電気用品安全法に関する質問主意書

平成十八年三月三日提出 質問第一二四号 提出者 川内博史

電気用品安全法(昭和三十六年法律第二百三十四号。平成十一年法律第百二十一号により改正。以下改正後の法律を「本法」という。)における経過措置の一部が本年三月三十一日を以て終了するにあたり、主として本法の対象とされる電気用品を商材とする古物商(以下「古物商」という。)並びに一般消費者の間で本法において定める「PSEマーク」が付されていない電気用品、とりわけ本法が施行された平成十三年四月一日以前に生産された電気用品(以下「当該電気用品」という。)の販売が不可能となり、違反者に対して刑事罰が科されることに関して著しい混乱が生じており、現状では経過措置の一部終了まで一か月を切った短期間での新制度への円滑な移行は極めて困難な状態であると評価せざるを得ない。

以上の認識に基づき、本法の問題点と関係府省に対する伝達と関係事業者及び一般国民への周知徹底、本法施行前に製造された電気用品の新制度下における取り扱いを中心に、以下質問する。

一 古物商等を本法における「製造事業者」とすることに関する問題点について

質問

1) 経済産業省のホームページ上に掲載されている「経過措置の終了に伴う電気用品の取扱いに関して」等で説明(以下「経済産業省の説明」という。)されているところでは、古物商等が本法における「製造事業者」の届出を行い、技術基準適合を確認の上、自主検査を行ってPSEマークを付することは可能とされているが、当該行為を「製造」とする理由は何か。具体的にどの行為を「製造」とするのか。政府の見解を求める。

答弁

経済産業省のホームページにおいて、御指摘の行為を「製造」としている事実はない。

質問

2) 本法の施行によって、古物商等が本法施行以前に製造された電気用品を販売しようとする時に、なぜ「製造事業者」の届出等をしなければならないのか。明確な理由について答弁を求める。

3) 技術についての知識も経験もない古物商等が、個別電気用品の技術基準の適合をどのようにして確認できると考えているのか。政府の見解を求める。またそのような「安全性」のレベルで問題ないと考えているのか。答弁を求める。

答弁

電気用品安全法(昭和三十六年法律第二百三十四号。以下「法」という。)の規定上、「古物商等が本法施行以前に製造された電気用品を販売しようとする時」に、「「製造事業者」の届出等をしなければならない」とはされていないが、法第四条の届出事業者であれば、届出に係る型式の区分の電気用品(法第二条第一項の電気用品をいう。以下同じ。)を製造し、又は輸入する場合においては、法第八条に規定する技術基準に適合するようにする義務が生じる。

質問

4) 経済産業省の説明においては「また、製品によっては、例えば新たに電気用品安全法に基づく表示を付す行為について商標権等の権利者等に承諾を得る等、関連する他の法律(不正競争防止法、商標法等)への対応が必要となる可能性があります。」と記載されているが、これは古物商等によるどのような「製造」行為が、法律上は当該電気用品の製造事業者(以下「メーカー」という。)が過去に生産した商品の模倣品ないしコピー商品の製造に該当すると政府が認識していることを意味するのか。具体的な事例を挙げて、明確に政府の見解を示されたい。

答弁

法第十条第一項の規定により表示を電気用品に新たに付する行為自体が、商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)上又は不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)上の問題を生じさせることは通常想定されないが、他方、例えば、登録商標が付された商品について、元の商品との同一性を失わせる改造を行った上で、当該登録商標を付したまま販売する場合には、商標法上又は不正競争防止法上の問題が生じ得ると考えられる。

質問

5) 当該権利者が古物商等による「製造」の承諾を拒否した場合はどうなるのか。本法施行以後のPSEマークが表示されている電気用品の古物においては、新たに電気的加工等を行わない限りにおいては平成九年七月一日の最高裁判所第三小法廷判決に基づいて権利の消尽が認められ、権利者等に承諾を得る手続は不要であると考えられるが、当該古物においてのみ係る取り扱いを古物商等に強制すべき理由が有るとすれば、その理由は何か。政府の見解を求める。また、経済産業省はメーカーやその事業者団体に対して、本法の施行に当たり係る承諾を円滑に実施するよう指導を行ったのか。答弁を求める。

