1. チューニング。
おはようございます、僣越ながら講師のりびけんです。
こちら、T's Guitarさんの新作ウクレレです、よろしくお願いします。
今日はですね、「普通の3コードでは単調になりがちな演奏に、ちょっと振りかけるオカズ」の話をします。
サンプルとして、こちら(後ろのボード)、3コードで4拍子の歌を用意しました。黒いほうが基本的なコード進行、赤いほうがいろいろいじり倒してややこしくしてみたものです。
いろいろ横文字とか数字とかが書いてありますけれども、演ってみれば簡単なことしかしていませんので、あまり気にせずに「音の響き」だけ覚えて帰ってください。
もともと音楽っていうのは「音」が先にあって「理論」は後から付いてくるものですから、つまり「理論」より「響き」のほうが偉いんです。要するに、自分が聴いて「おかしくない」と思えればそれで宜しい。僕も今日は「森さんの前座」ということで気楽にやっていますので、皆さんも気楽に音を出してみてください。
要するに「何を演ってもいい」といった話にもなるんですけれども、今日は取り敢えず入口のお話という心算ではおります。それと、資料は基本的に使いませんので、参考までにお持ち帰りください。よろしくお願いします。
どうでもいいけど、客席に上手い人とか物凄く上手い人とか面白い人とかたくさんいて、やりづらいですね(笑)。まあいいや、では、取り敢えずウクレレを出してみてください。
客席:「まずチューニングしましょうかね、ぷー(ピッチパイプ)」
あ、ありがとうございます(客席はチューニング中)。
そうですね、今はそこのお兄さんがピッチパイプを吹いてくれましたけど、たとえばこれ(と言ってケータイを取り出す)。これで電話をかけようとしたときの音が「ソ」の音ですから、これで4弦のチューニングができます。このためだけにケータイを持ってる人もいますからね(噂)、覚えておいてください。
2. サンプル。
- (1)プレイン。
- (A)
|C|C|C|G7|G7|
|G7|G7|G7|C|C|
|F|F|C|C|
|G7|G7|C|C←ブレイク→|
(B) |G7|G7|C|C|
|G7|G7|C|C←ブレイク→|
- (2)いじり倒し後。
- (A)
|C|C△|C6|Dm7|G7|
|Dm|Dm△|Dm7 G7|C|C C C△ C7|
|F|F6|C△|A7-9|
|Dm7|G7|C Csus4|C←ブレイク→|
(B) |Gsus4|G7|C Csus4|C|
|G7|Dm7 G7|C Csus4|C←ブレイク→|
まずこの簡単なほう(プレイン)を演ってみましょう。CとGとFのスリーコードなので、だいたい判りますよね? イントロはBパートのラスト4小節で、ABをとりあえず1回ずつ。一緒に弾いてみてください。はい。
- ♪ちゃんかちん。
-
これは簡単ですよね。
いまそこに、僕の前座が終わった後に本格的な指導をしてくださる森さんがいらっしゃるんですけど、速弾きの神様がふつうにCの4拍子とか弾いてくれていて、嬉しいですね。いや、初めて見ました。あ、どうぞ。前のほう、まだ空いてますよ。この人が座ったら始めます。
それでは、これをいじってみた「赤い方」をちょっと弾いてみますので、聴いてみてください。
- ♪ちゃんかちん。
-
とまあ、こんな感じにいじっていく過程のお話を、今日はしていこうと思います。あ、いらっしゃい。前の方の席、空いてますよ。あの人が座ったら始めます。
3. 「4」と「6」。
ではさて、曲からはちょっと離れましてですね。
たとえばこの黒いほうの初っ端4小節。「Cばっかりで退屈だな」という意見もあると思うんですよ。
それでですね、ここにときどき「ファ」の音を足してやる、という手があります。この「sus4」って書いてあるところがそうなんですけどね、なに、3000のCに2弦1フレットのファを足すだけのことです。ちょっと聴いてみてください。
- ♪ちゃんかちん。
- 3000と3100を交互に。
演ってることはごく簡単ですよね。一緒にちょっとやってみましょう。
