「“最悪、俺達二人がいれば、
HATE HONEYなんだ”って思った」
――活動休止ライヴ(2000年3月7日)からちょうど2年後の今年3月7日にネット上でHATE
HONEY(以下、HATE)の復活を発表したよね? 復活に至る経緯を聞かせてくれる?
八田 なんか、すごく(HATEを)やりたくなったという(笑)。シンプルな理由ですよ。
――それっていうのは、二人がやっていたバンドを解散だったり脱退だったりっていう、そこが引き金になってるの? それとも“HATEをまたやろう”ということがあっての解散や脱退だったの?
八田 俺はね、前のバンド(girl no pain)があまりにも暇だったから……。ライヴも月1本とか、あんまりやらないしね。ひどい時なんか2ヵ月に1本とか。ずっとそうだったからさ。
――でも、音楽的にはやりたいことはやってたんでしょ?
八田 うん。でも、後半のほうはわかんなくなってた。メンバーみんなが他の音楽の仕事もあって、バラバラだからさ。仕事はべつにいいんだけど、でもそれがやっぱり結果的にはね、そういうことになってしまうという。みんな、自分のバンドに時間が取れない、と。だから、三つもバンドとかやってたら、それは無理でしょう(笑)。やっぱり難しいよね。だから、すごい温度差があるでしょ? 三つとか忙しくやってる人と、このバンドしかやってない人とでは。やっぱり日頃から忙しいわけだからさ。で、このバンドを一所懸命やってる気になるじゃん? でも、俺にしてみたら、“足んねぇな〜”と(笑)。“温いよ〜”みたいな(笑)。
――八田は、girl no pain一本でやってたんだ?
八田 そうそう。そういう部分でね、こんだけ時間があるんだから、“だったら俺もやろうかな?”、“それならHATEやりたいな”って思って。それで(高木)フトシに聞いてみようかな? って……。フトシはほら、BAD
SiX BABiES(以下、BAD SiX)やってたでしょ? だから、その時は“時間があるんだったらHATEやらない?”っていう程度の軽い感じでね。
――2001年の段階でそういう話はしてたんだ?
八田 うん、それは年末ぐらいかな。でも、電話で話しただけで、結局できなかったけど。
高木 うん。その時は、俺はBAD SiXやってるし、(八田)敦もgirl
no painやってるからってことで。ただ、俺の中ではその時にもう……けっこう……BAD SiXをどうしようかな? っていうのがあって。その時期のBAD
SiXって、2002年の活動が何一つ決まってなかったんですよ。それで戸城(憲夫/B.)さんと話をするんだけど、イマイチうまく噛みあわなくて……。その時、戸城さんとかは、元ジャニーズの人のプロデュースとかをやってて。それは仕事でしょ? 俺以外の他のメンバーは他の現場でも仕事してたから。そこもたぶん(八田と)似てるのかなぁと思ってたりもするんだけど、それを敦に言ってもしょうがないから。そういうこともあってか、ホントは絶対に断るんだけど、敦から電話をもらった時は、なんかね……、“いちおう前向きに考える。でも、それ以上の話はできない”って言って電話を切った。それで敦が12月25日の表参道FABでのライヴに遊びに来たの。でも、その時も普通にライヴを観て、帰ったんだよね。で、年が明けて、俺はBAD
SiXを脱退して……。
――どうしてBAD SiXを脱退しようと思ったの?
高木 とくに脱退の引き金となるものはぜんぜんないですよ。普通に……、普通にというか、戸城さんと話がしたかったんだけど、できなくて。それでもう脱退するしかないなって……。脱退してから、敦と会ったんですよ。(私生活で)普通に会うのって、もう2年ぶり?
