椿屋敷の内庭に
ひとつ ふたつと櫻が咲いて
集う女郎に降りかかる
しぐれが集めた花びらを
派手に振りまき憂さ晴らし
年に一度の吉原祭り
さぁさ 皆様 ご一緒に
さぁさ 皆様 ご一緒に
さぁさぁ派手に参りましょう
ここは吉原 夢の吉原
春をひさいで何が悪い
私はねぇ 女郎なんだよ
あの門くぐった時からは
さぁさ殿方 春買って
櫻を咲かせてごらんなさいな
嘘と見栄とで塗りたくられた
絢爛豪華なこの世界
紅を落として夜が明けて
ぽっかりあいた深い闇
すべて夢だとわかってますよ
でもねぇ…
今日は年に一度の大きな祭り
ヨモギ姉さまに縫ってもらった晴れ着
妹きよの手をひいて
二人で歩く女郎道
ちょいとそこまで天下を取りに
通りゃんせ 通りゃんせ
暗転。