New Order Joy Division亡き後残ったメンバーの結成した、
というかこうならざるを得なかったバンド。
結成理由も情けなければ音も情けなかった。
でも経験を重ねるうちにポップセンスを開花。
気がつけばUKの国民的バンドに。
その無常観に病み付き。

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MOVEMENT

イアン・カーティスのいなくなったJoy Division。
このアルバムはその一言に尽きる。
まずはいきなりBassのピーターフックあたりがボーカルをとっている所なんか
すげー行き当たりばったり。
しかもサウンドはとことん暗い。
1stからどん底にはまっていた。
というか最初っから行き詰っていた。
ボーカル・ギターのバーニーさんはこの作品が凄くお嫌いらしい。
Power Corruption & Lies

だめだめ路線をひたすらに突っ走っていたが
がむしゃらにもがいていくうちに独自の情けないエレポップセンスを得ていった。
やけくそてきな開き直り。
Won't you please let me goに始まりLeave me aloneで終わるどうしようもなさ。
でも独自の情けなさを全開にしたサウンドは胸をつかんで離さない。
一番泣けるアルバム。
これこそが世界中のだめ人間に聴かれるべき。
Age of Consentから586,your silent faceそしてLeave Me Aloneにつながる流れは完璧。
特にLeave Me Aloneのメロディーは奇跡といっていいほどポップ。
とことん青臭い青春エモ。
Low Life

Blue Mondayヒットしてなんか俺ら自信ついてきたよなー、的作品。
今までの情けない路線を踏襲しつつもちょっと革新的なこともしたりして。
Love Vigilantsの歌詞世界とかえらい面白くなっている。
New Orderらしい無常観が出ている。
Perfect Kiss,Subcultureのシングルヒットも入っている。
特に連中には似合わないElegia見たいに壮大なナンバーも入っていれば
Sooner than you thinkみたいなわけのわからん曲もある。
エレポップしまくりのFace Upは明るくて気持ち悪い。
Brotherhood

ついた自信でいっちょかっこいいのんでも作ってみるか!的作品。
今までの歌詞世界は常に僕が主体だったのに、
このアルバムからは僕に対する君が主体になっている。
Paradiceではへんちくりんなコーラスを披露したり、
のりのりなナンバーをやってみたり、フォークなやつをやってみたり。
いろいろと触手を伸ばし始めている。
そして今までの情けない僕から嫌いな君へと変化した歌詞世界は
Every Little Countsで堪能。
「君といるとまるで豚と話をしているみたいだ。動物園がお似合いだね。」
あと必殺ダンスナンバーBizzare Love Triangleも収録。
SUBSTANCE 1987

いったん一息ついてシングルとB面集めたやつでも出してみるか〜ってな感じの作品。
実はこの作品が一番内容が濃かったりする。
New Order必殺ナンバー目白押し。
世界で一番美しいと俺が思っているCeremonyのベースラインから昇天。
何度聴いてもこれは飽きんよ。
そしてBlue MondayにPerfect Kiss完全版にTrue Faithに。
そしてB面も凄い凄い。
Joy Divisionの美学が詰まったIn A Lonely Placeから悲しく切ないProcession、
そして1963ととんでもない名曲が入っている。
New Orderは初期はシングルをアルバムに入れなかったので
このコンピにしか収録されていないナンバーも多々あり。
というかJoy DivisionとNew Orderをつなぐ名曲Ceremonyを聴け!
Technique

さてとシングルコンピも出したし過去も吹っ切れたし、
今度はたのしーいポップなアルバムを作ろうぜ!的な作品。
いきなりハウスなFine Timeからのりのり。
あとはポップなギターラインを武器にした曲、
のりのりダンスナンバーとえらく明るくなったNew Order。
アホさ全開。
でも「君の見ている写真は僕の肖像なんかじゃない。」と歌ってみたり、
今までの切ない痛さも持ち合わせている。
後半のMr.DiscoからVanishing PointそしてDream Attackの流れは完璧。
やっぱりどこか切なくなります。
Republic

もうやることなくなったよ、どうしよう・・・的アルバム。
名曲Regretを産んだとこまではよかったものの後は見事に行き詰る。
もともとだめ人間なバーニーさんが
「ライブやりたくない、曲作りたくないいやだー。」
と言い出したせいで空中分解。
「なんとか完成させれてよかったよ。」
とまで言う始末。
まぁポップアルバムとしてそれなりのクオリティーは持っているものの
くそださいジャケといい落ちることは落ちる。
Regretのためだけにあるようなアルバム。
その後バンドは活動停止状態に。
the best of

なんかどうでもいい感じで出されたベスト版。
Substance以降に発表したアルバムに入っていないシングルを
アルバムに入れるために出されたようなもの。
あとは今までの曲のテイクが微妙に新しくなっている。
とはいっても対してかわっとらんけど。
入門編でこれ聞くくらいだったらSubstanceの方がいいと思う。
Get Ready

もうだめでしょうね、奴ら復活せんでしょうね。
と思っていたら突如2000年代に復活。
Fujiロックにも出やがった。
今までのサイドプロジェクト等で自信を付けたみたいで、
えらく自信にあふれたギターロック。
ビリー・コーガンやらプライマルスクリームやらがゲスト参加。
えらく豪華やね。
一曲めCrystalからかっこいい。
必殺のベースラインが復活している。
相変わらずのへたくそなボーカルだ。
そしてキラキラしているメロディーだ。
New Orderのコアなファンにはあまり物足りないかもしれないけど、
今まで聴いたことのない人に聴かせたらその評価は高いと思う。
なにせエレクトリックでギターロックでポップなんだもん。
あと何気にボートラがかっこいいので日本版の方がお得。
Waiting For The Silens' Call

往年のプロ野球の名選手がプレイするマスターズリーグというものがある。
そしてこのアルバムもNew Orderにとってのマスターズリーグだと思う。
このNew OrderのNew Albumもマスターズリーグと同じく
全盛期の輝きを求めることは出来ない。
そりゃそうさ、バーニーもフッキーも腹のでっぷり出たオヤヂになってしまったんだから。
昔のようなキラキラとした切ない無常感を撒き散らすことは期待できない。
それはしゃあねえ。
でもそれでもいいんだと思う。
それでも楽しめるんだと思う。
マスターズリーグと同じで。
上手く言えないんだけれども彼らが彼らであることを確認できるだけで十分なんだ、と。
相変わらずなんでキャリア25年も積んでギターの腕が上がらんのかとか、
フッキーのベースは変わらんなあとか。
ちゃんと相変わらずスティーブンの影も薄いし。
でもジリアンがいないのが残念。
あの一本指キーボードがないのは寂しい。
このアルバムの音はLow LifeからTechniqueまでのNew Orderサウンドの焼き直し的な感じ。
当たり前だ、New Orderに時代の最先端をいくサウンドなんて出されてたまるか。
ドラえもんのヴァージョンアップなんて不必要なのと同じだ。
個人的にはNew Order節炸裂のM9が好き。
人は年を取ってオヤヂになっていくのさ。
ここにはまさに諸行無常の響きあり。