の最高高度は約100km、ミサイルは目標に向け毎秒1400m(マッハ4)以上の速度で落下する。高速度で落下してくるスカッド・ミサイルの迎撃は困難で、THAADPAC-3などの高性能迎撃ミサイルを必要とする。

 スカッド・ミサイルには、これをコピーしたものから、弾頭を軽量化して射程を延ばしたタイプや、スケールアップしたノドンなどがあり、代表的なものは以下の通り。

名  称 スカッドA
R-11
スカッドB
R-17
スカッドC スカッドD
全  長m 10.3 11.25 12.29
弾体直径m 0.88
発射時重量kg 5400 5900 6400 6500
搭載弾頭 高性能炸薬
核兵器50kt
高性能炸薬
化学兵器
核兵器5-70kt
高性能炸薬 高性能炸薬
化学兵器
核兵器
弾頭重量kg 950 985 600 985
最大射程km 190 300 550 300
CEPm 3000 450 700 50
備  考 燃料にケロシン(灯油)を使用 燃料を非対称ジメチルヒドラジンに変更 弾頭を軽量化して射程を延長 デジタル情景照合装置を搭載してCEPを向上

                      

名  称 アル・フセイン スカッド改B スカッド改C ノドン1
全  長m 12.46 10.9 16.0
弾体直径m 0.88 1.32
発射時重量kg 6400 5840 6200 16250
搭載弾頭 高性能炸薬
生物・化学兵器
高性能炸薬
化学兵器
通常型子弾
高性能炸薬
化学兵器
通常型子弾
高性能炸薬
化学兵器
核兵器
通常型子弾
弾頭重量kg 500 985 700 800
最大射程km 630 300 500 1300
CEPm 1000〜3000 450 1000 2500
備  考 イラクによるスカッドB改良型
北朝鮮による改良型 北朝鮮による派生型
スカッドCのスケールアップ

                                            2006年9月10日改訂


性能・諸元

スカッドC
全  長:11.25m
弾体直径:0.88m
重  量:6400kg
弾頭重量:600kg
最大射程:550km