ノイズは大敵。これは間違いありません。かつてカセットテープが主流だった頃はノイズリダクションといえばドルビーでした。(もちろん今でもありますけど・・・)こういうある規格のもとで行われるノイズの除去とSamplitudeなどのノイズリダクションは訳が違います。前者(ドルビーなど)は録音時に設定し、再生時にも同様に設定することが前提になっているタイプのノイズリダクションです(確か)。Samplitudeなどの場合は発生してしまった予想外の(規格外)のノイズだって除去してしまいます。そもそも、ノイズって私が考えるに「予想外の音が録音されたソースに混ざっている」みたいな感じです。いろんなノイズがあります。例えば、エアコンの動作音、パソコンの排気音、電気的なノイズなどなど。私はこれらのノイズを環境ノイズって言ってますけど、この環境ノイズを除去するのにSamplitudeは威力を発揮してくれます。録音されたテイクがこの世に一つしかないのなら、そこに入り込んでしまったノイズもこの世に一つしか存在しません。そんなノイズを退治するSamplitudeでのノイズの除去の様子をここで紹介してみます。
本題に入る前にもう一つ、なぜノイズリダクションが必要か?ということです。それは前回少し触れたS/N比の向上に他なりません(私の場合です)。S/N比が向上すると、音がクリアーに聞こえ、なおかつダイナミックレンジも向上します。例えば10の音量で録音されたテイクがあって、そこに1のノイズが入っていた場合、原音は9になります。そこから1のノイズを取り去り、全体をを9にするとクリアになります。で、その9を10に音量を上げてやればダイナミックレンジもOKということです(分かりにくい、すいません)。また、もっとも注意しなければならないのは、「環境ノイズと雰囲気は紙一重」って事です。この辺は個人差がかなり出ます。とことんノイズを除去したら、死んだような音になってしまうことも良くあります。この辺に注意しながら早速、行ってみましょう。
とは言ってみても、我々ロッカーはノイズだとか、S/N比だとか、難しいことは分かりません。いきなり投げ出しているようですが、そうではありません。Samplitudeのノイズリダクションはそんなこと考えなくても良いんです。ノイズが嫌いだという気持ちだけでOKです。
基本的な手順は、
1.ノイズサンプルを作り(Get Noise Sample) ノイズサンプルを選択。画像の色が違うところがノイズのサンプルです。その中の黄色い部分がノイズ成分です。こんなにノイズがあるんです。
2.それをもとにノイズを除去する(Noise Reduction)
これだけです。
ノイズサンプルとは、ノイズのみが録音されている部分を抜き出したものです。注意点として椅子のきしむ音とか、部分的に発生するようなノイズはノイズサンプルには不向きです。ここで抜き出すノイズサンプルはバックグラウンドで常に入り続けているようなノイズにして下さい。曲の先頭のところや、終わりのところなどに大体はノイズのみが録音されているところがあります。ここら辺から1秒ぐらい抜き出せればOK。逆に、録音するときには、先頭にノイズのみが録音できるように少し間を開けておくと良いかもしれません。この抜き出した部分をノイズとして判断し、処理してくれます。このノイズの除去は程度によって3段階あります。状況によって使い分けをして下さい。このSamplitudeのノイズリダクションは波形の逆相を波形の正相にぶつけると、音が消えるという理論を使っているようです。
ノイズリダクションは奥が深いです。なかなか思うような結果を得るには時間と労力を伴います。が、過酷な状況下で録音されたものでない限りは上記のやり方で解決できるはずです。また、Samplitudeのノイズリダクションのダイアログでは様々な設定が可能です。もっと細かく設定してノイズを追いやることが出来ます。
ということで、今回はこの辺で。
次回はコンプレッサーです。
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