「このメンバーで集まったっていうところを、
一番大事に考えている」
──JZEILのメンバーの中では一番最初のインタビューになるわけだけど、JZEILの解散からGODICTION結成に至るまでの流れを話してもらえる?
YUJI ぶっちゃけ、(JZEILの)解散が決まったのが2001年の6月ぐらいで。実際、9月の終わりに解散したんですけど、その間、俺個人的にはとくにあまり考えてなかったんですよ。解散前に次のこと考えられるほど、気持ちに余裕がなかったから。それで解散してから、どうしようってことになったんですけど、とりあえずドラムのHIROSHIとは解散前から“いっしょにやろうよ”って言ってて。なぜなら、ドラムを探すのが面倒くさいっていう理由がデカくあって(笑)。
──そうだったんだ(笑)。
YUJI (笑) だけど、HIROSHIも俺と“いっしょにやりたい”って言ってくれてたから、“じゃあ、やろうよ”って。それで、俺が中心となって二人で曲作りしてたんですよ。ギターとドラムですけど、二人でスタジオに入って、あまり暇がないようにして。それで、“こんな曲がいいんじゃないか?”っていう曲ができ始めた時に、とりあえずヴォーカルよりも先にベースいないかなぁ? ということになった。じつは、MIKIOのいた4
CUT Gっていうミクスチャー・バンドのベースの人を誘って、スタジオに入ったんですけど、ちょっとしっくり行かなくて……。それでHITOSHIが暇そうにしてたから(笑)、“じゃ、お前やれよ”っていう話になったんですよ。
──暇そうにしてたからって……(笑)。でも、そうやって結果的にJZEILのメンバーが3人揃ったんだ。
YUJI そうなんですよ。それから4 CUT Gのライヴを一度観に行って、MIKIOの歌ってるのを見て、“彼、いいじゃん”と。最初はあまり深く考えてなくて、とりあえずバンド的なものを組みたかったんですよ。MIKIOも4
CUT Gをやってたから、“手伝いでいいから、ちょっといっしょにやんない?”っていう話をしたら、MIKIOも乗ってきてくれて、やってるうちにMIKIO自身がこっちにシフト・チェンジしちゃって。
MIKIO そのへんの元を辿ると、HIROSHIが4
CUT Gのサポートでちょっと叩いたんですよ。その時のドラムがちょっとヤバかったっていうのもあって。
YUJI そうだ(笑)。
MIKIO それで一回だけ、いっしょにライヴをやったんですよ。俺もHIROSHIのことは“けっこう人間味のあるドラムだな”って思って。HIROSHIはJZEILで培ってきたものがあって、俺にダメ出しっていうか、“このバンドはここがダメだよ”って、俺が思ってたことをズバッと言い当てられたんですよ。その後、いきなり電話がかかってきて、“ぶっちゃけ、お前、ウチでやったほうがいいよ”、“音楽でメシ食いたいんだろ? お前も地方から出て来たんだろ?”って言われた(笑)。なんか言われたことが、心にガーンと響いて。でも、2年やってきたバンドなんで、そうカンタンに辞めて、そっちに行くっていうわけにはいかないから、“ちょっと考えさせてくれ”って返事をしたんですよね。まぁ、でも、前々からHIROSHIに言われてることはすごくよくわかってたし、俺もケリつけて、進んで何かを変えて行かないとダメだろう、と。そういうのもあって……。
──なんか、HIROSHIくん、そんな熱く語る感じには見えないんだけど(笑)。
MIKIO いやぁ、もうめちゃめちゃ熱かったですよ。
YUJI ま、俺とHIROSHIの間では“MIKIOをどう引き込もうか?”みたいな感じだったんですけどね(笑)。でも、HIROSHIの人間的な環境っていうか……。上京してきて頑張ってるっていう部分で、HIROSHIはすごく自分と重なったと思うんですよ。アイツの言うことはリアリティがあるし、それはMIKIOは特にそうだったんじゃないかな。
──そうやって、4人で2002年の年明けには曲作りに入ってた感じ?