八田 そうだね。それで酒飲んだだけ。
高木 敦の家に行って、酒飲んで。そこでビックリしたのが、敦の持ってるCDとかを見て、“俺と一緒じゃん!”みたいな(笑)。
八田 (笑)。2年会ってない間にな。
高木 でもたぶん、2年の間に会ってたら、カブるからお互い違うものになるじゃないですか? それが会ってないもんだから、まったく一緒で。それこそ、靴下も一緒で(一同爆笑)。時計も一緒、してるリスト・バンドも一緒、豹柄のケツ当てとかも一緒で、“もう最悪〜”みたいな(笑)。考えてることがまったく一緒。
八田 アハハハ(笑)。
高木 サイコロのネックレスも一緒だし、“何なの? 俺ら”みたいな(笑)。
――(笑)。何なのもなにも、竹馬の友じゃないの。
高木 そうなんですけど(笑)。でもね、2年会わない間にもドラマティックなことが多々あったんですよ、もう偶然の(笑)。映画館に行ったら、チケット買うのに並んでるヤツで“どっかで見たことあるなぁ”と思ってよく見たら、敦だったりとか。あと、BACKYARD
BABIESの新譜を試聴しようと思ってタワーレコードに行ったのね。そしたら先に試聴してる人がいたから、とりあえずCD持ってその後ろで待ってたの。すると試聴してた人が敦だったり(一同爆笑)。
八田 “おう、何やってんの?”みたいな(笑)。
高木 もう、敦が女だったら、たぶん、かなり俺と敦は『冷静と情熱のあいだ』?(一同爆笑) もう、ドラマ一本撮れるくらいな感じ。
――偶然、いろんなところで会ってはいた、と?(笑)
八田 (笑)。偶然会うんだよね。
高木 ホントに偶然。
――行動するパターンだけじゃなく、時間帯まで一緒なんだ?(笑)
高木 (笑)。それは、BALZACのライヴに遊びに行って会ったりっていうんだったら、ぜんぜん話はわかるんだけど。ありえないっスよ、時間までドンピシャなんて。
――そりゃそうだ(笑)。2年前っていうのは、あくまでも活動停止であってさ、お互いにいずれ一緒にやるとは思ってはいたでしょ? 八田は活動休止一ヵ月後に行なったインタビューでは、“他のメンバーも俺と同じように、この一ヵ月間リフレッシュしていて、同じ感覚でいたとしたら、もう一度HATEをやってもいいかな”って言ってたし。
八田 そうだけどさ。今考えると、あの時でもまだ早かったね。
高木 俺なんて、絶対やらないと思ってたね。BAD
SiXも始めてたし。それ一本、それ一本で来てるから。でも、やっぱ……、気持ちは……変わっちゃう……もん……です……ね(苦笑)。
――そういえば、活動休止の理由って、ぜんぜん表には出てきてなかったよね?
高木 あのね、単純に、俺達って中学の時からの付きあいなんだけど、必ず……何って言うのかな? どうにもこうにも仲が悪くなる時があって。それは音楽は関係なくて、人間関係で……。へへへ(苦笑)。だから、2年前の活動停止の時は、俺らがずっとツルんでる地元の友達とかから見れば、すっごい、ごく当り前のことで。“アイツらじゃしょうがねぇな”みたいな話なんですよ。だから、今思えば、あの時もそんな感じだよね?
八田 うん。ただね、音楽だからね。そういう感じだと、よくはできないじゃん? でもさ、そういうのって誰でもあることでしょ? いくらね、昔から長く付き合ってようがあるでしょ? それは、しゃあない、と。ヘヘヘ(笑)。
――なるほどね。それで、またHATEをやろうって決めたのはいつだった?
八田 今年の1月だね。
高木 BAD SiXを脱退した後に会った時。それで飲んで、いろいろと“どうしたい、こうしたい”とか話して。その時にけっこう、活動休止になった時の細かい理由っていうか……。俺は俺でBAD
SiXをやってる間に、“意外と、敦はすげぇ大変だったんだな”って思ったりとか、そういうのがあるわけじゃないですか。だから、そういう話をして、最後に“じゃ、やりますか!”と。
――お互いのわだかまりを解いていったという感じ?
