HONDA JETを勝手に応援する

空へ、テイクオフ。革新テクノロジーの小型ジェット。
新しいコンセプトのビジネスジェット実験機「HondaJet 」





オートバイ→自動車→太陽電池→ジェット機→? 

 世界第7位の自動車メーカー、ホンダの挑戦に終わりはない。1948年、ホンダは自転車に発電用エンジンをつけたオートバイ製造会社としてスタートした。そして62年には自動車産業に進出、今度は自動車という分野を飛び出そうとしている。家庭で使う太陽電池から環境にやさしいディーゼル自動車、さらには技術の粋を集めた燃料電池自動車までを作り出す。最近は地上に飽き足らず、大空に挑戦状を叩きつけた。世界で初めて自動車メーカーのブランドがジェット機の生産に乗り出したのだ。

 ホンダが作る超小型ジェット機「ホンダジェット」は、ホンダが描く未来図の中心にある。創業者の本田宗一郎(1906‐91)が当初から夢見ていたビジョンこそ、まさに飛行機会社だったという。

 ホンダジェットは従来の飛行機よりも3倍燃費に優れ、小型ながらも3倍室内空間が広いのが特徴だ。だが、1台の価格は約4億円と、10%以上割安だ。

 ホンダジェットはこれまでの常識の枠を果敢に破り誕生した。通常、エンジンは機体の両側につける。しかし、そうすると燃費をよくするのが難しい。ではエンジンを別の場所につければどうだろうか? 両翼の上にエンジンをつけるという新たな試みが始まり、数多くの試行錯誤の末、遂に常識を超え、限界を破った。

 ホンダは、「ホンダジェットが本格的な量産体制に入る2010年ごろには全世界の空が大きく変わる」と豪語する。例えば米国では01年の同時多発テロ事件以来、空港のチェック体制が厳しくなり、どんなに近い距離でも旅客機で移動するのが大変不便になった。そのため超小 型ジェット機は近い将来、ほとんどの企業が所有するようになり、多忙なビジネスマンが出張する際に利用できる、いわゆる「航空タクシー」が生まれるだろうと見込んでいるのだ。










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Hondaは、ウィスコンシン州オシュコシュ市にて開催されている世界最大の飛行機の祭典である
Air Venture 2006に自社開発の小型ビジネスジェット機であるHondaJetを出品、
今後同機を量産し航空機市場に新規参入するとして、
米国中部夏時間 25日午前10時に以下の計画を発表した。


米国に飛行機事業を行う新会社を設立し、2006年秋頃から量産型HondaJetの受注を開始
今後3〜4年で量産機の認定を取得し、米国にて量産開始、2010年中の第一号機の引渡しを目指す
小型ビジネスジェットの顧客ニーズに高いレベルで応える販売網とサービス網を構築すべく、
米国の飛行機メーカー、パイパー・エアクラフト社(Piper Aircraft, Inc.)※と業務提携する


HondaJetには、エンジンを主翼上面の最適位置に配置する、
新規開発のOTWEM(Over-the-Wing-Engine-Mount)という革新的なレイアウトを採用。
この特許取得技術により高速飛行時の造波抵抗を低減させ、燃費向上を実現した。
また、乱流発生を抑える自然層流といわれる形状を、翼や機首デザインに取り入れ、
空気抵抗を大幅に低減させる先進的空力設計となっている。


発表会でのHondaJetとホンダアールアンドディアメリカズの藤野 道格
発表会でのHondaJetと
ホンダアールアンドディアメリカズの藤野 道格

エンジンを胴体左右に取り付ける一般的な小型ジェット機の設計では、
エンジン支持構造が胴体後部を貫くが、HondaJetではエンジンを主翼上面に配置することで、
胴体後端のスペースを客室や荷物室として有効活用することを可能にした。
胴体は、ハニカムサンドウィッチ構造と一体成形構造を複合したハイブリッド構造を採用した全複合材製で、
クラス最大の胴体内容積と小型軽量性を両立させた。
さらに、複数の情報を集中表示する高解像度平面デジタルディスプレイを計器類に採用し、
操縦系にも最新技術を導入している。

これらのユニークで先進的な技術により、HondaJetは6〜7人乗りの同クラスの従来型機体に比べ、
燃費とキャビンの広さを格段に向上させることに成功した。

2003年12月3日の初飛行以来、HondaJetプロトタイプは既に累計240時間以上の試験飛行を行い、
4万3千フィート(約1万3千m)の最高高度、
412ノット(約763km/h)の最高速度を記録しており、狙い通りの性能を実証している。

本田技研工業株式会社 専務取締役で航空事業担当の土志田 諭(としだ さとし)のコメント
「Hondaは40年以上に亘って空への夢を持ち続けてきました。
3次元のモビリティである航空機業界への参入は大きな喜びであり、
お客様の利便性を追求した効率の良い移動手段の提供によって人々の生活をより豊かにしていくというHonda製品の本質を、
空でも実現してまいります。またパイパー社との協力によって、
小型ジェットのお客様に新しい価値をお届けすることが出来ると確信しています。」

パイパー社 ジェームズ・バース社長(James K. Bass, President & CEO)のコメント
「Hondaは革新的商品を高い品質で提供し続けてきたブランドであり、
Hondaとパイパーの提携は、それぞれの顧客に、最良の製品とサービスを提供することを可能とするだろう。」

開発責任者であるホンダアールアンドディアメリカズ副社長の
藤野 道格(ふじの みちまさ)のコメント
「HondaJetの独特の設計や新しいデザインが、航空業界にHondaらしい新風を吹き込むものと信じています。
お客様の期待を超える性能、品質、そして快適さを提供していきたい。」

※パイパー・エアクラフト社はフロリダ州ベロビーチ市に本社を構え、練習機からビジネス用の高級機まで、
プロペラ機のフルラインを揃え、創業以来の70年で180機種以上を
開発し生産累計は14万4千機以上に及ぶ、歴史のある会社。




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アヴォセット・プロジェット

 こうした米国勢の動きを見ていると、ペーパープランのうちから開発資金を募り、設計仕様がほぼ固まった
段階で大々的に計画をぶち上げて注文を取る。まさしくベンチャー方式で、
長年にわたって研究、設計、開発をつづけてきたホンダの慎重な日本方式とは全く逆である。

 どちらが良いかはさておき、ホンダジェットがこれからどのような闘いぶりを見せるか。いうまでもなくホンダは、
世界市場に打って出て、大きな成功を収めた自動車メーカーの一つである。
外国メーカーのライセンス生産と下請け生産に甘んじているわが国航空工業界のためにも、立派な手本を見せて貰いたい。

(西川 渉、2003.10.14)










ホンダジェット三面図
(冒頭のイメージ図とモックアップは高翼になっているが、
これは何年か前の構想で、試作機による実験飛行もおこなわれた)















「HondaJet」の操縦席








オアフ島のホノルル空港で離陸をまつHONDAjet。機体のラインが美しい。




右下の真珠湾、市街地を眼下に上昇姿勢にはいるHONDAjet。



空と海のブルーに、曲線的なラインを青で彩る機体のカラーリングがマッチしている。



30分ほどの短いフライトを終えて、ホノルル空港へ着陸態勢にはいる。