ボーカルを勉強中の私。「ジャンル・楽器の種類・演奏技術や経験に関わらず、参 加者が楽しめる音楽の形」というランドゥーガをぜひ体験してみたいと思い、2日間 のワークショップに初の参加を試みた。 会場には、プロの演奏家から楽器を手にして間もないという人まで、さまざまな楽器 を持った人々がいた。まずは短いソロ演奏、そしてデュオで音の会話を行う。驚いた のは、各人の個性や感情が演奏のなかにあまりにも溢れていることだった。演奏者を旧知のような気がし、まるで具体的な言葉による会話を聞くように感情の流れが伝わっ てくる。聴き応えのある豊かな音楽が次々と生み出されていくことに、ただただ感動した。
私はといえば完全な即興演奏は初めてで、自分の番になると不安がいっぱいだった。相手の音に対する短い相槌から徐々に会話として成立させていくという、師範の段階 を追った指導のおかげで取り付きにくさはなかったが、やはり耳も心も慣れていない。特に最初は相手の音にどう返そうか頭で考えてしまい、即座に自信を持って歌うこ とができなかった。会場の雰囲気が終始明るく、周囲の方々が背中を押してくれたことは、非常に心強く感じた。 1日めは既成の音楽概念から抜けきれず、全員でのセッションでもありがちなフレーズを歌ってしまった。その自覚があったので、2日めはすべて取り払って自分の感情だけで声を発すること、変な声でもずれた音程でもいいからとにかく反応し表現する ことを意識した。2日めも終盤になると徐々に慣れて面白くなり、少しは積極的なアプローチもできるようになり始めたと思う。
大切なのは演奏技術よりもまず、相手の音をよく聴いて自己表現することだと思った。 これは即興に限らず音楽をやるうえでの基本の構えといえよう。非常にためになる経験をさせてもらい、即興演奏の楽しさも知ることができた。ワークショップ終了直後 から、次回が楽しみでならない。その日に向けて耳と声と心を鍛えておきたいと思う。
最終更新 2004/9/27
ランドゥーガ研究会 http://sound.jp/randooga/index.html