最近のRemixは、初期の「若干の修正」的やりかたとは大いに違うものが主流になり、ノンストップものや全く毛色の違ったアレンジをしてみるなど、一見多種多彩です。しかし、そのようなRemixはオリジナルのイメージとかけ離れたイメージを感じやすいためか、ダンスミュージック好きな人以外には受けにくいのが実情です。特にR&Bのような楽曲については、「とりあえずテンポ早めて踊れればいいじゃん」という目的で作られていると思われている場合も少なくないですよね。
では・・・リミックスの良いところとは何でしょう?
それは一度完成されている聴きなれた曲が新鮮に聴けることではないでしょうか。「アレンジ」は元曲のイメージを壊さない程度に微妙な違いがあるくらいですが、Remixは一旦原曲のイメージをぶち壊しているので、新鮮に感じられますよね。聴きなれている原曲のアレンジバージョンでも始めは新鮮に聴けますが、ほぼ原曲であるため飽きが来やすいんです。
原曲のイメージを一旦壊す、と言いいましたが、Remixerは全く原曲と違ったものを作ろうとしているわけではないです。はじめに言ったように、Remixはオリジナル曲の別解釈と再構築なんです。別解釈とはRemixerが原曲から感じ取った解釈で、再構築とはその解釈をRemixerなりに表現し直しているんです。
つまりRemixとは、原曲に込められたミュージシャンの想いと共に、Remixerの解釈も同時に含んでいるんです。
もちろんその解釈に共感できないRemixもたまにあります。また解釈は同じでも、表現方法が性に合わない時もありますよね。しかし、これらのRemixを、原曲とは全く違った「新しい一曲」として聴ける態度も必要なんじゃないかなっと僕は思うんです。
こんな聴き方をしていると、「新鮮に感じられる」という効能だけでなく、嫌いだった曲や、あまり聴いたことがなかった曲さえも好きにさせてくれることも多々あるんです。Remix曲を聴いてそこから好きになった、ということが実際に多々あるんですよ。
このように新しい曲として聴くことができるのがリミックスの醍醐味だと思います。いい意味でも、悪い意味でも、リミックスは新曲となりえるんです。原曲の雰囲気なんかこっちの思い入れなんてお構いなしに壊してくれるし。それがいい意味でなのか、悪い意味でなのかは・・・ね。
悪い意味にならないためには、この人がアレンジを・ミックスをすればこの曲はこんな風になりますよという、リスナーに対する正の意外性を与えてくれるようなRemix・Remixerの出現が非常に重要になってきますよね。特に最近のメジャーな人達は、ずっといじりがいのある面白い人達がそろっているから。なおさらそう思うんです。
Remixがあると、原曲だけよりもその原曲から派出された「可能性のある新曲」としてそのCD全体が際立ってくる。
可能性のある新曲によってその曲の輝きは大きく変わってくると僕は思います。
|