SION&THE MOGAMI
2002.5・10@DRUMLOGOS

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SETLIST
<うる覚えです。>

小さい天使
通報されるぐらいに
午前三時の街角で

u-uuu-u
まだまだ
傘いらんかん


薄紫

俺の声
ここで
一瞬に
新宿の片隅から
ちょっとでいいから
MAYBE
ろくでもない明日にしたくなければ

en>1
41
お前がいる
砂の城
en>2
がんばれがんばれ



KEY
細海魚
DRUM
池畑潤二
BASS
井上富雄
GUI
松田文
VOCAL
sion
GUI
藤井一彦


5/10雨。
シオンのライブを見るのは4度目。
最初の印象は、他のライブと違ってわかっているファンが多いため独特な雰囲気があり、つぼもある。それは簡単に言えば、他のライブでは盛り上がる乗り乗りのナンバーで
立ったり、歓声が上がりヒートアップするが、シオンの場合は歌もの。静かなそして他のライブで言えばバラード。シオンの場合は歌詞もはっきり把握しているファンが多いので
つぼがある。が、しかしシオンがデビューから在籍したテイチク→東芝EMIに移籍した98年から音もライブの雰囲気も徐々に変っているし、シオンの見せ方も変った。いやおそらく戻ったのであろう。それは多分<MAYBE>初期衝動へ。契約切れ→出会い→変化が確実に変っている。東芝はエレカシも変貌させた。エレカシもシオンに似てライブに特徴があり、全く見せ方は違うが客の雰囲気が似ていた。が、エレカシの場合は声のでかさやR&Rの基本的な路線変更ではないが、シオンの場合音もステージングも変り、じわっとくる<つぼ>をついた歌詞の一節に、やられ、元気がもらうことが出るものであったし、しかもその言葉は意外と日常にあった。が、98年出された<Sion comes>ではただ音がでかくなっただけでなく、スピードも尖り具合もそして大きく変ったのはメンバーの入れ替えである。やはり、私が好きだから言うわけではないがグルーバーズ藤井一彦との製作にはかなり音楽的な<出会い>があったこともタイミングも手伝って、当時のインタビューでもそう答えていたがあったようだ。初期のツアーでも参加していたメンバーが次々に参加し、他のロックファンも聞かざるを得ないメンツになっている。

 ロックファンにとって勝手な気持ちとして対バンで夢の競演やロックイベントに好きなメンツが重なると違う感覚で聞いていたバンドが、同じステージでなおかつ競演などされると不思議と思いが繋がっていく。僕にとってシオンもそれであった。シオンはシオンで好きだった。ロックのど真ん中って感じじゃなく、どっちかというと渋めの領域でいつも聞いていたような気がする。いわゆる甘いものは別物って感じである。そしてそのロックのど真ん中って感じで中学の時にルースターズに出会い、高校の頃シオンを知ってメンツにルースターズのメンバーの名があった。18の頃HEATWAVE,GROOVERSに出会った。その後東京で、この2つのバンドはイベントをきっかけに今でも交流がある模様。そしてグルーバーズ藤井はシオンのアルバムにもルースターズトリビュートにも参加する。そういわずと知れたHEATWAVE全盛を支えたキーボードが細海魚。すべて繋がるのである。
 98年のアルバムではロック色が強かったが、移籍後ベストを含め4枚のアルバムを出すなか、ただ尖ったナンバーだけでなく、シオンのこういう言い方はあまり好きではないけど、
泣かせる歌。僕の中ではまるでその説得力は童謡並みであると自分の中では解釈している。その力はどういう奴でも自分の周りにはシオンを悪くいう奴はいない。
そのシオンがサポートという言い方よりも少しステップアップした感じで、そのバックバンドをTHEMOGAMI と名乗りアルバムを完成させ、ツアーを回る。去年からこのメンバーでライブを行い、FUJIROCKなどのイベントにも参加した。今回ライブの内容だけでなく、例えば地方の会場では開始を19:30にしたり、学割を導入したりと色々な新しいトライを行っている。


そんなライブツアー初日に行って来た。
今回の新作は、15周年記念ベスト後の新作でもあり、またこの鉄壁のメンバーで作られた移籍後の総決算的内容になっている。藤井アレンジのエッジの尖ったナンバーや古くを知る
メンバーのアレンジによるテイチク時代のシオンも垣間見れるナンバーも多く、本人がアレンジし、ステージの最後で歌われた<ろくでもない・・・>や自らの年がタイトルになった<41>は、テイチク時代と東芝時代をうまく引き出されているナンバーもある。
会場は前の方は椅子がセッティングされ、後ろは立っている。ホールツアーが多かったシオンのライブで総立ちになるのはいつも最後のほうだが、このメンツになってシオン自ら<立て!>というポーズを多くとるようになった。去年のグルーバーズのゲストで来たときなんて凄かった。だが今回の新作は、先ほども触れているようにここ5作の中でもトータル的な内容が多く、ロックナンバーが立て続けというものではないので、それでいて昔みたいに静かな歌物ばかりが並んでいるわけではない。はっきり言っていいライブになることは間違いないが、どういう感じで攻めてくるか全く読めないところもあった。だから前の方は座っていても今日はいいような感じがした。

