弐〇〇〇年長月弐拾八日 於横濱セヴンスアヴェニュウ


本日の演目

薄暮の森

エログロきつね
夏蝶
我三界に棲み処なし
赤い花
明鏡止水
水色の涙
夢十夜
新曲(アカペラ)
かごめかごめ変奏曲

 すっかりと秋の風情漂う…筈が
まだまだ猛威を奮う暑さに茹だる横濱にて、
一月ぶりの羅宇屋興行。
名和眠嬢が一寸旅立たれて二人にての公演となりました。

今宵は一寸ばかり趣向が違う模様。
お太鼓に帯締めた華やかな風情のきよ嬢が先ずステヱヂヘ。
静暮嬢は『羅宇屋茣蓙』に隠れて、ちらりと此方の様子を窺います。

耳慣れぬSEが始まり、会場は「薄暮の森」へ誘われます。
しーちゃんは「てまり」と呼ばれる少女になって、
森の中を彼方此方へ遊びます。
「エログロきつね」「夏蝶」と御馴染みの導入。
影をひそめたしーちゃんの代わりに
「てまり」が朗々と歌います。
其の唄の後を追いかけるきよ嬢。

口上を挟んでは激しめの 「我三界に棲み処なし」「赤い花」「明鏡止水」が続きます。
曲にあわせた一挙一動も、すっかりとそれは「てまり」の動き。
何か潜んでいるかも知れない「薄暮の森」にて遊ぶ少女に
眼も心も奪われます。

やがてすっかりと陽は陥り、濃藍の闇が支配する夜へ。
森には黄色い月が浮かび上がり、惑う「てまり」を導くように
「水色の涙」「夢十夜」。
そしてきよ嬢としぐれ嬢の二重唱が美しいアカペラの新曲へ。

「てまり」の物語もいよいよ終わり。静暮嬢がマイクに向かい、
初めて最後の口上を生声で。
「懐かしい、心の砦を崩す音」
と始まったのは御馴染みの「かごめかごめ変奏曲」。
森を包んだ闇は何処かヘ。きっと夜が明けたのでしょう。
無邪気に遊ぶ子供たちの、うた。

そして再び森に日暮が訪れます。
SEが流れ、静暮嬢、もとい「てまり」は
「羅宇屋茣蓙」の陰からゆらり、手を振ります。
この日初めて羅宇屋を観る方も多かった様ですが
きっと「薄暮の森」にて「てまり」といっしょに
遊べたのではないでしょうか。

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