八田 というか、わだかまりはもちろんあったんだけど。2年もなかったけど、その間はね。でも、けっきょくね、フトシと前から単純に友達付き合いしてる中で、それはもう音楽とか関係ないから、あれなんだけどさ(苦笑)。要するに、だいたい2年ぐらいなんだよね。2年ぐらいすると、べつに一緒にバンドをやってなくても、自然とまた遊ぶようになってる(笑)。べつにこれが初めてじゃないし。
――2年かぁ〜……。
八田 う〜ん……、2年なんかアッという間だよね。
高木 うん、アッという間。やっぱりその間、お互いに違うことをやってるわけじゃないですか。それもやっぱり影響すると思う。
八田 それに20年付き合ってるわけだから。20年の内の2年なんて、ねぇ?(笑)
――小さい小さい、と?(笑)
高木 (笑)。その2年の間に、すごくドラマティックなことが起こって……。
八田 ドラマティック……(笑)。
――ドラマティックに華麗に復活! みたいな感じかな(笑)。
高木 ぜんぜん華麗じゃないから(一同爆笑)。
八田 これがね、大人気者だったら、華麗に復活だけどさ(笑)。俺達、(神奈川県)綾瀬の田舎もんだから(一同爆笑)。
高木 アハハハ(笑)。そう! しょせん俺達、綾瀬の田舎もんだから。そんな大したもんじゃない(笑)。
――(笑)。バンド名から“THE”を取って、“HATE HONEY”としたのはどうして?
八田 単語の並びがいいのと、あとはね、ホンのちょっとした気持ちの問題なんだけど……。なんかさ、“THE”とか付けてるとザーって感じじゃん?(一同爆笑) なんかもう、いちいち“俺らはさぁ”みたいな(笑)。そんな感じで行っちゃいそうじゃん? なんか。もうそういう感じはいいや、みたいな。もうちょっとね、べつに音楽やってること自体、たいしたことないからね(笑)。
高木 だから、下げんなって(笑)。
八田 いやいや、だってそういうもんでしょ? べつに音楽やってるから偉いとか、そういうのはないんだし。べつに“THE”が付いてるバンドはそういうつもりはないだろうけど、ただ気持ちとして、そういうのがありつつ、もうちょっと自然体で行きたいなっていうのがあるから。
――そう言われてみれば、威圧的に感じるかな?(笑)
八田 “俺ら(=THE)、HATE HONEYだぜ”みたいなさ(笑)。
高木 それでもいいんだけどね、ぜんぜん(笑)。でも、俺は単純に、敦がそう言いだした時になんか、それはそれでおもしろいなと思って。また始めるって時に、けっこう俺的には前の時もこれからもたぶんそうなんだけど、以前はメンバー4人っていうことに、俺はすごいこだわってて。でも、“最悪、俺達二人がいれば、HATEなんだ”っていうことを思ったんですよ。だから、前とはその部分がちょっと違うじゃないですか? それもあって、“THE”がなくなるっていうのも“あぁ、いいなぁ”って思った。俺と敦だけだったら、ホントにさっき敦が言ったように、音楽やってるから(付きあいが)長いわけじゃないし、そういう“俺らどうのこうの〜”(笑)って感じじゃないじゃないですか。だから、“あぁ、それはいいなぁ”と思って。
「最初に[Diary]をやったんだけど、
感動したよ。“カッコいい”と思って(笑)」
――では、二人が別れて活動してたこの2年間近くは、あらためてどう思ってる?