6) 古物商等が本法における「自主検査」等を行うことを以て「製造」とする場合、メーカーが古物商等による当該電気用品の「製造」行為に対して特許権・意匠権・商標権等の侵害を主張する恐れが否定できないと考えられるが、古物商等が一方的に訴訟のリスクを強いられることについて、政府の見解を求める。経済産業省のホームページにおいて、このような方法を古物商等に示すことが結果的に古物商等に不利益を与えるリスクについて、政府は責任を負えるのか。答弁を求める。

答弁

御指摘の「「製造」の承諾」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、登録商標が付された商品について、商標権者が許諾していないにもかかわらず、元の商品との同一性を失わせる改造を行った上で、当該登録商標を付したまま販売する場合には、商標法上の問題が生じ得ると考えられる。

また、御指摘の「係る取り扱いを古物商等に強制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法第十条第一項の規定により表示を新たに付する行為自体が、特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)上、意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)上又は商標法上の問題を生じさせることは通常想定されず、「古物商等が一方的に訴訟のリスクを強いられる」との御指摘は当たらないと考えている。

質問

7)の1 古物商等による自主検査に基づきPSEマークが付された商品による損害が発生した場合、製造物責任法(平成六年法律第八十五号)上の責任者は、本来の「製造事業者」たるメーカーと本法における「製造事業者」たるPSEマークを付した古物商等のどちらが負うのか。答弁を求める。

7)の2 製造物責任法第五条における時効は「製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年」と定められているが、本年四月一日以降、「製造事業者」としての届出を行った古物商等が、本法施行前の平成八年から平成十二年にかけて製造された電気用品にPSEマークを付した場合、その「時効」の起算点はどの時点からになるのか。答弁を求める。

答弁

法第十条第一項の規定により表示を付した者が製造物責任法(平成六年法律第八十五号)第二条第三項の製造業者等に該当するかどうかについては、個別具体の事例に即して判断されるべきものであり、一概には申し上げられない。

また、お尋ねの時効の起算点については、個別具体の事例に即して判断されるべきものであり、一概には申し上げられないが、例えば、法第十条第一項の規定により表示を付した者が製造物責任法第二条第三項の製造業者等に該当する場合には、当該者が法第十条第一項の規定により表示を付した製造物を引き渡した時点が時効の起算点となる。

質問

8) 以上のように、古物商等が本法における検査等を実施してPSEマークを付する行為を以て「製造」とすることは、古物商等に対して訴訟リスクなど一方的に不利益を強いるものであり、結果的に廃棄物の増加など極めて大きな弊害をもたらすことが避けられないと考えられるが、政府の見解を求める。

答弁

一の4)について並びに一の5)及び6)についてで述べたとおり、法第十条第一項の規定により表示を電気用品に新たに付する行為自体が、商標法上等の問題を生じさせることは通常想定されず、また、一の7)の1及び2についてで述べたとおり、製造物責任法第二条第三項の製造業者等に該当するかどうかについては、個別具体の事例に即して判断されるべきものであるなどから、「古物商等に対して訴訟リスクなど一方的に不利益を強いるもの」との御指摘は当たらないと考えている。

二 経過措置期間における国民への周知徹底の不足と今後の対応について

質問

1) 本法第三条の「電気用品の製造又は輸入の事業を行う者」には同第二十七条「電気用品の製造、輸入又は販売の事業を行う者」と異なり「販売の事業を行う者」について明文化されておらず、立法時には古物商等が本法第三条に定める「届出事業者」の申請を行うことは想定していなかったものと考えられるが、政府の見解を求める。また、平成十一年の本法制定時における衆参の国会審議の中で、古物商等の行う販売についての議論はあったのか。答弁を求める。また、産業構造審議会の中で古物商等の販売について議論はあったのか。古物商等の団体に対する意見聴取は行ったのか。答弁を求める。

