90 day men けーすけくんに勧められたので買ってみた。
最初はRADIOHEADのPablo Honeyみたいだと言っていた。
Blow Outの凍えそうな空気と近いものを感じたので。
初めは地味かなーと思っていたけど少しずつ心に染み渡る。
夜のお供。

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To Everybody

ピアノとドラムの作り出すねじれた時間軸にろうそくのように揺らめくベース。
そして囁くように叫ぶように絡み合うボーカル。
とにかく美しい作品なんだけれども、
単純に美しいというのとは違う。
いってみれば綺麗な女の人だけど実は幽霊みたいな。
振り向いたら消えていたというような不思議な感覚を持っている。
ピアノの旋律がみせる渇ききった淡々とした空気がなおさらそういう感覚を助長させる。
背筋が冷えるような美しさ。
そして虚脱感にも似た暖かさ。
聞くなら部屋を真っ暗にしてその世界に浸ることをおすすめします。
聴き終わったあと現実に戻る感覚がなんとも言えない。
Panda Park

これもまた前作と同じように夜の世界だ。
ただ決定的な違いとしては前作が真夜中であったのに対して、
こちらは夜明けの世界であることがあげられる。
今にも夜の闇を破って光が差し込んできそうなそんな感覚がある。
前作では見られなかったしなやかな動の部分が色濃く出ているのだ。
彼らの最大の特徴であるピアノとドラムのねじれた時間軸はこの作品でも健在。
しかしながらToo Late or Too Deadのような力強い運動量をもった楽曲はなかった。
ここら辺の流れはまるで少しずつ目覚めていくにつれて体が動くような感覚に近い。
ここで単純に夜明けと言うと希望のようなものを感じるがそうではない。
まるで今までの安らぎが破られるような不思議な不快感と、
そしてこれから動き出す期待感が交わったノスタルジックな世界を作り上げている。
希望でも絶望でもない、
楽しみでもつらさでもない、
喜びでも悲しみでもない、
そんな混沌とした予想も付かない未来へと僕らは生きている。
名盤。