僕らの飛行船

詩、曲:hidezou


『春先に買ったばかりのチノパンが最近じゃ窮屈でさ…(笑)』
そんな和やかな歳の取り方に、いつかは憧れていたっけなぁ

ところが

「−」と云う言葉を知った頃から次第に身に付けた
「弱さ」を両腕にぶら下げて歩くことにすら慣れていたみたいだよ

誰も見ちゃいやしないのに両腕を振り上げて
「何も持ってなんかいないです」と笑う

二十歳を目前にしてた頃のようには
何事も上手くは行かなくて
擦れながら、薄れながら…忘れながらも
「いつかは…」ってきっと、思ってた

履き慣れたスニーカーの踵で、引っ掻き傷をつけて歩いてた
踏み込めば込むほど、こ擦れる痛みを増幅させてしまうみたいだよ

誰も見ちゃいやしないよな…?
足休めしてる背中を空が映し出して、なお嘲笑う

三十路を目前にしてもなお描いてた
イメージには余程遠くて
擦れ得ずに、薄れ得ずに…忘れ得ずに
「いつかは…」ってきっと思ってる

全てを受け入れることは、ややこしい上に難しく
妥協を迫られることもある路面で
向かい風に押し戻されて、必死でもがいていても

振上げた両腕をま横に広げてみれば
「すっ」と、するのも本当はちゃんと解ってるんだろう? 
僅かな機体(期待)に乗せて 僕ら何処へでも行けるよ

飛んで行けるよ

ふらついても尚、飛んで行けるよ