八田 そりゃあ、いろいろ学ぶよね。girl no painやってれば、例えば充ちゃん(渡部充一/G.)とか、あの人はいろいろな仕事をやってる人だから、そういうのを見てすごく、そういう面を学ぶしさ。べつに充ちゃんのことはどうっていうのはいっさいないよ。充ちゃんは充ちゃんでああいうやり方だしさ。それで結局思ったことは“やっぱり俺はこうやることしかできないな”、“自分のやり方しかできないな”ってすごく思ったかな。ただ、かと言って、べつに他人のやり方をどうこうっていうのはないんだよ。以前だったらさ、俺は“そんなのさぁ”みたいなことを言っちゃうタイプでさ(苦笑)。でも今は、そういうのは認めた上で、べつに俺は違うっていう、ただそれだけの差なんだなっていう。
高木 俺もそう。まったく一緒。俺は単純に、BAD
SiXはやっぱりすごいキャリアのある人達だったから、それはすごい勉強になったし、尊敬してる。だけど、そこは敦と同じだから、俺は違うっていう。それが確認できたってことは、世間的に言えば“悪いのかなぁ?”って思うんだけど、自分自身にとってみれば、すごくよかったなぁって思うし。だから、意外と自然な流れなんですよ。そん時に敦がいて、HATEがあって……っていう感じで。
――二人が一緒にやることが決まったら、次は他のメンバーをどうしよう? っていうことになるよね。
八田 あんまり気になんなかったね。
高木 そう、(八田は)ぜんぜん気にしてなくて。でも、やっぱり“どうすんだ?”っていう話になるじゃないですか? で、お互い、話をしていろいろ候補を挙げていって、一回形になったんだよね?
八田 そうそう。
高木 だけど、そのドラムのヤツがギックリ腰になっちゃって。そいつ、自分のバンドもやってるんだけど、自分のバンドとHATEとギックリ腰の中で、すっごいプレッシャー感じちゃったらしくて、やっぱりできないっていうことになってさ。
――ギターのMITSUは、すんなり決まったの?
八田 MITSUのやってるLOVELY UGLYってバンドは前から知ってて。それも町田の田舎のバンドなんだけどさ(笑)。
高木 田舎って……。
八田 (笑)。で、そのバンド自体、好きだったのね。べつに有名じゃないけど、テープもらって、単純に音楽がカッコいいなって思ってたの。そこに、フトシから“MITSU、ヴォーカル&ギターでどう?”って言われてさ。俺は、MITSUはヴォーカルっていうイメージがあったんだけど、それはそれでおもしろそうだなって考えて。
高木 歌えて、ギターが弾けて、作曲できて、アレンジできて……。もう、これ以上ないだろう、と。
八田 まぁ、田舎もんのバンドで(一同爆笑)。
高木 (笑)。言うなって、そういうことを。でもさ、歌ってるから、なんか感性っていうのかな? ギタリストって、ギタリストなりの美学みたいなものがあるじゃないですか? 曲作りにしても……。正直、俺、そういうのけっこう嫌いなんですよ。だから、そういうのじゃない人がいいのかなって思ってて。
――君もギタリストであるわけじゃない?(笑)
高木 ははは(笑)。でも、俺、むっちゃヘタじゃないですか。ま、そういうのもあって、MITSUがいいなぁ、と。
――あ、じゃあ今はツイン・ギターなんだ?
八田 ツイン・ギターってのも久々に聞いた(笑)。
高木 俺、バッキング弾いてるだけですよ。それしかできないから。
――ツイン・ギターじゃん。
八田 アハハハハ(爆笑)。
高木 ハウリングと、ちょっとチューニング狂った感覚っていうか(笑)。俺はそういう役割なんですよ。レコーディングとかでも、敦から“フトシ、ちょっとハウリングやって”みたいな(笑)。そういう役割。でも、家では練習してますよ。ライト・ハンド、もうバリバリで……って、やってませんけど(笑)。
八田 でも、もともとウチら、スタートがメタルだからね(笑)。
高木 そうそう(笑)。
――(笑)。久しぶりにリハーサルに入った時はどういう気分だった?