- ♪ちゃんかちん。
-
はい。
これはつまり「ドミソのミを抜いてファを入れる」ということをやっているわけです。
コードネームというのは「このドミソを弾け」というわけではなくて、「この音階を使え」って指定しているだけなんですよ、実は。そして、たいがいの場合に「ファ」の音は「使える」というか「入れちゃって構わない」わけなので、いろんな曲で使えます。
そうだなあ、たとえば「上を向いて歩こう」だと、
- ♪ちゃんかちん。
- 2拍ごとに3000と3100でちょっと弾く。
ほら、ちゃんと入るでしょう? クイーンの「愛という名の欲望」のイントロなんかこれだけでできてますからね。
- ♪ちゃんかちん。
-
ほら。この「ドミソのミを抜いてファを入れる」、この響きは覚えておいてください。
たとえばGだと、「ソシレのシを抜いてドを入れる」。
- ♪ちゃんかちん。
- 2320と3320。
たとえばAなら、「ラド#ミのド#を抜いてレを入れる」。
- ♪ちゃんかちん。
- 0012と0022。
ほら、同じ響きであることが判りますね。
Fでやってみましょうか。Fの場合は「ファラドのラを抜いてシbを入れる」わけなんですけど、素直に1弦1フレットを入れると4弦2フレットのラとぶつかっちゃうんですね。じゃあ4弦3フレットを入れようとすると、ちょっと押さえ方が難しくなる。
めんどくさいから、4弦は開放にしちゃいましょう。なに、聴いた感じで違和感がないから、これでいいんです。
- ♪ちゃんかちん。
- 0102と1100。
同じように、「ドミソにラを足す」という手もあります。これも4と同じように使えますので、覚えておいてください。セブンスなんかよりはよっぽど使える機会は多いわけですし。
- ♪ちゃんかちん。
- 3000と3002。
Gならソシレミ(2320→2020)、Aならラド#ミファ#(0012→0212)、Fならラドレファ(0102→0122)ってことになります。
3+. 脱線してブルーズ。
この「6」ですけど、6のフレットの右隣がセブンスということになりますから、6を押さえた指をひょいと右へ動かすだけでセブンスが弾けるわけなんですね。このパターンだけでロケンロールが弾けますから、ちょっと演ってみましょう。
- ♪ちゃんかちん。
- 以下2拍ずつ、
C(3000)→C6(3002)→C7(3003)→C6(3002)×4
F(0102)→F6(0122)→F7(0132)→F6(0122)×2
C(3000)→C6(3002)→C7(3003)→C6(3002)×2
G(2320)→G6(2340)→G7(2350)→G6(2340)
F(0102)→F6(0122)→F7(0132)→F6(0122)
C(3000)→C6(3002)→C7(3003)→C6(3002)
G(2320、3弦はチョーキングでG+にする)
ほら。こっちの指1本を動かしているだけなのに、なんか難しいことを演ってるように聴こえるでしょう? 構わないからいろんな音を入れちゃって、それで面白ければそれでいいんですよ。
あ、いらっしゃい。クマケツが座ったら始めます。おい、クマケツは最前列に決まってるだろう。おいで、森さんの隣。
4. カウンターライン。
それではサンプル曲に戻りまして。
- (1)プレイン。
- (A)
|C|C|C|G7|G7|
|G7|G7|G7|C|C|
|F|F|C|C|
|G7|G7|C|C←ブレイク→|
(B) |G7|G7|C|C|
|G7|G7|C|C←ブレイク→|
- (2)いじり倒し後。
- (A)
|C|C△|C6|Dm7|G7|
|Dm|Dm△|Dm7 G7|C|C C C△ C7|
|F|F6|C△|A7-9|
|Dm7|G7|C Csus4|C←ブレイク→|
(B) |Gsus4|G7|C Csus4|C|
|G7|Dm7 G7|C Csus4|C←ブレイク→|
さっきの「4」なんかはこのへんで使っているわけなんですけれどもね。
