霜月

 
2005年11月29日(火) 『空っ風の通り道』

もうじき12月を迎えるというのにも関わらず
生ぬるい空気が、窓と窓を結ぶみたいにして通り抜けてる。

何度目かのフラッシュバックで辿り着いたこの部屋は
何処となく乾いていて、でもそれが不自然なことには
…とても、思えそうに無かった。

今日この日まであった空白を吹き飛ばすかのように
つい先日の出来事が、昨日の場所にあるのを感じたのならば

この次にもまた目を開いた場所が何処なのかを
期待にも似た得体の知れないモノに乗せて
これから先も、歩いて行くに違いない。


 
2005年11月21日(月) 『凸凹な僕ら』

俺が凹の時には、アイツが凸になってくれて
アイツが凹の時にも、俺が凸になれてるといいなぁ。

俺が凹の時には、あの人が凸になってくれて
あの人が凹の時にも、俺が凸になれてるといいなぁ。

近づいて離れて、また形を変えてくっついたり
そんな風にしながら□になる僕ら。

何となくぼんやりしてても
仕草思い出して、ふいに笑えんだ。

俺はいつも元気だよ。
能天気だから悲しいことなんて
すぐに忘れちゃうんだ。

なのに、言葉を交わすと
そんなことすら忘れて
もっと元気になれちゃうんだ。

不思議だよ。


 
2005年11月18日(金) 『秋の公園、ひなびたベンチ』

青く澄んだ空が太陽の陽射しで尚更に引き立って見えた真昼。

真っ直ぐ伸びた狭い路地の両側に並ぶ家々との間を
そんな空が繋いでた。

昼休みを利用して向った先の公園で日向ぼっこをすれば
冷たい風よりももっと温かく和んだ感覚を得られる。

公園には俺しかいない。

ひなびたベンチに腰を下ろしながら
心地よい陽気に思わずウトウトした。


 
2005年11月17日(木) 『流行のうたは、似合わない』

3秒前に戻って…
でも、もしもその気持ちが3ヶ月後にも、この場所にあったのなら
俺たちはきっとずっと一緒に居られる…。

この次もまた逢いたいって思えることが何よりも大切だった日。

無いものねだりが行き交う路上を独りであるけば
「1人は嫌だけど、ずっと一緒は嫌…」
至るところに転がってる矛盾とか
まるで、そんなような類。

「重い」とか「軽い」とか、初めて出会った頃には
誰しもきっと考えもしなかった心の浮き際を
そっと試されながら、僕ら二人歩んでる。


 
2005年11月11日(金) 『遠く霞む空の、向こう側に』

冷たい風が、乾いた気持ちだけを残すかのようにして
頬の温もりをそっとさらっていった朝。

可もなく不可もなく繰り返される当たり前の毎日の中に
誰もが様々な表情で揺られる車内の情景が飛び込んできて
思わず急ぎ足で、それでいて願掛けのようにして右足から乗り込む。