MIKIO いや、もう2001年のうちからやってましたよ。
YUJI 4人で初めてスタジオに入ったのは11月の頭ですね。その時はまだ1曲しかなくて、その1曲が“こんな感じで行こうか”みたいな風になった時に、2月4日に町田プレイハウスの(ライヴの)ブッキングを切っちゃったんですよ。それに間に合わせるようにやったっていう感じで。そうしないと、どんどん遅れていきそうな気がしたんで、ちょっと巻いて行きたかったから。
MIKIO 初めに音出した時に、“試してみたいな”っていう感じだったんですよ。俺もまだ(加入の)返事が出てなかった時だったから、“とりあえず、一回ライヴをやってみないとわかんないよ”って言ってるうちに、“もうファースト・ライヴ?”みたいな形になって(笑)。
──その頃までには、もう4 CUT Gは脱退してたんでしょ?
MIKIO もう、俺的には。俺、二つ同時にはぜんぜんできないんで。一本で神経を集中してやりたいから、今はもうアップアップしてますよ(笑)。
──そのファースト・ライヴを観せてもらったけど、これはすごいな、と。なんでここまでブルータルなサウンドを出すんだろうって思った。
YUJI アハハハ(笑)。
──出音にパンチがあってガツンとくるし、ものすごいグルーヴがあるんだよね。
YUJI とりあえず、俺の個人的な構想としては、いろいろやりたいイメージが何通りかあって、その中にいろいろなサウンドがあって。だけど、このメンバーで集まったっていうところを一番大事に考えてるんですよ。だから、俺のやりたいサウンドが明確にあって、人を集めたんではなくて、集まった人間の中でベストなものをまたやりたいなって思ったんです。JZEILが解散した時はそんなことは思ってなかったんですけど、MIKIOと出会って、今、こういうメンバーが揃ったところで、この4人でベストなものをやりたいと思ったから、自然とそうなったっていうところはありますね。
MIKIO 曲を作っていって、JZEILとも4 CUT
Gとも音楽的にぜんぜん違うわけですよ。それで俺も“意識して自分を変えなきゃダメかなぁ?”とか思ってたんですけど、加入した時にYUJIが“個人個人を出せるように”って言うんで、俺もストレートにそのままの姿を出して、今、ライヴも素直にやっちゃってますね。
──やっぱりGODICTIONは、やってる人が同じだけに、JZEIL時代の楽曲の中にあった要素のコアな部分が出てるじゃない? クレジット上はJZEIL名義だけど、こういった要素はYUJIくんのテイストだったんだ? みたいな。
YUJI それはやっぱり(笑)。JZEILの時に俺が作った曲で、ライヴで1回やったかやらないかぐらいの曲も、1曲やってたりもしますし。その曲のリフだけをGODICTIONに持ち込んで、また作り変えたっていう。それは音源になってないから、いいやって。
MIKIO 俺、どの曲かわかんないんだけど……(笑)。
YUJI 「Let's Swallow Drug」だよ。
──JZEILを考えると、今、GODICTIONにしろ、DAIGOにしろ、個人がハッキリ出たね。
YUJI バンッとハジけて、DAIGOと俺は正反対の方向に向かって走ってるんだろうなっていう感じはしますけど、俺もDAIGOのライヴとかはよく出入りしてるし、俺達を通してMIKIOもDAIGOのライヴを観て刺激受けたり、DAIGOが俺らのライヴを観に来てくれたりとか……。要は、仲間が増えたっていうだけなんですけどね、俺にとっては。べつにケンカ別れしたわけじゃないし、誰かの人間性がイヤで辞めるって言って止めたわけじゃないから。このバンドでどうしてやっていっていいのか、もうわかんねぇっていうところまで来てたから(JZEILを)止めたわけで。JZEILぐらいの位置にいたバンドとかって、ハジけちゃうとショボくなったりすると思うんですけど、GODICTIONもDAIGOのほうもいいものやってると本気で思うから、俺だってべつにこういう音楽作ってはいるけど、こういう音楽しか聴いてないわけじゃないし(笑)。だから、クオリティは高いと思う。
──GODICTIONに関しては、すごくコアでアグレッションが強い音楽だよね。でも、事前にもらったバンドの資料にある“メイン・ストリームから外れた”っていう一節だけど、ある、意味めちゃめちゃメイン・ストリームだと思うよ。
MIKIO そう感じてくれる人がいれば、ホントにうれしいですね。
YUJI 書いてみたかったっていう(笑)。
──じゃ、ならず者集団みたいな感じ?(笑)
MIKIO みんな、真面目ですよ(笑)。
YUJI うん、音楽に対しては真面目。それ以外は適当ですけど(笑)。でも、なんて言うのかな? このバンドでは俺がリーダーでやってるし、作曲の中心になってるのも俺なんですけど、俺のやってることっていうのは昔からずっと変わってなくて。メンバーは変わってるし、例えばMIKIOから“こういうのどう?”って言われて刺激を受けて、それに応えたりとかいう多少の変化はもちろんありますし、俺の中ではそれは正当と取ってはいるんですけど、やってることは変わってなくて。それを被うもの……、歌だったり、それに応えるベースだったり、ドラムだったりっていうのが変わってるからの結果だとは思うんですけどね。
「GODICTIONっていうのは元々、
“神の言葉”っていう意味の造語」
──ライヴを観ててふと気がついたんだけど、ギターはスピーカー2台で鳴らしてるよね?
