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音楽ホール マイケル=ジャクソンってどんな人なの?

 前回ジョン=レノンをやったので、ってコトはないけども、やっぱ大物を取り上げていきたいな、と。
 音楽史的に見て、これと言ったことをやってるようには見えないマイケル=ジャクソン。でも、「キング・オブ・ポップス」なんて言われて足り、ビートルズの曲の版権(著作財産権)を独占していたり(90年代に出された新曲は除く)、と音楽業界では絶大な影響力を持ってますな。
 Rand\のマイケル=ジャクソンに対する私見をつらつらと書いてみますか。

 さて、マイケル=ジャクソンといえば、華々しく活躍し始めたのは「Thriller」以降ですね。
 なんだかんだ言って結構遅咲きなんだよなあ。確かに、それまででも十分に有名ではありました。でもそれはあくまで、「ジャクソンファミリー」のマイケルであって、「マイケル=ジャクソン」としてではなかったと言えるでしょう。
 地方のテレビ局で音楽バラエティーでドタバタコメディーをジャネットや他の兄弟とやっているマイケルはどう見てもその辺に転がってるジャリタレでしかないのです。これが、ファンの贔屓目で見ても、です。
 従って、「ジャクソンズ」はアメリカのローカル家族経営ジャリタレの域を出ませんでした。確かに、アメリカのヒットチャートにはしっかりジャクソンズの名は刻まれてます。「ABC」、「サンタがママにキスをした」、「サンタが街にやってくる」、「ロッキン・ロビン」など全米ヒットしている物もある。が、あくまでそれはまぐれの範囲内ではなかったのではないでしょうか?
 そのマイケルが、ソロデビューした。それはそれで話題になったと言えば話題になった。ダンスミュージックの天才児と言う鳴り物入りの触れ込みもそれなりに効いた。……でもね、そのころのマイケルに斬新さがあったか、と言うとそれはちょっと疑問ですよね。「Off The Wall」なんて今聞けばそれほどすごいアルバムじゃないでしょ。確かに当時はすごかったかも知れないし、割と綺麗に纏まってはいる。ソロアルバムとしては上出来でしょう。でも、キャリアの長いアーティストにしてはちょっと風味は薄い物ではなかったのではないでしょうか? まあ、グラミー賞とかは取ってますけどね。
 ところが、80年代の嵐の目になるには「Thriller」を待たなきゃなりませんでしたね。これが、「天才」マイケルの孵化であったわけです。
 このアルバムから、マイケルは楽曲のほとんどを自分一人で手がけ始めます。そして、R&Bの天才クインシー=ジョーンズとのタッグが長く続くんですね。このころからチョッパーの大御所ルイス=ジョンソンが活躍します。エディー=ヴァン=ヘイレンがソロで加わってるって知ってました? 「Beat It」ですけど。エディーの数あるソロの中でも屈指のロック性を持つカッコ良すぎなヤツです。
 このアルバムで、モータウンの流れがより視覚的に、よりハードな物になっていきます。そして、プロモーションビデオそのものも、このアルバムで大きく変わりました。よりストーリーのある物へ、と進化したのです。特にヒットした「Thriller」、「Billy Jean」、「Beat It」のビデオは今でもMTVなどでしばしば流されてますね。これらは十分に凄みを感じるビデオです。すごく構成に気を配り、ストーリー性を十分に感じさせるじゃないですか。
 この後から爆発的にストーリー重視のプロモーションビデオが出ましたね。そして、ライオネル=リッチーとクインシー=ジョーンズを抱き込み、アメリカの有名アーティストを多数巻き込んで「USA for Africa」を作り、「We Are The World」をぶち込みました。この収録はったった1日しかも夜を徹して取られたのですが、この模様を収録したメイキングビデオは「Thriller」のメイキングビデオと共に音楽ビデオの中の名作中の名作として知られています。つまり、音楽を作るプロットにまで付加価値を付けだしたという意味で、マイケル=ジャクソンhが音楽業界に変化をもたらした者であると言えるのです。
 その後の「BAD」には「ムーンウォーク」が出たという以外にこれといったモノはなかったですが、「Dangerous」でゴスペルを取り入れてソウル色を強めました。それは「HIStory」にも受け継がれています。この辺がとてもマイケル=ジャクソンのマイケル=ジャクソンたるところですね。ちゃんとルーツは押さえて、新しいモノを作ろうとする。これがマイケル=ジャクソンの魅力ですね。

 この人のことを、その性癖故に嫌う人も少なくないとは思います。が、それがマイケルの「音楽」に支障が出るか、と言うとそうではなく、むしろそれがマイケルの音楽性を高めた、と言えるような気がします。
 小さい頃からろくに学校に通わず、ショウビジネスの世界で生き抜き、マネージャーの父親の元で色んな意味での自由を制限され、しかも姉はその父と性的な関係まで持っていたというどろどろのよう少年時代。これじゃグレるの当たり前じゃない?
 そんな風に歪んでるんだから、少年愛好があったって不思議じゃないでしょ。しかも遺伝病で色素が欠乏しているらしいし(それは関係ないか)。だから、現在ジャネット以外の家族とは没交渉(縁切り状態)なのはある程度理解できるんだよね。親父、アル中かヤク中だったっけ? そのトラウマがマイケル=ジャクソンの音楽性を刺激しているのは確かだと思うんですよ。
 あと、マイケル=ジャクソンってマスコミ受けのいい人じゃないから。巨額の金が動くので消されずにすんでるけど、白人の少年を好きな性癖故に酷いバッシングされてるよね。そのマスこっみに対するフラストレーションもでかそうだよねえ。実際いくつかの曲にはマスコミへの当てつけがうねってるし。「Tabloid Junkie」なんかマンマそうだし。
 そういうマイケルを取り巻くいくつもの鎖がヒューマニズムやゴスペルに目覚めさせたのかも知れないと思いませんか?
 間違いなく、マイケル=ジャクソンという男はのし上がるために何でも、多少汚いことまで、やってきたアーティストだと思います。そして、その歪な生活や人格を叩かれながら、ヒューマニズムに目覚めた自分をウリにして、プロモーションをやる姿にはある種の感慨さえ起こります。
 しかし、おそらくそんなことをやって自分を安売りしているのを見ているマイケル自身は深い孤独感に苛まれているのではないかな? と思うときがわたしにはあるんです。その苛まれているマイケル自身がアーティストマイケル=ジャクソンの創造性に繋がってるのかな? とも思うんです。
 これらはおよそわたしの憶測です。根拠はないことはないですが、乏しいと言えるでしょう。しかし、わたしのマイケル=ジャクソン観はこうなんです。そして、これが、辛かったわたしを癒してくれたことは確かです。でも、この解釈だと、恐ろしくマイケルって不幸な人ですよね。

 わたしはマイケルジャクソンが、かなり好きです。


あなたの夢が紡がれますように


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