まず、当サイト「Remix Express」へのご訪問、ありがとうございます。ここへ来られた方々のほとんどは「リミックス」がどんなものなのか知っている、もしくは聴いたことがあるって方が多いとは思います。でも、「リミックスって何?!」と思ってここにたどり着いた方々も多いのではないでしょうか。ここでは世間一般に言われているリミックスとはどんなものなのか、その作り方やリミックスの存在理由について、おまけにリミックスに対する僕自身の個人的な解釈をご紹介します。

 

リミックスって何?
 リミックスをわかりやすく簡単に表現するならば「曲の模様替え」になるでしょう。オリジナルの曲を仮に、好きな衣装を着ているあなた自身とすると、リミックスはファッションコーディネーター選んでもらった衣装を着ているあなた自身になります。コーディネーターによって選ぶ衣装も変わってきますよね。それによって明るく爽やかなあなたにもなりますし、ダークにちょっとシックなあなたにもなれます。どぉです?なんとなくわかります?コーディネーターをリミックスする人(リミキサー)とすれば、衣装が変わったあなた自身がリミックスということになるのです。

 今までのことをわかってもらった上でちょっと堅苦しい表現で言えば、リミックスとは「オリジナルの別解釈と再構築」と言えます。あなたというひとりの人間を何人もの人が全く同じ印象で見ているわけではありませんよね。見る人が各々感じていることをそのまま表現したもの、それが別解釈です。またあなたに対して持っているイメージをいくつも羅列して、それをまとめて「あなた」とすることが再構築です。注意すべきは、再構築された「あなた」はあくまで見ている人からみた造られた「あなた」であって、それはあなたではないです。しかし、そこにはあなたの特徴が多く隠されていますよね。リミックスとはオリジナル曲に抱いたイメージをリミキサーが独自の視点で別解釈、再構築したものなのです。

 上でちょっとだけ言いましたが、重要なことは、「衣装が変わっても、あなた自身がいることに変わりはない」ことです。友達がぱっと見た時にあなたがいつもとは違った衣装であれば、友達は「いつものあなたではない」と思うでしょう。それはコーディネーターによって衣装が変わった・・・、もしくはあなた自身から気分転換などでコーディネーターに衣装を変えてもらったからですよね。でも、そこにいるのはあなた自身です。いつもとは外見や雰囲気、あなたの気分がちょっと違いますが、あなた自身がいることに間違いはないですよね。同じようにリミックスされた曲がオリジナルの曲と若干雰囲気が違っていても、そのリミックスにはオリジナルの曲がちゃんと存在しているんです。よく聴いてみれば、オリジナルの雰囲気がどこかに隠れているはず。リミックスから見ればオリジナルは、切っても切り離せない関係にあるんです。

 

リミックスってどうやってできるの?

リミックスとはリミキサーによる別解釈と再構築だ、ということはわかってもらえましたか?わかってもらえたのであれば、リミックスはどうやってできているのか・・・・わかりますよね。そです、別解釈と再構築をしているだけなんです。・・・・って言ってもよくわかんないですよね。具体的に言えば、CDとしてリリースされているRemixは、だいたい以下の 3つの制作方法に分けられます。

[1] オリジナルのマルチトラックを元にしたもの
[2] オリジナルの演奏データを元に作られるもの
[3] 2トラックの音源を元にしたもの


[1] は、ただ単にミックスダウン、つまり編集をやり直しただけのものから、ボーカルや楽器を録り直して別のアレンジに仕上げたものなど幅広く存在します。アーティスト本人によるリミックスバージョンにはこの方法が多いですね。ダンスミュージックに限らず、ロックやポップスなどのリミックスはほとんどがこの方法で、Album Mixがいい例です。

また、収録されている演奏のほんとんどがコンピュータを使った曲の場合、[2] のような方法でリミックスバージョンが制作されることがあります。メロディやフレーズはオリジナルと一緒だけど音色を全く違ったものにするといった場合は、だいたいこの方法で作られています。また、コンピュータの演奏なので、オリジナルとは全く違ったテンポにすることも可能ですね。

[3] は、ほとんどがアーティスト本人以外の人がリミックスを行なうような場合。昔の音源あるいは予算の関係でマルチトラックテープが用意できない場合などにも使われました。オリジナルの演奏を収めた DATから印象的な部分をサンプリングしてそれをループさせ、新たに別の演奏をダビングするという手法。中にはオリジナル演奏とは全く違う曲になっていて、どこにオリジナルのサンプリングが使われているのがわからないという過激なリミックスもあったりします。ほとんどのリミックス曲は上記のどれかに当てはまり、いずれも特徴があるので、自分の持っているRemix曲がどの方法で制作されているのかを想像するのも楽しいですよ。

 

リミックスの種類ってどんなものがあるの?
 「Remix」にはたくさんの種類があります。プロのDJ プレイも「Remix」の仲間に入るし、MD プレイヤーなどで、特定の場所などをLoopをすれば、立派に「Remix」と呼べる作業となります。しかし僕達が知っている「Remix」とは、こんな簡単な「Remix」ではないですよね。歌はそのままでトラック(インスト)が変わってる物や、歌だけ変わっているもの、まるっきりテンポの違う曲になっている物と様々で、それらが各CD に「〜REMIX」あるいは「〜MIX」として存在しています。