YUJI あぁ、あれは1台はウーファーです。GODICTIONになってから使ってるんですよ。JZEILはギターが二人いましたよね? でも、もう俺はギター二人でやりたくなかったんで。それで、俺、ストラトのジャキッとした歯切れいいサウンドが好きなんですけど、MIKIOから“迫力がねぇ”って言われて。
MIKIO 4 CUT Gもギターは二人で、しかも7弦ギターもいたんですよ。
YUJI そう言われて“どうしようかなぁ?”って考えていた時に、レスポール系のハムバッカーのギターに持ち替えるのは、なんか好かんかったんですよ。それでなんとか両立できないかということで、あの形になって。あのウーファーは低音弦の巻弦(4〜6弦)のほうにしかあまり効かないんですよね。高音のほうはジャキッとしてて、低音のほうに効くっていう感じで出せるから、ストラトの歯切れよさも出るし、低音のローの迫力の部分も出せるかな? と思って。
──そういうのもあってか、ものすごい凶暴な音が出てきてるんだよね。
YUJI ある意味、凶暴な音だと思いますよ。
──それでいて、ライヴも音源もそうだけど、MIKIOくんのヴォーカルが分離よく、前に出した感じじゃない? あと、声にエフェクトをかけたり。
MIKIO ヴォーカルのエフェクトに関しては、自分の中では、あって当然みたいな感じのスタイルになっちゃったから。ギター用のコンパクト・ディレイを足下に置いて、曲によって設定を変えたりして、曲中で踏んで。もうギターと同じですよ。実際、ギターのウーファーもそうですけどね。ギターが一本になって存在感がどれだけ出せるかっていうのもあると思うし、自分のヴォーカルにしてもどれだけいろんなものを曲に詰め込めるか。ディレイにしてもそうだし、ラップにしてもそうだし、メロディにしてもそうだし。すべてをどれだけ自分で表現できるかというのは、一つの武器ですからね。
──そうだね。でも、4人でよくあれだけの音の厚みが出せるなぁって思う。
YUJI やっぱり確実にスキル・アップしてるし。自分で言うのも何なんですけど(笑)。他のメンバーを見ててもそう思うし、自分のことはよくわからないんですけど、HITOSHIにしろHIROSHIにしろ、鳴ってる音がね。JZEILと比べるとですけど、ギターが二人いて輪郭がボヤけてたと感じるんですよ。今、ギターの音は俺しか出してないわけだし、その責任というのは前よりは強く感じますし。最初、ライヴの時は不安だったんですけど、やっちまえば別にどうってことなかったんで、なんてことないやと思って。だから、そういう部分でも意外にうまく行きましたからね。
──YUJIくんも、ものすごいヴォーカルを見つけてきたね。
YUJI MIKIOはハードコアのシーンでやってて、そういうハコ(ライヴ・ハウス)を回ってて、決定的に違うんですよ。元々、MIKIO達とは違うジャンルに括られるハコで俺はやってたし、その中ではちょっと変わってたほうだと思うんですけど、でも結局、その括りの中にいた人間で……。要は、その括りの中でメンバーが引っ付いたり引っ付かなかったり、けっこうしてますけど、俺、それってあんまり意味がないと思ってたんですよ。なぜなら、そこでは俺にとってやっぱりDAIGOが一番のヴォーカリストだったし……。そう考えると、そこからは何もいいものが生まれないと俺は思ってて。だから、決定的に違うところから探そう、と。それで、かつて俺が括られていたジャンルっていうと、舐められるところもあると思うんですけど、MIKIOはそのへんフラットに考えてくれてて、冷静に判断してくれたから今があるんですけどね。俺はそういうのが、どうせ新しいものをやるんだったら大事なんじゃないかなって。
──4人のメンバーが放つGODICTIONのサウンドの根底にある核っていうのは、どういうところだと思ってる?