答弁

電気用品の販売の事業を行う者には、法第三条の届出の義務は課されてない。

通商産業省関係の基準・認証制度等の整理及び合理化に関する法律(平成十一年法律第百二十一号。以下「整理合理化法」という。)の制定時における国会審議において、整理合理化法による改正前の電気用品取締法の規定により表示の付された電気用品の古物商等による販売についての議論が行われたとは承知していない。また、整理合理化法の制定に向けた検討を行った産業構造審議会基準認証部会においても、現在保存されている資料を調査する限りにおいては、当該議論は行われておらず、古物商の団体に対する意見聴取は行われていない。なお、同部会における審議の過程においては、パブリック・コメントを実施した。

質問

2) アイシェア社が本年二月二十一日から三日間実施したアンケート調査では、約六十五パーセントの回答者が本法の存在を知らないと回答しており、経済産業省の告知が十分なものであったか否かについての設問では「不十分」との回答が八十一パーセントにのぼったと報じている。経済産業省は、平成十一年の本法成立より本年三月三十一日の一部経過措置終了までの間、新制度の施行に関して一般国民に対してどのような方法により周知徹底を図って来たのか。詳細な答弁を求める。

答弁

整理合理化法の制定以降、経済産業省本省、地方経済産業局、国内登録検査機関、業界団体等が主体となり、講習会、セミナー等の場において、法の内容についての説明を実施するとともに、法の内容に関するパンフレットを配布するなど、広く周知を行ってきたところである。また、経済産業省本省、地方経済産業局及び国内登録検査機関のホームページにおいても、法の内容等について周知を行ってきたところである。

質問

3) 関係事業者に対して周知徹底を図る目的で配布したパンフレット「販売事業者の皆さん、電気用品の表示が変わりました。 電気用品取締法から電気用品安全法へ」において「経過措置が過ぎて旧表示の製品を販売した場合は、適正表示がなされていない電気用品と見なされ、電気用品安全法の罰則が適用されることもありますのでご注意下さい。」としか記載されておらず、当該電気用品を本法の経過措置終了後に引き続き販売する方法について一切の説明を行わなかった理由は何か。また、本法の経過措置終了後に当該電気用品を引き続き販売する方法についての周知徹底が不足していたことが、現在生じている当事者の不安や混乱に繋がっていることは認めるのか。答弁を求める。

答弁

御指摘の「当該電気用品を本法の経過措置終了後に引き続き販売する方法」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。なお、届出事業者が法第八条第二項の義務を履行したときは、法第十条第一項の規定により表示を付することができることについては、これまでも、ホームページ等により周知を行ってきたところである。

質問

4)の1 本年三月一日の衆議院予算委員会第七分科会における質疑では、警察庁に対して各都道府県警を通じた古物商及びその関係団体に対する周知徹底を本年二月十五日に経済産業省より要請した旨が政府参考人より答弁されたものと承知しているが、平成十三年四月一日の本法施行時、速やかに警察庁に対して係る要請を行わなかった理由は何か。答弁を求める。

答弁

整理合理化法の制定以降、法の内容について、幅広く周知を行ってきたことから、警察庁に対して周知の要請は特段行わなかったものである。

質問

4)の2 本法の対象たる電気用品には農林水産省の所管に係る農業又は漁業に関係する事業者がその業務を遂行するうえで使用する製品も含まれているが、農林水産省から当該事業者及びその関係団体に対して本法の経過措置終了についての周知徹底は図られているのか。また、経済産業省より農林水産省に対して周知徹底の要請は行われているのか。行われている場合、その要請を行った年月日はいつか答弁を求める。

