一瞬、 空からまた涙が降ってきたのかと思った。 自分の頬を伝つたったものが、 あまりにも海と似ていたから。 そして突然に、 最後に残った「白」が少しだけ思い出せた。 矢印のかたちをして、僕を誘う「白」。 本当の別れは今なのだろう。 無性に焦こがれていたもの。 僕の始まりの理由。 僕は、 見渡せる限りの空を、 見渡せる限りの大地を、 鬣たてがみ色に塗りつぶした。