YUJI さっき言われた、“凶暴な”っていうことにも通じると思うんですけど、俺自身がロックに一番求めるものっていうのは、やっぱり刺激なんですよね。だから要は、いい曲とか感動する曲とか、いろいろあると思うんですけど、俺はそれをロックにあまり求めてないんですよ。R
& Bだったりとかテクノだったりとか、いろんな音楽があるじゃないですか? その中で一番刺激的な音楽っていうのはロックであっていいんじゃないかなって、俺は思ってて。カッコいいバンドを観て、何がよかったかわかんないけど、トリ肌立ったみたいなことってあるじゃないですか? 自分自身が“このヴォーカル、いい声してる。すげぇ感動して涙した”っていうことよりも、俺らのライヴを観てもらって、ゾワッてトリ肌立つような……。それを俺自身もいろんな人から受けたいし、いろんな人に与えたいんですよね。そういうのを一番強く思うんですよ。その中で、例えば、歌ものの曲があってもいいと思うんですけど、GODICTIONの音楽性は刺激的でありたいし、刺激的なことを与えたい……。自分が受けた初期衝動みたいな……。俺はGUNS'N
ROSESを聴いてギターを始めたんですけど、そういう“なんかすごいぞ!”っていうのを感じてくれればいいなっていうだけなんですよ。
MIKIO 今回のマキシ・シングルも友達とかに聴かせて、目覚ましで使ったら、すぐ起きるぞっていうぐらい(笑)。やっぱり、それだけ刺激的だと思いますよ。
──ホントにライヴで聴いてると、無性に人を殴りたくなるっていうか(笑)。
MIKIO ハハハハ(爆笑)。
YUJI 言いたいことはわかりますけど、ヘンなトび方してますね(笑)。
──さすがにそれは人としてしないよ(笑)。でも、それぐらい闘争本能をかき立てられるっていうか(笑)、衝動的な曲でありサウンドだなと、いつも思うんだよね。
MIKIO スタジオに入って一生懸命煮詰めて、YUJIが先頭に立って曲作りとかをやってるじゃないですか。いい曲を書いてもらって、俺も歌を一生懸命歌って、それでライヴに関しては、ホントに勢い重視であまり細かいことは考えてないんで。そういう勢いを感じてくれたらいいなぁって思いますね。
──それで今回のマキシ・シングルを聴いてみると、ある意味、キャッチーっていうか。語弊がある表現かもしれないけど、ライヴで一度聴いたリフやメロディや展開がすごく印象に残って覚えてるっていう意味でなんだけど。
YUJI お〜っ、なるほど。ポップである必要性はないけど、キャッチーである必要性は、俺はあると思いますよ。それはどんなものにでも言えることで。ポップって大衆性ですよね? そういうのはうまい人がいるし。例えば、DAIGOだったりとか、俺よりもちゃんと作れる人が身近にもいるし。キャッチーさ……、掴みやすいっていうのはやっぱり意識はしてますから。あまりわかんないことをやっちゃうと、自分たちもわかんないんで(笑)、判断しかねるっていうか。“これっていいの? 悪いの?”っていうことになっちゃうし。
──基本的に歌詞は英詞だよね?
MIKIO そうですね。日本語も混じってますけど、今は英詞が多いですね。基本的にYUJIが作る曲に俺がメロディ・ラインを考えた時に、日本語が合わないんですよ。日本のアーティストが日本語でやってて、サビとか途中で英詞がよく出てくるじゃないですか? その逆パターンで、英詞の中に日本語がちょっと出てくるような感じにしてます。
──メッセージをダイレクトに伝えるために日本語っていう考えはない?
MIKIO 基本的に“日本語で全部やっちゃってもいいな”ぐらいの頭はあるんですよ。ヴォーカリストとして何か伝えたいなっていう気持ちもあるんですけど、今は今でYUJIの作る曲に自分が乗っかってるんで、日本語が合わなかったら、素直に英語にしてますね。
──YUJIくんのギター・リフは歌が乗せにくそうだよねぇ?(笑)
MIKIO めちゃめちゃ乗せにくいですね(笑)。むちゃくちゃ困ります(笑)。でも、俺のヴォーカルをちゃんと理解してくれていて、そんなギタリストってYUJIが初めてなんですよ。それでいてお互いがお互い、いろんな部分で妥協してませんから。
YUJI それで、いい感じでHITOSHIとHIROSHIがいい感じでサポートしてくれるんですよね。
──歌詞は表記してないけど、どういう歌詞になってるの?
