吉原篇・2

たまやかぎやは花火の競い
ぽとりとおとした羅宇火種
じゅんっと川面に落ちたとさ

たまや かぎや らうや〜
らうはいらんかね。
どこもかしこもしけてやがらあ。
たまや かぎや うらめしや〜。

かーさんのゆーれいなら恐くないって
あの子が言った。
川に流した灯篭を
見えなくなるまで追いかけたっけね。

いまではりっぱな女郎花
不見子の霊とて守り神
清からず、されど明るく美しく。

ああ、お彼岸だお彼岸だ。
そうだねえ、なつが終わるねえ。
あたしをおいて、逝ってしまうねえ。

暗転。