八田 最初に「Diary」をやったんだけど、感動したよ。“カッコいい”と思って(笑)。“やっぱりいいな〜”と。その時のドラムは、以前HATEでもやってくれてたSHIGEOが叩いてくれたんだけど、SHIGEOも2年ぐらいブランク空いてるでしょ? だから、覚えてるけど、やっぱりうろ覚えだから、けっこう適当なのね。でも、適当だけど、なんかよかったな。
――でもSHIGEOは、けっきょく叩かないことになったんだ?
八田 一番最初はSHIGEOだったんだけど、やっぱりHATEでいざやるとなれば、活動は忙しくなってくるでしょ? っていうか、普通なんだけどさ。スタジオも週に何回も入ったり、ライヴも多い時は月に何本も入ってくるし……。そういうのはやっぱりSHIGEOの中では違うんだよね。自分のバンドもやってるし、それはしゃあない。
高木 うん、それでHATEのスケジュールが出てきた時に、“そのペースだと、ごめん、やれないわ”って話になった。
――ドラマー探しは難儀であった、と……。
高木 うん。それでサポートでZEPPET STORE(以下、ZEPPET)の柳田くんにお願いして……。もう、すっごいドラムがいなくて“どうしよう、どうしよう”って思ってたところに、Limited
Recordsのスタッフから“柳田くん、どうなんすか?”って言われて。ウチらは“いや〜、ZEPPETやってるから無理でしょう”って言ってたんだけど、ダメもとで電話してみたら、柳田くんは速攻で“いやいや、やるよやるよ”って言ってくれて、すごくありがたかった。俺もZEPPET大好きなんで、すごいよかったなぁ、と。
――新曲も、もう書いてるんでしょ?
八田 うん、ぼちぼち。
――どんな感じの曲調?
八田 NIRVANA(笑)。アハハハ。
高木 アハハハ(笑)。どう聴いてもNIRVANA。
――でもさ、オフィシャル・サイトに載ってた八田の言葉がいいよね。“HATEをまたやりたいと思った気持ちは、要するに、フトシとまた一緒にやりたい、ということ。もうどうしようもなく仲間だから、そこらへんを、あけっぴろげにやっていく”っていう……。
八田 あぁ、そうそうそう。だって、どうせたいした才能ないからさぁ(笑)。あんまりカッコつけてもさ、しゃあないじゃん。ね?
高木 うん。
八田 だってさ、聴いた人が“NIRVANAじゃん?”みたいなさ(笑)。
高木 アハハハ(笑)。
八田 どっからどう聴いてもオリジナルな音楽だったらさ、威張れるけどさ(笑)。
高木 でもって、それしかできないっていうのもあるし。それだけってわけじゃないんだけど、それをやってる自分らがカッコいいと思ってるから。
八田 それが一番。楽しいからだよ。あまりにも頭の堅いジャーナリストみたいな人達にはさ、ウけるというより話にならないかもしれない(笑)。
――でも、そんなの構っちゃいないでしょ?
八田 うん。ま、どうでもいいんだけど。
――メールでファンの反応が来てるでしょう? “待ってたぜ〜”みたいな感じ?
高木 いや、それは意外とそうでもないのかなぁ……。なんか、やっぱり微妙みたいですね、俺にメールをくれるファンは。やっぱり、そういうのって一部じゃないですか? だから何とも言えないけど。そんなに“嬉しい〜”っていうのがガーッと来たりはしないですよ。だけど、3月にVooDoo
Hawaiiansのライヴに出させてもらって、シークレットでやったんですよ。そのライヴを観た人のメールがスゴかった。それはスゴく嬉しかったですね。まして、新曲がスゴいカッコいいって言ってくれたんで、すごく嬉しいし、よかったなぁって。
――その時のお客さんの反応はどうだった?
高木 みんな、普通に観てたかな。
八田 うん、ポケーっと観てた(笑)。だって、ほら、その日はやっぱり何てったってVooDoo
Hawaiiansのワンマンだし。ウチら、オマケみたいなもんだから(一同爆笑)。
――(笑)。なんか2年間の間にすごく謙虚になったんじゃないか?