それでもまだ物足りないという場合にはですね、勝手な音列つまり音の並びをですね、ここにはめ込んでしまうという手があります。
具体的には、例えばAのてっぺん4小節に、勝手に「ド→シ→ラ→ソ」(1小節ずつ)というのを入れてやるわけです。単音で弾くとこんな感じ。コード弾きするとこんな感じです。
- ♪ちゃんかちん。
- |C|C△|C6|Dm7|G7|
3000→2000→0000→3122→2120。
歌も入れてみましょうか。
- ♪ちゃんかちん。
-
こんな感じです。こんなのは人指し指をスライドさせているだけなんですけれども、なにか難しいことをしているような気がしますよね(笑)。2段目の最後でも同じことをしています。こんな感じで(♪ちゃんかちん)。
続きまして2段目、勝手に「レ→レb→ドシ→ド」というのを入れてみました。
こんな感じです。
- ♪ちゃんかちん。
-
|Dm|Dm△|Dm7 G7|C|
0122→0110→|0102→2120|→3000
同じ部分で、たとえば「ラ→ラ#→シ→ド」というのもできますね。あ、すいませんいま思いついたものだから、タブとか書いてません。ごめんなさい。演ってみましょう。
- ♪ちゃんかちん。
-
|Dm|Dm+|G7|C|
0122→1120→2120→3000
このあたりも、とりあえず好き勝手にやってみて、自分で納得できればOKなんですよ。
いろいろ工夫してみてください。そりゃまあ間違えたりヘンなことをしちゃったりすることもあるんでしょうけれども、いずれ普通に弾いていたって間違えるときは間違えるわけだし、だったらトライしてエラーこくほうがなんぼかマシです。
こと音楽に関しては、何を演ったって構わないわけなんですから、いろいろやってみましょうや。
5. その他の技術。
というわけでいろいろありましたが、それでもまだいろいろやりたいという意見もありますよね。難しいことは次の森さんにお願いすることにして、「すぐできること」をいくつかご紹介しておきます。
まず、左手の押さえ方を変えちゃうという手がありますね。
たとえば、これ(3000)もC、これ(3345)もC、これ(7879)もC、これ(0000)もだいたいCですよね。
さきほどのお話みたいに「コードの構成音をちょっと変えてやる」という手もありますけど、単に「コードの押さえ方をちょっと変えてやる」ということでもそれなりの変化というかアクセントが得られるわけです。
赤いほうの3段目の最後の小節、ここは気分でA7-9(1010)という押さえ方をしていますが、ここをスライドしてみましょう。
- ♪ちゃんかちん。
-
|A7-9→A7|
1010→4040。
もうスライドするだけですからね。すぐできます。
あと、たとえばDm。ここからスライドしてこっちをセーハというかバレーというか、要するに5フレットを全部押さえるだけです。ほら。
- ♪ちゃんかちん。
-
|Dm→Dm7|
0122→5555。
すぐできますよね?
重要なのは、この「形」とか「弾きかた」を覚えることではなくて、こういうことをやっていくと、いずれまた「新しい弾き方」を発見できるという点なんですよ。
ウクレレをどんな弾き方をしていても、法に触れることもないし、誰に迷惑をかけるわけでもありません。何を弾いても構いませんから、いろいろ演ってみると楽しいと思うんですよ。
たとえば、1弦の開放はラの音ですが、ナットの向こう側(ペグの近くの弦)を押さえれば、音が上がりますよね。これをチョーキングと言うんですが、全開放でここを押さえるとC7になりますね。
あるいは、全開放でナットの向こう側を揺らしてやれば、ビブラートもかかります。
単音でもかけられますね。
あと、開放を鳴らしたあとで本体を廻しちゃうとかね。
では、シメでサンプル曲を弾いてみましょうか。
今日お話した要素はぜんぶ放り込んで演ってみますので、よろしければご一緒にどうぞ。
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