 が、シオン流のロックの見せ方がここにあった。勘違いして欲しくないのは、シオンは確かに円熟味は増しているがよくあるただ渋いわけではない。藤井一彦<アナーキー藤沼、ARBキース、頭脳警察、グルーバーズ>池畑潤二<ベンジー、山口洋、R&Rジプシーズ>などロック色の強い活動を見せる2人が、ロックで引っ張って序盤のミディアムテンポのナンバーもオーバーアクションで、それは別に客を煽るわけでもなく、曲の内容を体現しながらこれまでのここ何年かのツアーをよみがえらせるような表現の仕方だろう。もちろんライブであるからにしてそれで客が、総立ちになったらなったで言うこともないが、シオンの場合特にじっくりかみ締めながら聞きたいという感情も理解できる。ただ煽っているわけではないというのは3曲目でわかる。この何年かの活動の発火剤でもある藤井がフォークギターを手にした。<トータル的な内容>という僕の表現はここにあった。藤井が歌いだした3Pのグルーバーズで初期によく歌われていたボブデュランのライクアローリンストーンも友部正人氏のバージョンを引用したり、またやはりピアノマンリクオなどの交流でもわかるとおり、古くっからのシオンファンから反感を買うのではと思わせるぐらい、長所でもあるのだが発火すると止まらない藤井が3曲目から武器を変えるほどこのバンドのバランスを楽しんでいる。上の図は今日の立ち位置だが、右半分が暴れまくっているのに対し演奏に徹する苦楽を共にする松田文のPLAYが光る。決して表情を変えずまるでノイズ紛れの現代と戦うかのように、もくもくとシオンを支えている。今回は曲の終わりの合図を藤井が取っている。それがまた池畑と顔を見合わせて。たまらない。

 久々のナンバー<蛍>から何か今日はたくらんでいる様子があった。それは、年齢的にも曲間に間合いがあってもいいはずだがギターチェンジ以外はほとんど間髪いれず、それはR&Rナンバーからスローなナンバーへの転換にも曲間を空けないほど・・・。そしていきなりまだ1時間も経っていないときに歌われたのが名曲で、ベストアルバムで再録された曲。
<色あせても笑う・・・・>耳を疑いつつも、それでいいとも感じた。当然、出だし客も戸惑いながらも歓声が上がり始める。するとサビ前からシオンが客のほうにマイクを向け<歌え!>
と言わんばかりに地声で歌いつつもあくまでマイクを客に向け続ける。それも力の限り声を振り絞るように、叫ぶように歌い始め、さらに客へ<前に来い!前に来て一緒に歌ってくれ!一緒に歌おう>というポーズを見せた瞬間、若い新規のファンのような者、昔っからの連中、今までのシオンのライブで、いや解散ライブなど以外でこんな風景見たとこがない光景である。拳が至るところで上がりだす。いろんなことがよみがえる。これがシオンが戻ってきた瞬間である。そして次のナンバーはまさに<ここで>その後も新作から藤井アレンジナンバーが続くも前半と違い、左2人、playに徹していた井上富雄でさえもヒートアップ。文さんは気づくとレスポールを持っている。前に積みよってくるファンにあの文さんがハイタッチで応える始末である。そしてこれがシオンです。年齢からも想像できんほどのヘビーなナンバーオンパレードの後、間髪もいれず最後は新作唯一のシオンアレンジの<ろくでもない・・・>。
シオンのライブぽかったのは、前に総立ちのファンの後ろでセッティングされた椅子に座っている人は立つこともなく、以前のように見ていたのが少し心配なぐらいのハイテンションなバンドサウンドだった。

アンコールではメンバー全員ツアーTシャツを着て登場し、アコースティック中心に文句なしの内容。シオンが<元気で!ありがとう!大好きです!>と言ったのが印象的。
終始、先日NHKの番組で言われていた<おっぱい好き>と何度も客から煽られている場面もあったが、最後の言葉がすべてであった。ステージの上で今のシオンはまさにロッカーであった。アンコール終了後も、客電がついてもアンコールはやまなかった。そう、以前シオンは客電がついた後に出てきたことがあった。
そう。この風景を見て安心したのは、アンコールに出て来る出て来ないではなく、それを知っている根っからのファンが藤井が加入したロックなシオンが受け入れられた光景であった。