高木 (笑)。いろいろ悟ったんじゃないですかね、それぞれが……アハハハ(笑)。“こんなんでいいんじゃん?”っていうところを知ったっていうか。
「これから先は解散も活動停止もないなって。
それはもう、あえて言います」
――音源に関しては、どのようなヴィジョンを持ってる?
高木 1曲(「YES」)録った。それで雑誌の付録CDに参加することになってて。
八田 あと、5月に1曲レコーディングして、それはLimited
Recordsの参加アーティストのコンピレーションに収録される(7月24日リリース)。で、10月ぐらいにアルバムを出したいなぁって思ってる。
――あと、ライヴの展開に関しては、どう考えている?
高木 4月23日=新宿ロフトの復活ワンマン以降では、6月のケツに東名阪でライヴをやって、7月のアタマにまたワンマンで東京をやる予定。
八田 夏はLimited Recordsのツアーに混ぜてもらって、アルバムに備える予定。アルバムを出したらまたね、今度はもうちょっと自分達でやるんじゃないのかな。それなりのものを。
――以前と比べて、今後のライヴの中身はどのように考えているの?
高木 前はすごく、例えば『HELL'S KITCHEN』の時とかって、そういうゴリゴリ感とか、ああいう世界のメニューでやってたじゃないですか? だから、俺がギター持たなかったりとかしてたけど、これからはそういうのはあんまり考えてない。HATEはHATEだっていう感じなので。4・23からは、『DETOROIT』からもやるし、『HELL'S
KITCHEN』からもやるし、『teenthrash』からもやるし……っていう状態なので。そうなるとすごい曲数になってんですよね(笑)。
――そこに新曲も入ってくるわけだしね?
八田 そうそうそう。ホントだよね、選曲は困っちゃうよね。けっこうなボリュームになるからね。でも、どちらかと言うとファースト(『DETOROIT』)のほうが近いよね、世界観は。
高木 そうだね、新曲は。
――やっぱり音楽的には、その時代時代があるわけだからミックスされた感じにはなるんじゃない?
八田 まぁ、何でもありって言っても、何でもやれるわけじゃないからね、ウチは(笑)。やっぱりファーストとかの世界観とかってあるでしょう? 知ってる人はあのアルバムを想像して。で、セカンド(『HELL'S
KITCHEN』)はセカンドで、べつに嫌いになったわけじゃないから、まぁミックスすればどっちでもHATE HONEYなんだけど、またもうちょっと、そこから成長した感じ。
高木 でも、ちゃんとミックスされてるなっていうのは、1曲レコーディングし終わったもの(「YES」)を聴いて思った。自分的にはすごく『DETOROIT』に戻ってるんだなって思ってたんだけど、その中に『HELL'S
KITCHEN』の世界観もあって……。今思えば、『HELL'S KITCHIN』も今聴くと、そんなにゴリゴリしてないんだよね。3曲ぐらいしか。
八田 あぁ、そうだね。目立った曲がゴリゴリしてたからね(笑)。だから、自分達もそういう感覚に捉えてた。アタマ4曲がガーッと行くからね。でも、こないだ録った新曲(「YES」)はすごい感動した。家に帰ってさ、ローディのコ達とかと呑んでて、だんだん酔っぱらってきて“じゃ、そろそろ聴くか”みたいな雰囲気で聴いて(笑)。わかんないじゃん? スタジオではいい音で聴こえるしさ。だから、いつも怖いのね、家に帰って聴く時が一番。“どうかな〜?”みたいなさ。それで聴いてみて、“お〜っ、カッコいい〜”とか言って、みんなで“乾杯〜”みたいな(笑)。
高木 MITSUが自分のホームページでも書いてたしね、“朝まで自画自賛”って(笑)。
八田 けっこう酒を呑んでから聴いたんだよね(笑)。最初に聴いちゃって、もしブルーになっちゃうとさ、その後、“ダメだな、やっぱ”とかって愚痴大会になっちゃうじゃん?(一同爆笑)
高木 “あそこ、こうすりゃよ〜”みたいな(笑)。
八田 “もっとやりゃよかった”とかさ(笑)。今回はエンジニアの人もよかったの、すごく。ルックスがちょっと中田(英寿)っぽかったんだけどね(笑)。
高木 アハハハ(爆笑)。
――べつにルックスは関係ないだろうよ(笑)。
八田 いやいや、そういうルックスしてるからさ、NIRVANAとかっていうより、どちらかと言うとさ、ソウルとかクラブ・ミュージックとかそういうのを聴いてそうな気がしたの。こっちは“こんなバランスで”とか言って『IN
UTERO』を渡そうとしたら、“僕、今朝これ聴いてきましたよ”って。それとか、“こんなのも勝手に作ってきたんですけど”って、エフェクトをかけたもう一つのヴァージョンもすごい……、まんまNIRVANAなんだけどね(笑)、すごいよかったんだよね。好きなのがわかってくれてる人がエンジニアだったから、レコーディングも楽しかったね。
――それが再始動の第一歩っていうのはよかったんじゃない?
