吉原篇

あのひととふたり手をつないで
死んだ小鳥を埋めにいった。
蒼い月に照らされて
神社はとても神々しかった。

一心不乱に穴を掘る
あの人の横顔を見ながら
あたしはいつかこの人が
あたしを買ってくれないだろうかと、
うっとりしながら考えていた。

あたしは卑しい生まれの子。
だけど花魁になったなら
いつか花魁になったなら
あの人と、結ばれる。

だから今宵も今朝とても
お唄のお稽古いたします
踊りのお稽古いたします

待てど暮らせどあの人は
あの人は、迎えに来ない。
生きていたなら逢えようものを
あの人の葬式なんかに行く夢をみる。

あたしの着物は赤くって
何だかとっても赤くって、
目覚めてからもとても悲しいのさ。

暗転。