 「Remix」のすべての種類をここであげる事は不可能ですが、おおまかな物を上げると、「Club Mix」「Dub Mix」「Extented Mix」「Master Mix」などが上げられます。「Club Mix」は、CLUB EDIT と同じ様にクラブ用に踊りやすく曲をアレンジした物、「Dub Mix」は、基本的にマスターテープを使って効果を出す、「テープミックス」の事を差すのですが、レゲエなどのトラックも「Dub」と呼んだり、ボーカルぬきのインストゥルメンタル・バージョン、つまりカラオケ・トラックも「Dub」と呼んだりする場合があります。またメドレー形式に次々といろんな曲をつなげていくMixも「Dub」と言ったりしますね。結構ややこしいです。「Extented Mix」は「Club Mix」と似ていますが、演奏時間に重点を置いたMixです。一般的にclub mixよりも長めに構成されるのが特徴。そして最後の「Master Mix」。これはダンサーやDJ にとって、とても重要で、レコードやCD に入っている、すでに完パケの状態の音源「マスター音源を使って色々な事をする」Mixです。最初に言ったDJ プレイもMD 編集も何かに録音すれば、この「Master Mix」の部類に入ります。DJ達が日頃ショータイムなどで、色々な曲をノンストップで変えて行くミックスも、この「Master Mix」に入ります。

 

リミックスはどこで聴けるの?
 リミックスが世の中に浸透してきた現代では、リミックスは手軽にどこででも耳にすることができるようになりました。でも、まだメジャーな音楽ほど一般的ではありませんし、もし耳にしてもそれがリミックスだと気づいている人が一体どれくらいいるのかとなると、リミックスを聴く場というものはまだまだ限られたものにしかないのかなっという印象があります。

 リミックスを全く知らない人がリミックス聴き始めるのであれば、まずだれか知っている好みのアーティストさんのディスコグラフィを調べてみましょう。もしそのなかに「タイトル -○○ Mix-」のような書き方がしてあるトラックがあれば、それがそのアーティストさんのリミックスになります。作曲・編曲・作詞と並んで、Remixerの名が書かれているはず。もしディスコグラフィを見て「タイトル -○○ Mix-」がなかった場合は、リミックスアルバムと呼ばれるものを発売していないか調べてみましょう。リミックスアルバムは、そのアーティストさんのオリジナル曲のリミックスだけを集めたアルバムのことです。J-POP有名所で言えば、浜崎あゆみのAyu-mi-xシリーズや、ELTのThe Remixesシリーズ、MisiaのMISIA REMIX 200○シリーズ、倉木麻衣やGarnet CrowなどGIZA歌手のCool City Productionシリーズ、などなど意外といっぱいあったりします。

 ある程度リミックスに親しめてきたのであれば、CDではなく、アナログ盤を聴くといぃですね。アナログ盤とはレコードのことで、よくクラブでDJがきゅっきゅ言って回しているあれのことです。 こちらにはCDには通常収録されないようなレアな音源があったり、なによりプレス数がCDに比べて圧倒的に少ないので、普段のJ-POPとは全然違った感覚の楽曲が味わえます。中にはオリジナルばかり収録されるものもありますが、○○Mixと書いてあるものを購入すれば間違いないでしょう。

 

リミックスの受け止め方

 最近のRemixは、初期の「若干の修正」的やりかたとは大いに違うものが主流になり、ノンストップものや全く毛色の違ったアレンジをしてみるなど、一見多種多彩です。しかし、そのようなRemixはオリジナルのイメージとかけ離れたイメージを感じやすいためか、ダンスミュージック好きな人以外には受けにくいのが実情です。特にR&Bのような楽曲については、「とりあえずテンポ早めて踊れればいいじゃん」という目的で作られていると思われている場合も少なくないですよね。

では・・・リミックスの良いところとは何でしょう?

 それは一度完成されている聴きなれた曲が新鮮に聴けることではないでしょうか。「アレンジ」は元曲のイメージを壊さない程度に微妙な違いがあるくらいですが、Remixは一旦原曲のイメージをぶち壊しているので、新鮮に感じられますよね。聴きなれている原曲のアレンジバージョンでも始めは新鮮に聴けますが、ほぼ原曲であるため飽きが来やすいんです。

 原曲のイメージを一旦壊す、と言いいましたが、Remixerは全く原曲と違ったものを作ろうとしているわけではないです。はじめに言ったように、Remixはオリジナル曲の別解釈と再構築なんです。別解釈とはRemixerが原曲から感じ取った解釈で、再構築とはその解釈をRemixerなりに表現し直しているんです。

 つまりRemixとは、原曲に込められたミュージシャンの想いと共に、Remixerの解釈も同時に含んでいるんです。

 もちろんその解釈に共感できないRemixもたまにあります。また解釈は同じでも、表現方法が性に合わない時もありますよね。しかし、これらのRemixを、原曲とは全く違った「新しい一曲」として聴ける態度も必要なんじゃないかなっと僕は思うんです。

 こんな聴き方をしていると、「新鮮に感じられる」という効能だけでなく、嫌いだった曲や、あまり聴いたことがなかった曲さえも好きにさせてくれることも多々あるんです。Remix曲を聴いてそこから好きになった、ということが実際に多々あるんですよ。

 このように新しい曲として聴くことができるのがリミックスの醍醐味だと思います。いい意味でも、悪い意味でも、リミックスは新曲となりえるんです。原曲の雰囲気なんかこっちの思い入れなんてお構いなしに壊してくれるし。それがいい意味でなのか、悪い意味でなのかは・・・ね。

 悪い意味にならないためには、この人がアレンジを・ミックスをすればこの曲はこんな風になりますよという、リスナーに対する正の意外性を与えてくれるようなRemix・Remixerの出現が非常に重要になってきますよね。特に最近のメジャーな人達は、ずっといじりがいのある面白い人達がそろっているから。なおさらそう思うんです。

 Remixがあると、原曲だけよりもその原曲から派出された「可能性のある新曲」としてそのCD全体が際立ってくる。

 可能性のある新曲によってその曲の輝きは大きく変わってくると僕は思います。

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