八田 そうだね。だから、これがぜんぜん聴いてないエンジニアだったらさ、理解するのにちょっとひと苦労でしょ? “コイツらは何を出したいんだろうか?”って。
高木 その曲はファンもきっとすんなり入ってくるんじゃないかなぁ。
八田 きっと新鮮さは絶対あると思う。まぁ、2年間も空いてるしね。
高木 うん。でも、HATEをもう一回やるっていう時に、俺、すごい感動したのが、敦が“RED
HOT CHILLI PEPPERSの『Californication』の中ジャケみたいな感じに、自然になれたらいい”とか言ったんですよ。俺、敦がそんなこと言うとけっこうショックで。いわゆる、熱い感じじゃないですか? メンバーが円陣組んで。で、“バック・ドロップ作ろう”とか“旗作ろう”とか、そういうのも敦が言い出して……。意外とじつは自然なんだけど、そういう音楽以外のところのそういう部分もちゃんとしてるんですよね。で、HATEってすごくむちゃくちゃスタッフ多いんですけど、みんな、ボランティアなんですよ。だけど、スタッフのほうが気合い入ってたりするし。だから、俺達はすごい幸せなので、これからは……敦はどう思ってるかわからないけど、単純に、HATEの核は俺達二人がいればっていうのもわかったし。これから先は解散も活動停止もないなっていう……。それはもう、あえて言います。
八田 上に同じく(笑)。なんか、生活というかさ、お金は大事だよ、やっぱり。10代で親のスネかじってるわけじゃないからさ(笑)。そういうのがなければ、きっと誰でもいくらでも好きなことができるんだろうけどさ。わりと、そういうのがあるからわりとスリリングになれるんだろうけどね。生活しなきゃいけないからさ。でも、そういうのはあるけど、(HATEをやってることで)あまり考えないでいられるかな。ま、何とかなるかな〜って(笑)。
――う〜ん、B型だね〜(笑)。
高木 ぜんぜん、何とかなってないんだけどね(笑)。だけどね、敦の言ったことはそういうこと(笑)。“HATEやれないぐらいなら、音楽やめるべ”みたいな……。
八田 結局ね、つまんないもんね。べつに被害妄想的なことを言ってるんじゃないけど、いろんな才能のある人はたくさんいるじゃん? 例えば、いろいろ器用にできる人とかさ。そういう人達はけっこう“ここはここでやりつつも、自分の趣味をちょっと……”みたいな。で、それ(趣味)がわりとマジだったりとかさ、やり方としてはあるじゃん? 食ってくっていう意味ではさ。それだったらね……、なんかね……、結婚でもしたほうがいいかな? って(一同爆笑)。
高木 俺達はね、普通に働いたほうがいいなって(笑)。
八田 それで音楽をやるというようになると、結局、自分達のやれるものしかできないからね。そういうことも学んだね。
高木 でも、しょせんヒモなんだけど(一同爆笑)。
八田 だいたい、ロックンロールやってさ、マジなこと言ってるほうがおかしいからね(笑)。
高木 アハハハ(笑)。ロックンロールやってね、社会性のある生活してるのって……、他の人はどうかわかんないけど、俺はたぶん、それ違う……みたいな(笑)。すいません(笑)。
八田 社会派ロッカーだから(一同爆笑)。
高木 (笑)。意外とね。