MIKIO べつに歌詞は載せてもよかったんですけどね。歌詞の内容は……。
YUJI 攻撃的だよね(笑)。
MIKIO 攻撃的だね(笑)。「Who's God?」は、そのタイトルのまんまで“神は誰だ?”っていう。GODICTIONっていうのは元々、“神の言葉”っていう意味の造語なんですけど、そのイメージで書いた詞で。「RANCECORE」は、自分の中のハードコアっていう意味で、自分の中の核を英語でバーッと。「Let's
Swallow Drug」は、薬に溺れるみたいなのを想像して書いた詞なんですけど。ホントに、ただ思ったことを書いてるだけで。ある意味、ストレートですよ。
──楽曲は複雑だけど、歌詞はストレート(笑)。それにしても、いろんな場面や情景が1曲の中にあるよね?
YUJI それ、よく言われるんですけど、あまり意識はしてないんですよ。ポップスの作り方はしてないっていうのはあるんですけどね。例えば、Aメロ→Bメロ→イントロとか、Aメロ→Bメロ→サビ→間奏とか、そういうのはぜんぜん考えてないです。だから、テンポも曲中で変わるし、“ありえねぇだろう”みたいなアレンジも入ってくるし。でも、俺ら的には“ありえねぇだろう”と思いながらはやってなくて、仕上がってみたらこうなってるっていう。
MIKIO けっこう詰め込み過ぎかもしれないんですけど、飽きないと思うんですよね。歌ってて、今の曲は飽きないですからね。
「カッコいいとか、クールと思う概念を、
こっちに持ってきたい」
──この3曲入りのマキシ・シングルは、ライヴでしか購入できないんだよね?
YUJI 今んとこ、そうです。だから、ライヴに来てくれっていう感じで(笑)。
──けっこうクオリティも高いけど、レコーディングはどんな感じだった?
YUJI かなり無理がある日程でした(笑)。クオリティに関しては、いいスタジオでやれたんですよ。いいエンジニアともやれて。GUTWIE(B./ex.
REFLEX)さんが全部スタジオとかも押さえてくれて、すごくお世話になったんですよ。いいスタジオを安く借りられて、いいエンジニアもタダでやっていただいたりで(笑)、もういいことづくしで。日数は少なかったんですけど、普通なら2曲ぐらいが限界なところ、3曲やっちゃいました。
──全体的にすごくライヴの感じが出てると思うよ。
YUJI 初めてやったんですけど、基本的に一発録りなんですよ。全員いっしょにプレイしてる。今まで、JZEILも4
CUT Gもそうなんですけど、クリック聴いて、ドラムを録って、ベースを録って……って個別に録ってたんですよね。でも、今回はクリックもいっさい使ってなくて、オーバー・ダブ以外のベーシックな部分は、MIKIOにも歌ってもらって一斉に録って。最後にギターとかオーバー・ダビングして、歌を録ったんですよ。要は、生のバンドだからヨレてもいいし。でも、全体でヨレたいなと思ったし、全体でハシりたいなと思ったし、それがグルーヴだと思ったんですね。カツカツの予定だったくせに、新しい試みまで、バカみたいにしちゃったっていう(笑)。
──欲張りだねぇ(笑)。
YUJI ええ、ホントに。
MIKIO 俺は今までやってきた中で、今回のレコーディングが一番やりやすかったですね。
YUJI このバンドには、たぶん一番合ってるんですよね。
MIKIO すごくやりやすかったですよ。クリックとかあんまりキチキチやられると、俺は曲に入り込んで突っ走っちゃうタイプなんで、そんな細かいことは考えたくないんですよ。だから、俺的にはすごくやりやすかったし、勢いも出たと思うし。
YUJI 録りには時間はたいして割いてないんですよ。やっぱり音っていうものを重要視して。それは聴いてる人に印象を与えてしまうし、ショボいもんは作りたくなかった。音のクオリティっていうのは、俺はそれもアレンジの一つと思ってるんで、そこまでできて初めて、いい音源だと思うから。やっぱり、今のこの状況を考えたら、ベストとはいえないけど、ベターなものができたと思います。
MIKIO 俺ら、2月4日から表に出てライヴをやり始めたバンドじゃないですか? 言ってみたら、まだ3〜4カ月ぐらいしか経ってないですよね。それで今、初めのほうのライヴとか、このマキシ・シングルとか、今のライヴと聴き比べた時に、もうぜんぜん変わってるんですよ。自分らでやっててわかるぐらい。これが1年ぐらい経ったら、どうなってるんだろう? って……。良くなってるか悪くなってるかはわからないですけど、すごい期待しますよね。自分らのバンドなのに、自分が期待しちゃいますからね。
