かごめ変幻自在篇

はいよはいよ、お嬢様がた、
ちょっとご覧になってあそばせ。
なんとまあ今日という日はめでたいお日柄。
何つったってあにさま方の晴れの舞台だ。
しがない羅宇屋のこのあたしだって
お祝いのひとつも言いたくてさあ。
ほいさ、羅宇屋さ。
なに?
羅宇屋をご存知無いときた。
いやだよう、いまどきぶっちゃってさあ。
羅宇だよ、羅宇。
きせるのさあ。管んとこあんだろ?
あれ羅宇ってんだけど、あれをさ、
取り替える商売やってんの。うちの親父。
あたしはこうして人の通りをながめてる。
いろんな人がいるもんさ。
親父はいつも
「人は欲望の前にあっちゃみんないっしょくたなんだなあ」
って言ってるよ。
あたしは頭がちょいとばかしおかしいから、
ちょいとばかしひとよりほんとのことが見えちまうんだよね。
みんなにおしえてあげたくてさあ。
本当のこと、へへん。
さあさあお立会い、羅宇屋の上得意は吉原の姐さんたちだ。
あたしも、もちょっと綺麗だったらねえ。
花魁姉さん、きれいなんだあ。
花嫁さんみたいに、きれいなんだぁ。

見知らぬ子が私になついて困る。
かわいくないわけじゃないさ。
でもやっかいだね。
あどけない子のこの手から未来の記憶があたしの中に
流れ込むから。

綺麗は汚い、汚いは綺麗。
花魁は花嫁なんかじゃないよ。
ああ、そう。
あの花魁はあんたの成れの果てかい。
あはは。

いっそ死んじまおうかなんて野暮なことを
考えるんじゃないよ。
だってさあ、
逃げ切れるとでも思ってるのかい?
自分ってもんからさあ。

どうせこの世はお祭り騒ぎ。
罰が当たろうが知ったこっちゃないね。
ねえ、
あんたたちもあたし達と一緒に楽しみましょうよ。

けたたましい嬌笑けたたましい嬌笑
けたたましい嬌笑けたたましい嬌笑

暗転。