コンサートの後にその友人と喫茶店で話をしてたんですが、「作曲する人ってやっぱりピアノの他にも楽器ができないとあかんの?」
という話になったんですよ。
なかなかおもしろい話ですね。
私は友人に「いや、別にそんなことはないけど……」
と答えておきました。
しかし、作曲するときにピアノでやるのとギターでやるのとはかなり曲の感じが変わってくるのは事実ですね。
やはり、作曲時に使う楽器の影響は多大なものです。モロに曲の感じを決定します。
まず、コードの配置が若干変わってきます。
これは、コード進行という意味だけじゃありません。和音の構成にも影響を及ぼします。
たとえば、第1音を重複させるか、5音を重複させるかとか、根音を第1音と3音と5音のどこに置くかという所にも影響します。
ここで、ちょっと説明いたしますと、第1音は和音の名前に関わって来るくらい重要な要素で、「根音(ルート)」と呼ばれます。
ド・ミ・ソの和音のことを一般にCmaj(C-メジャー)と呼びますが、Cの音とは「ド」の音を指すわけです。これが、根音です。
第3音、第5音とは、根音から数えて上に何度離れているかで決まります。
このうち、長調か、短調かを決定するのが第3音です。今音と第3音との間に、半音階が入っていれば短調、入っていなければ長調です。
つまり、今音と第3音とが半音長いか短いかの違いです。
しかし、第3音は和音を決定するためになくてはなりませんが、重複して鳴らすと和音がクドくなりやすい性質を持っていますので、他の音とのバランスを考えて鳴らさなくてはなりません。
一方、第5音は、重複しようが、重複しなかろうが別に構わないのです。なぜなら、倍音によって、根音と共鳴するからです。
従って、どこのパートにどの音を割り当てるかというのは実は頭を悩ませるところなのです。
次に、リズムの打ち方にも影響を与えます。
例えば、ギターとかハーモニカ、口笛などではリズム打ちを細かく出すことができます。
ギターのストロークはアップ/ダウンで、そして、指を2,3本使ってアルペジオで出せますし、ハーモニカや口笛では呼気と吸気のどちらでも音が出せます。
しかし、ピアノや他の管楽器だとそうはいきません。
音を出してから、一度音を出す準備がいるんです。
拳銃をリロードするようなモンです。
まだピアノはまだマシかも知れないですが、管楽器だともっと大変です。
音を出せるのが自分の口一つだけなのですから。
良くジャズなんかでトランペットやサックスがロックギターそこのけの速弾きをやってるのがありますが、アレって実はすごいことなんですよ。
ま、それはともかく。
そして、私が最も重要だと思ってる要素ですが、メロディーの構成にも多大な影響を及ぼします。
例えば、私は金管楽器を吹いていた時期がありますが、下から、ド、ソ、ド、ミ、ソ、ドの音はバルブをいっさい押さえないままで出します。
軍隊ラッパの出せる音がこの音に当たります。
少し、息の調整が難しいのですが、1年まじめにやればそこそこうまいこと吹き分けられるようになります。
しかし、ドの下の、ソとファ#の音をソ、ファ#、ソ、ファ#というように交互にやろうとするととても苦労するのです。
息をしっかり支えなければならないと言うほかに、バルブの押さえ方が人差し指と、薬指を押さえる「ソ」の音と、中指と小指を押さえる「ファ#」の音というのは交互にやってると指がとても攣るのです。
しかし、ピアノやギターであればそれほど難しくはありません。隣のキー、隣のフレットです。
つまり、それぞれ得意な音の動き方があるんです。
さて、これまで見てきたように、作曲をするときに使う楽器によって曲の感じは変わってきます。
つまり、少々ヘタでも、ある程度楽器が弾ける程度にはなっておいた方が良いでしょう。
それも一種類じゃなくて、2,3種類くらいは。
私はそう思っています。
あなたの夢が紡がれますように
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