壁が全て鬣たてがみに染まった。 僕が始まったときには、 この白かった壁の終わりも始まってた。 今となってはもう思い出せない色。 僕を導くような最期の矢印。 愛いとしかった色。 僕の世界にあった、ただひとつの美しさ。 全てを奪う鬣たてがみは、 僕に与えられた。 冬に最も近い者。 海に最も近い者。 悲しみに最も近い者。 ならば僕は、 僕に与えられた世界を生きよう。