東京観光

曲、詩:hidezou


アメ横を通り過ぎて 向かった公園のベンチに忘れた
あのZippoのライターのことを あなたはまだ覚えていますか?
透明の傘に揺れる ネオンの明かりさえも
ありふれた情景ではあったけれど 今も大切な思い出です

船に乗ったのは いつ以来だったでしょうか
子供みたいに 飛んでは散る水しぶきを眺めていた僕

あきれるように見ていたあなたは
何だか とても楽しそうで
窓越しに見ていた僕も 内緒で微笑んだ

香ばしさが漂う 祭りの余韻に浸りながら
どこまでも行けると 振り返ろうともしないまま

月日はやがて僕らを 退けるように経っていて
そこから先に進むことを いけない事だと教えた
けれども台場の砂を 踏むたびにこう思うんだ
手が届きそうなくらいに僕らにも 大きな橋が架かっていたんだと

歩き疲れて眠った 横顔はいつでも
きしむ車両の音と よれたつり革に溶け込みながら

沿線を結ぶ黄色と混ざった
東京駅の 煉瓦のように
後ろめたい背中を 押してくれていたのでしょう

遠のいてく今日と 明日が入れ違う時の中で
あなたはどんな夢を 見続けていたのでしょうか?

夕日はこうして僕らを 飲み込むように去っていて
溢れる思いも何もかもを 時の人として教える
それでも履きつぶしてた 赤い三本のラインは
見上げるようにただ在る僕らへと 伸びていたただ一つの消せない痛み

改札を抜けて 立ち並ぶ丸井の区別もつかないまま
あの頃の夢も 瞬間の色も 流れる想いも
全てあなたと共に消え・・・

アメ横を通り過ぎて 向かった公園のベンチに忘れた
あのZippoのライターのことを あなたはまだ覚えていますか?
透明の傘に揺れる ネオンの明かりさえも
ありふれた情景ではあったけれど 今も大切な思い出です