──ますます凶暴になってるような気がするけど。
MIKIO アハハハハ(笑)。まぁ、落ち着いたりはしたくないですね、ロックやってるうちは。
YUJI だね。
──ある意味、犯罪だよ(笑)、この音は。
MIKIO 合法ですよね(笑)。
YUJI うん。例があるものはやりたくないんですよ。これはずっと一貫して、自分の中の……テーマってわけじゃないですけど、JZEILでもそうだったし、GODICTIONでもそうなんですけど。例えば、KORNがいるから、KORNみたいなバンドをやろうっていうことじゃなくて。MIKIOもレコーディング中に“俺達って何系?”って言ったんですよね。
MIKIO わかんないんですよ。
YUJI わかんなくていいんですよ。それって、要は第三者が勝手に決めることだと思うし、例えば、このマキシ・シングルが店頭に並ぶ日が来たら、そのCD屋の人が判断すればいいわけで。俺達が“こういう風にやろう”なんて考えてやりたくないし、そこにカテゴライズされることは、俺はあんまり好ましくないんですよ。KORNみたいなバンドだったら、KORN聴けばいいじゃんって思っちゃうし、LIMP(BIZKIT)みたいなバンドだったら、LIMP聴きゃいいし。音楽に対する想いはハードコアですけど、だからといって、世間的に言うハードコアなサウンドを出してるか? と言うと、ちょっとそれとも違うような気がするし……。
MIKIO 広い意味で、ロックの一つですよ。ライヴとかでも、俺らはこんな音楽やってるんだから、中途半端に“コイツら何だ?”って思われたくないし、攻撃的に行こうよって感じなんですよね。だから、まさか癒し系とは思わないよな? どう考えても。
YUJI まったく癒さない(笑)。
──今後はライヴをどんな感じで展開していこうと思ってる?
YUJI 6月と7月にGODICTION主導のイベントを町田PLAYHOUSEでやるんですけど、それはもうミックスなイベントなんで。そういうのをやりながら、自然体でライヴをやっていこうかな、と。活動は地に足付けてやっていかないと……。例えば、いろんなレコード会社や事務所とか、大人の人達がいるけど、その人達にフワフワさせられてるようじゃしょうがないと思うんですよ。地に足付けて活動してることって生きてると思うんで、これからもそのスタンスでやっていこうと思いますけど。
──ライヴもそのイベントのメンツにしても、今までのフィールドとは違うところでやってるよね?
YUJI そうしないとダメだと思うんですよね。今も来てくれる昔からのお客さんとかは、それはそれで嬉しいんですよ。でも、だからどうしたとかじゃなくて、今、こういうバンドをやっていて、それに合うフィールドっていうのはあるし。新しいものを培っていくためには、ある意味、イチからですよ。JZEILも長かったし、その名前を使えばいろんなところに出れるのかもしれないでしょうけど。でも、俺達は俺達の進むべき道を見据えてるんで、自分達に合った活動をしていきたいですね。
──では最後に、GODICTIONは日本のロック・シーンの中でどういう存在でありたいと思う?
YUJI 俺達が周りに合わせて変わるんじゃなくて、カッコいいとか、クールと思う概念をこっちに持ってきたいんですよね。カッコいいとされてるものが世の中にあるとして、それを俺達が追うんじゃなくて、“こういうカッコいい面もあるんだよ”っていうところを知ってもらいたいです。
MIKIO 流行ものに流されないでね。
YUJI いろんな形のクールなものがあるし、いろんな形のカッコいいものがある中の一つに自分達がいれれば最高だなって。だから、世の中で売れてる人がどうのこうのっていうのは、べつに俺が言う問題ではないし。その人達はその人達なりに、俺にはできないことを真剣にやってるんだし、だから、それを否定する気はさらさらないんですよ。だけど、“こういうカッコいいものもあるんだよ”っていうのも知ってほしいっていうだけですよね。だから、出れるところも選ばないし、いろんな人達といっしょにやってみたいですよ。
MIKIO うん。どこでも出ますよ(笑)。まだライヴを始めて3〜4カ月なんで、もっともっといろんなものを吸収したいですね。
■ end ■
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