Small Faces / Small Faces <1967> |
おすすめ度★★★★ |
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Londonのモッズ達のヒーロー的バンドとしてR&Bを下敷きにしたヒット曲を次々と産み出していた彼らが、DeccaからStonesのマネージャーだったAndrew oldhamが新興したImmedate Recordsに移籍して発表した3枚目のオリジナルアルバム。 Deccaにおける不当な契約内容に悩まされていた彼らは、既に2ndアルバム用の楽曲を録音中だったにも関わらず移籍を強行。 そのため既に録音済みだった楽曲の権利をDeccaに残す羽目となってしまい、その音源とボツとなっていた音源をかき集めた2ndアルバムがプレスされるなど、この頃の移籍騒動によくあるエピソードは彼らにも例外なく降りかかっている。 結果的にDeccaに残してしまったそれまでの楽曲に劣らない、いや明らかにそれ以上の作品を製作することを強いられることとなったプレッシャーを彼らは見事にその凄ましい創造意欲に注入。 67年における彼等の作品におけるクォリティの高さとその尋常でない発表ペースは明らかに当時のUKバンドの中でも突出した存在になっていたハズだ。 本作はそれまでの彼らのイメージを一蹴するようなとてもカラフルでポップな肌触り。Steve Marriottを中心とした初期の爆発的なR&Bも文句なしだが、本作で恐らく主導権を握ったであろうRonnie Laneのポップでどこか懐かしさを漂わす魅力もまた良し。彼らにとって初の全曲オリジナル作品となった。 本作と平行してHere Comes The NiceにItchycoo Park等の傑作シングルを連発して更にそいつをアルバムからハズしてしまうなんて、当時の彼らの充実振りが窺えるところだ。 彼らはこの後も積極的な活動を行い、コンセプト的なOgden's Nut Gone Flakeを翌68年に発表するが、中心メンバーだったSteve Marriottがバンドを脱退。 フロントマンを失った彼らはJeff Beck Groupで活躍していたRonnie Wood、そしてその連れだったRod Stewartを加えて再出発を練る事となる。
〜特にお気に入りな曲達〜 アルバムはサイケデリックなフォークナンバー (Tell Me) Have You Ever See Meで幕を開ける。まるでパーカッションのように転がるベースと激しいアコギのカッティングが印象的だ。 RonnieがヴォーカルをとるSomething I Want To Tell Youもフォーク調のナンバーだが、ココではR&B然と奏でられるIanのキーボードが印象的。平坦になりそうな楽曲に面白いアクセントを与えている。また、エンディングにはChuck Berryを想わすベースラインも登場。なかなかアイデアが沢山詰まった楽しいナンバーだ。 そのIanが縦横無尽に大活躍するHappy Boys Happyは大好きなインストナンバー。これぞ60's UKといった感じの空気がたまらない。アルバムの途中にこういうのを挟んじゃうセンスは好きだなぁ。 MarriottがヴォーカルをとるThings Are Going To Get Betterも印象的なナンバー。ミディアムテンポで迫る楽曲の中でノスタルジックに響くリフがとても心地良い。 後にFacesのメンバーを従えてRod Stewartが自らのソロでカヴァーしたMay Way Of Givingは、どちらかと言うとDecca時代から彼らが得意としていたタイプのナンバー。R&Bを下敷きにした彼らのオリジナルナンバーだが、この時期の彼らにしてはちょっと平坦な出来にも思える。 逆にGet Yourself TogetherではR&Bを完全に消化した彼らの成長が堪能できる。ダイナミックなリズム隊に乗って跳ねる様に歌い上げるMarriottのヴォーカルも出色の出来だ。全体を引き締めるかのようなIanの重たい音色のピアノも見事。 ホーン隊も従えての盛り上がりを聴かせるGreen Circlesも好きなナンバーだ。今度は鼻歌の様につぶやくMarriottのヴォーカルとふざけたコーラスの相性もバッチリだ。妙な雰囲気で貫く息抜きナンバー的立ち位置も好印象だな。 9に続いてSmall Faces流のR&Bを聴かせるBecome Like Youも傑作。印象的なリフに誘導されるポップでありながらあくまで黒いR&Bな世界に圧倒されてしまう。9と共にまさにUKの60's R&Bビートバンドの完成形がココにあるような気がする。最高じゃ。 とても時代を感じさせる怒涛のサイケナンバーUp The Wooden Hills To Bedfordshireもなかなかの出来。アコギのカッティングと怒涛のドラムに乗りながらMarriottとLaneのツインヴォーカルにIanのキーボードが絡む展開はGood! でも何だかんだ言って、本作で一番のお気に入りはラストナンバーのEddie's Dreamingだったりして....いやぁ何て素晴らしい曲なんでしょうか?聴いてて胸が躍るとはこの事でしょう。ちょっとスカっぽい音作りにフルートやホーンが絡んでいくアレンジ、そう間奏から2番へ展開していくアレンジはいつ聴いても鳥肌モンですねぇ。 もうオイラはこの曲のためなら何でも出来るぜぇ!って訳分からんことを言っちゃいたいくらいに大好き、大好き、大好きだ。Small Facesの最高傑作だぁ〜!
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1 . (Tell Me) Have You
やっぱこの二人でしょ |
(2001.9.24 更新)
散策路はこちら(工事中)
そろそろ打ち止めかも!?
〜特別順路〜
その1 : Marriottコース(工事中)
愛すべきR&B男、Marriottを追ってHamble Pieへ
その2 : Facesコース
残されたメンバーは再起をかけてWoodyを誘います
〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜
Jeff Beck / The Late 60's With Rod
Stewart
WoodyとRodが活躍していた第T期のJeff Beck Group
Rod Stewart / Gasoline Alley
元メンバーを従えてのMy Way Of Givingのカヴァーを収録