――(笑)。なんか笑いすぎて、シメを見失っちゃったなぁ(苦笑)。
八田 っていうか、シメる必要ないし(笑)。
高木 (笑)。“HATE IS BACK”ですよ! その言葉をそのまんま。
八田 “HATE IS BACK”と言えば、フライヤーとかに一言あったりとか、ライヴのタイトルとかを考えてた時にさ、俺は『ターミネーター』からインスパイアされたんだけど……。
高木 “I'll be back”ね(笑)。
八田 そしたらフトシが“最近、なんとか IS BACKってすごい聞くよ。ハヤってんの?”とかって言って。俺は知らなくて、“でも遠いから、あんまり関係ないんじゃん”って思ってた。それでこないだ、RANDY
RHODESの追悼番組を見てたら、OZZY(OSBOURNE)のクリップの中で“Anti-Christ is back!!”というのが出てきて(笑)。“OZZYも使ってるよ〜”みたいな。ちょっと時流に乗っかれそうかなぁって(笑)。
高木 でも、俺らが一番最初なんで、それだけはキッチリ言いたいかな(一同爆笑)。
八田 (笑)。まぁ、でも、元は『ターミネーター』だからなぁ。
――あと、JUDAS PRIESTが久々にアルバム出すっていう時に“PRIEST
IS BACK”というのもあったよね。
高木 やっぱ、(ヘヴィ・)メタルだね、俺達は(笑)。
八田 メタルだね。だって、俺らのルーツは田舎のメタル・キッズだもん(一同爆笑)。
高木 そうそう(笑)。田舎の中坊がヘルメットかぶってチャリンコ乗りながら、メタル聴いてるみたいな(笑)。
八田 “MOTLEY(CRUE)最高だよな〜”、“ファースト聴いた?”みたいな(笑)。それにちょっとパンクが混じって、グランジも聴けたみたいなさ(笑)。そういう意味でも自然体で、“これを聴いてるからカッコいい”とかそういうのも……どうでもいいなって(笑)。
高木 ホント、どうでもいい。“この音楽を聴いてたら、俺は音楽を知ってる”とかさ。
八田 “友達になれる”とか“友達が増える”とかさ(一同爆笑)。最近の若者はみんな、商売上手だな〜って(笑)。
高木 アハハハ(笑)。俺ら、絶対に商売ヘタだと思う(笑)。それも悟ったんですよ、この2年間の間に。そういう方向に向かわないんだね。向かってるつもりが向かってない。
八田 さっきも言ったじゃない? 要するに、やれることが一つしかなかった、みたいな(笑)。
高木 でも、これだけは言えるのは、だからこそ本物なんだよ! っていう(笑)。
八田 しょせん、綾瀬のメタル・キッズだけどな(笑)。
――なんか、漫才みたいだな〜(笑)。
高木 (笑)。これは真剣な話、“THE MODSみたいになりたいなぁ”とかっていう話も敦としてるんですよ。THE
MODSって、存在感とかあり方とか、スゴいカッコいいよなぁって。
八田 うん、活動歴も長いし、ずっと姿勢を崩さず貫いてるのもスゴい。
高木 こないだもネットでインタヴューを読んだんだけど、カッコいいっスよね。尊敬っすよ。そういう風になれたらいいなぁって、こんなこと言うのもおこがましいんですけど、思ってます。……この歳になって(笑)。
■ end ■
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