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He Has Left Us Alone But Shafts of Light Sometimes Grace the Corners
of Our Rooms
一切の悪意も人間の醜さもない静かで美しい世界―
そんな爆弾で焼き払われた市街地。
そういうイメージを喚起させる音。
ピアノの旋律は美しくも重々しく光は見えない。
安らぎと抗えない運命が支配する荒廃した土地。
変わることのない美とはすなわち死である。
そして無である。
この穏やかなる美しさに命の影は見えない。
どれだけこの美世界を彷徨おうとも希望は見えない。
ただ永遠に美しいだけだ。 |
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Born Into The Trouble as The Sparks Fly Upward
クラシックの叙情性とハードコアの凶暴性。
これら二つの融合が生み出したのは倒錯した世界だった。
3−4曲目で穏やかに流れる弦楽器の音が凶暴性を得た瞬間、
それは倒錯した世界に入る。
精神病にかかった人間に聞こえるような音がまるでガラスに反射した像のように、
何十にも重なり実態を失った感覚。
そこから一気に不安を持ち上げる三重奏に変化する。
現実と空想が入り乱れた世界。
そしてお家芸のドラム乱射により世界の壁がぶち壊されて、
そこから先は安らぎのエピローグになる。
しかし安らぎの先の静寂で子供の声が静かに冷たく言い放つ、
"How like feel?"
背筋は凍り倒錯は終わらない。 |
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"This Is Our Punk Rock" Thee Rusted Satellites Gather+Sing
前作おいてみられたようなピアノやらをフィーチャーした楽園性は一気に後退し、
間を空けた空間がひたすら絶望的な空気を醸し出すようになった。
"This Is Our Punk Rock"と言い切ってみせる静かな攻撃性を持った作品。
前作ではクラシックの叙情性とハードコアの凶暴性はあくまで別のものとして
二つの波で表現されていたが、
この作品では凶暴性と叙情性が一つに融合している。
特にそこら辺で酔っ払ったホームレスがこの世を呪って唄っているような歌が印象的。
絶叫をするトラウマロックとは異なる
自らの腹を切り裂いてその空虚さをあざ笑うような、
どうしようもない現実に対して自嘲的な絶望をぶつけるような、
そんな怒りに満ちた「これが我々のパンクロック。」
そしてときおり見える安らぎ。
ある意味空虚であることは喪失から開放された快楽なのかもしれない。 |
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Horses In The Sky
死の海。
油まみれのどす黒い生き物のいない海。
そういったどうしようもない空虚さをかもしだすSilver Mt. Zionのニューアルバム。
彼らのアルバムとしては信じられないことに歌を全面に押し出している。
もっとも歌というより呪詛に近いような独特の荒廃感のあるものであるが。
今まで彼らの最大の武器であった
人数と時間を生かしたダイナミックな曲展開が完全に死んでしまっている。
同じ荒廃の景色でも第一作目にあった透明で透き通るような美しさはなく、
ただただどうしようもなく汚れている。
まるでどす黒く濁った海から顔だけ出しているような感じ。
そして時折放たれるギターの狂った音が
どす黒い死海を焼けるように染める夕日を思わせる。 |