家々が左に流れて行く窓を選んで立ち向うと
遠くの方で雲が待機してるのが見えた。

「近いうちに雨が降る…」
そんなことを思いながら、またいつもの路へと降りる。

日に日に乾いていく空気の中に居ても
体中に流れ続ける温かいものを感じながら
僕ら今もこうして生きている。

「あの雲が通り過ぎた頃には、また青々とした空が広がるに違いない」と。


 
2005年11月10日(木) 『キミノテノヒラ』

キミは今もまだ覚えているかい…?
助手席、いつもそっと俺の手のひらを握って居てくれていたのを。

それは何よりもずっと温かくて
その全てが真実だった。
なんて、不思議とそんな瞬間が目の裏をよぎるのを感じた。

今日はキミにとってきっと素晴らしい1日であることを、願う。
それはきっとこれから先もずっと変わらず
この胸の中、いつだって潜んでいるモノだから。

多摩川大橋を渡る度に、キミノテノヒラは何かをきっと、語っていた。


 
2005年11月8日(火) 『掌の、宇宙』

心拍数が次第に上がっていき
まるで心臓が競り上がってきそうな勢いだ。

文章を描く時の感覚をえぐる時はいつだってそうだ。

その手を休めることは許されず
動かす事も許されない空間を漂いながら
空気の薄さに宇宙が近いことを知らされる。

上下左右もないその空間で
ただぼんやりとしながらも
それでも何処かへ行こうとしているヤツがいる。
前に進もうとしてるヤツがいる。

掌にも満たない鼓動の震源地は
いつだって生きてるってことを証明している。



 
2005年11月7日(月) 『空に一筋の、青』

ついさっきまで降ってたはずの雨は止んで
1本の青い筋が両側の雲を押し退けた
その先にあった太陽を

俺はただ何となく
ぼーっとしながら逆さまに見てた。

あまりにも真っ青な空を眺めていたら
何だか気が遠くなるくらい
何処へでも行けそうな気さえして
不思議とすっとした。

本当にしたいこと、したかったことは何か
それが何となくなんだけれど、判ったんだろうか。

溜まりに溜まった水たまりを
俺は思いっ切り踏んづけて、蹴散らしてみることにした。



 
2005年11月5日(土) 『完全も不完全も無い世界』

変わり続けてく状況に、癒されたり疲れたり。

変わらないモノに、支えられたり振り回されたり。

独りで居たかったり、誰かと居たかったり。

誰がどう見ても同じ形だったり、違う形だったり。

本当に在るようで、本当は無かったり。

重かったり、軽かったり。

とにかく自分が中心になって考えないと答えは定まらなかったり。

だからと言って誰かを無視して考えても答えは定まらなかったり。

妥協したり、ぶつかってみたり。

でもその全てが真実なんだって

肯定しながら否定して歩いてたりもして

ホント人間って不思議な生き物なんだって思った。

 
 
2005年11月4日(金) 『悲しみじゃない、涙』

ちょうど去年の今頃から世話になり
精神的にも多大な救いを得た京都の老舗漬物店が
東京日本橋高島屋の催事「味百選」に出展する
という話を伺い、上司に会う為行ってきた。

去年仲間達と共に製造にあたったモノと同じ漬物が並ぶ中
味見用をそっと掌に乗せた後、じっくりと噛み締めながら
当時の様子が鮮明に脳裏に映しだされるのを実感した。

上司と会うなり力強い握手を交わし
お互いの近況や元気でいることを確認し合った。

思い入れの強い漬物を選んで購入し
「年末に予定を立ててまた伺います」と
その場を離れた後すぐ、不思議と気持ちが高まって
今も変わらない温かさに、思わず涙しそうで驚いた。

当時、その漬物屋とアナタという人格(ひと)に出会えて
本当に良かったと、感覚の全てで理解できた。
体中の血液はいつだって、暖かさを欲しがっている。


 
 
2005年11月3日(木) 『ALIVE』

この感情は何だろう…?

無性に腹立つんだよ

自分を押し殺したはずなのに

馬鹿げた仕事を終え

環状線で家路を辿る車の中で

「全部降りたい…」「寝転んでたい…」

そうぼやきながら、今日が行き過ぎる

※「Mr.chirdren」より。
 
 
2005年11月2日(水) 『最後の一撃は、せつない』

俺の名を誰かがシキりに呼ぶ声がして
その声のする方へと必死に伸ばした手を
ある人は力強く握り返した。

目を開けることさえ許されないまま
もしもこの手を離してしまえば
まるで自分が何処か別の場所へと
切り離されていってしまいそうな感覚。

俺の名を呼ぶその声と
握り返してくれた体温だけが
きっと唯一の安心感だった。

「泡盛」と呼ばれた最後の一撃は、せつない。

 
 
2005年11月1日(火) 『warld’s end』

捨てんのに胸が痛んで
取っておいたケーキを、結局腐らせて捨てる…
「分かってる、期限付きなんだろ?」
大抵は何でも、永遠が聞いて呆れる。

僕らはきっと試されてる
どれくらいの強さで明日を信じていけるかを
…多分、そうだよ。

誰が指図するでもなく、僕らは何処へでも行ける
そう、どんな世界の果ても気ままに旅して回って
暗闇に包まれた時、何度も言い聞かせてみる…
「今、僕が放つ明かりが君の足元を照らすよ」

※「Mr.chirdren」より。