J-popしか聞かない人にもHIPHOPを体感してもらう、その逆も然り…。
あらゆるリスナーの耳が肥えることによって、日本の音楽文化のレベルを引き上げる。
リミックスってそれを実現する最適な方法だと思うのだ。

DJ ME-YA

 

 上は麻衣ちゃんのリミックスでおなじみ、DJ ME-YAさんのコメントである。ME-YAさんがうちのサイトを見てくれた時、ME-YAさんのサイトにREMIX考察としてコメントしてくれたのだ。ここでは-Over ground & Under ground-と題して、オリコンをにぎわしているオーバーグランドなサウンドと、あまり一般の耳には入ってこないアンダーグランドなサウンドについて考えていきたい。

 

はじめに
 具体的な話題に入る前に、オーバーグランドとアンダーグランドのサウンドについて詳しく定義しておこう。オーバーグランドとは文字通り、一般的に広く知れ渡っている状態のことをいい、オーバーグランドサウンドとは『J-POP』のことに他ならない。(日本に限った話だが。。)反対にアンダーグランドとは、表社会にあまり出てくることのない、または出てきていない状態のことをいい、アンダーグランドサウンドは『クラブ・ミュージック』や『民族音楽』、その他各個人や団体が独自に築き上げたサウンドのことをいう。ここでは特に『クラブ・ミュージック』を指すことにしよう。

 

オーバーグランドサウンドとは
 オーバーグランドサウンドには典型的な特徴がいくつか見られる。まず@人気のあるアーティスト、ユニット、グループの曲、でほとんど構成されている点である。その人気はアーティストのある1作品もしくは数作品がヒットすると、その後長い間続く傾向がある。またこれらの作品はAどんなジャンルであれあまり比較されることなく、すべてまとめて『J-POP』とまとめられている。ジャンル的には5割ほどの曲がPOPSに属する作品であるが、残りにもJazzやRock、Trance的なサウンドもあれば、Soulや演歌まで様々なものがあるにもかかわらず・・・・。そして一番わかりやすい点が、Bほとんどの作品が『歌』として作られ、『歌詞がついている』ことである。これはCカラオケで使える作品として注目される点ともつながっているが、なぜか歌詞が付いていない作品はあまりオーバーグランドで見られない。これは「歌詞」がオーバーグランドサウンドにとって重要な要素の1つであることを示している。というより、「歌詞」こそが最も重要な要素であるのだ。でなければ、様々なジャンルを全部ひとつにはまとめないはずである。また『歌』としてメロディラインが『万人受け』するものであることも特徴である。そしてその『万人受け』の条件として、Dその時代での若者の生活背景が大きく影響していることは言うまでもない。

 

アンダーグランドサウンドとは
 逆にアンダーグランドサウンドには典型的な特徴というものが見られないすべてが自由であり、あらゆる表現方法で皆が自分の音を作り出しているからである。そのためジャンルも演奏時間も、使われる音や楽器や演奏される場所までもが大きく異なっており、アンダーグランドサウンド自体が『音楽』として定義されても過言ではない。このように、アンダーグランドサウンドは『万人受け』のために作られたものではない。そのため聞く側にとっては、「聴かされている」というイメージに陥りやすい。この点が『アンダーグランドサウンドがオーバーグランドされない』理由の1つになっているように感じている。

 

お互いの架け橋
 最近ではオーバーグランドにPOPS以外のジャンルも多く見られるようになっていることは先に述べた通りである。例えばRAPもそのひとつで、10年前まではアンダーグランドサウンドであった。なぜのそRAPが今オーバーグランドでここまでの地位を築き上げれたのか、それはDこの時代での若者の生活背景が大きく影響したからではないだろうか。就職難や受験戦争の中にあって、夢を追いかけたい若者などはゆとり教育などに見られる『自由さ』が求められるようになった。これが様々な要素を通じて『音楽』の世界にまで影響し、それまでのオーバーグランドにはなかった、『自由なアンダーグランドサウンド』RAPに魅了されていったと考えられる。このように広まるきっかけとなったのは『オーバーグランドとアンダーグランドの架け橋』が存在したおかげであり、その架け橋はまさに『リミックス』そのものであったのではないだろうか。事実、「ケツメイシ」のリミックス作品が世に広まりはじめてから、RAPはオーバーグランドサウンドの主流として注目されている。このように『リミックス』はオーバーグランドから求められているサウンドをアンダーグランドから提供することのできる、まさに『架け橋』なのであり、アンダーグランドではその『架け橋』を通じてオーバーグランドの人々に自分のサウンドをもっと聴いてもらおうと多くの作品を提供し続けているのである。

 

今後の両者のあり方は・・・
 J-POPとひとくくりでまとめられ出した時代、すなわち90年代から2001年頃にかけて、オーバーグランドのCDを買う人たちはもっと開放的な時代でした。テレビの音楽番組が積極的にアーティストを取り上げ、それを見た人達が次々にCDを買っていくことでミリオンセラーを作り、そこからさらにコアなファンをつり上げていく、つまり、ある曲を買っていく人の中に「カラオケで歌うために買っていく人」「CDで聴くために買っていく人」「ライブに行くために予習しようと買っていく人」「すでにどっぷり浸かっている人」などいろいろな濃淡がありました。それゆえに新旧ファンの対立あり、アンチ同士の対決あり、罵りあいあり、要するに「音楽リスナー同士の対話」がそこにはあったのです。ところが最近では、実力よりも実績でアーティストの格を決めていく傾向が強くなっています。「音楽リスナー同士の対話」以外に積極的に取り上げられた形跡がない曲が売れてしまうことが当たり前となっているのです。このことはアーティストとその固定ファンたちが、『閉じた世界を形成しはじめた』ことに他なりません。

 またCD時代にもコピー制限がかかるなどし、音楽に対する関心は『作品自体』から『テレビ』という最もアクセスしやすいメディアに集まる傾向にあります。こうなるとテレビが音楽にもたらす影響は悪いものばかりです。他のメディアは多かれ少なかれ『閉じた世界』を形成していますから、結果として『アーティストのファンはアーティストと閉じた世界を形成』し、それ以外の人とは全くコミュニケーションしなくなってきています。

 こうなると、音楽に対する関心はますます狭くなる一方です。自分は倉木麻衣を応援し、彼女の曲ならなんでも知っている!と思っていても、それは『倉木麻衣というアーティストだけの閉じられた世界』なのです。まさに井の中の蛙という言葉がぴったりになってしまうわけですね。こうなってしまわないようにレコード会社はCDに『リミックス』を収録しています。(たぶん。。リミックスを収録することで、そのアーティストにはないアンダーグランドサウンドがオーバーグランドの人たちの耳にも入り、『音楽はオーバーグランドだけではない』ことを伝えられるのです。そしてこのことは、『聴いている自分の音楽はどのようなものなのか』見つめ直すきっかけにもなり、しいては自分の音楽の価値観を高めることにもつながってくるのです。

 あなたは友人と音楽の好みについて話したりすることはありますか? また友人がどういう音楽を聴いているのか知っていますか? 自分が好きでない音楽を聴いている人と議論したことはありますか? 一度もしたことのない人、あなたの音楽観はそれでいいのですか?自分のことは自分の中に閉まってしまう、それであなたは本当に満足していますか?

 他の人よりもっと自分らしくありたい、そんな人のためにこのサイトが活用されたらこの上ない幸せです。

 

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