答弁

農林水産省から関係団体等に対して、整理合理化法附則第五十条第一項の規定に基づく経過措置が一部の移行電気用品(整理合理化法附則第四十六条第一項に規定する移行電気用品をいう。以下同じ。)について平成十八年三月三十一日に終了すること(以下「経過措置終了」という。)についての周知は行っていない。

また、経済産業省から農林水産省に対して経過措置終了についての周知の要請は行っていない。

質問

4)の3 同様に、本法の対象たる電気用品には厚生労働省の所管に係る電動式の健康器具及び美容器具も含まれているが、厚生労働省から当該事業者及びその関係団体に対して本法の経過措置終了についての周知徹底は図られているのか。また、経済産業省より厚生労働省に対して周知徹底の要請は行われているのか。行われている場合、その要請を行った年月日はいつか。答弁を求める。

答弁

厚生労働省から関係団体等に対して、経過措置終了についての周知は行っていない。

また、経済産業省から厚生労働省に対して経過措置終了についての周知の要請は行っていない。

質問

5) 以上のように、本法は適用対象とされる範囲が極めて広く国民の生活に多大な影響を及ぼし得る法律であるにも関わらず、本法を所管する経済産業省がその周知徹底を図って来た範囲がごく一部に留まったうえ、その分量も不十分極まりないものである為に、古物商等及び一般消費者を中心に混乱が拡大していることは厳然たる事実であると考えられるが、この点についての政府の見解を求める。

答弁

二の2)についてで述べたとおり、経済産業省としては、これまでも法の内容についての周知を行ってきたところであるが、今後とも、引き続き、より一層の周知に努めてまいりたい。

三 事業者の在庫又は現在も使用されている当該電気用品の税法上の扱いと今後の対応について

質問

1) 財務省は、本法の経過措置終了に伴う当該電気用品の税法上の扱いについて経済産業省と協議を行い、決定しているのか。決定している場合、その時期と内容について答弁を求める。また、その決定内容について全国の税務署への通達及び各地の税理士会等の関係諸団体に連絡を行って、周知を図っているのか。周知を図っている場合、それはどのような方法をどの程度の頻度で行っているのか。答弁を求める。

答弁

財務省としては、御指摘のような協議及び決定は行っていない。

質問

2)の1 本法の経過措置終了に伴い、現在も販売事業者が有する当該電気用品の在庫は、本年四月一日以降は税法上の資産価値が滅失したものとして査定されるのか。また、その場合に発生する処分費用は損金として処理できるのか。答弁を求める。

答弁

一般に、棚卸資産については、法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)第六十八条第一項第一号に掲げる事実又は所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第百四条に掲げる事実が生じた場合には、法人税については法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第三十三条第二項の規定を、所得税については所得税法施行令第百四条の規定を、それぞれ適用することができるが、その適用に当たっては、個別具体の事例に即して、法令に照らして適切に行っていくこととなる。

質問

2)の2 販売事業者が当該電気用品の在庫に対して本法に定める検査を実施し、PSEマークを付した場合、その手続に係る費用は必要経費として処理できるのか。答弁を求める。

答弁

一般に、棚卸資産については、法人税法施行令第三十二条第一項第一号ロに掲げる費用の額又は所得税法施行令第百三条第一項第一号ロに掲げる費用の額に該当する費用を支出した場合には、当該支出した費用の額が当該資産の取得価額に算入されることとなるが、その算入に当たっては、個別具体の事例に即して、法令に照らして適切に行っていくこととなる。

質問

3) 一般家庭ないし一般の事業者が日常ないし業務に当たって使用している当該電気用品は、本年四月一日以降は税法上の資産価値が滅失したものとして査定されるのか。事業者の場合、当該電気用品の処分ないし買い換え費用は損金ないし必要経費として処理できるのか。答弁を求める。

答弁

税法上、経過措置終了をもって移行電気用品につき損失又は評価損が生じたものとして取り扱うような規定はない。

法人又は事業所得を生ずべき事業を営む個人が、その有する資産の除却をした場合には、当該除却により生じた損失の額は、法人税については、法人税法第二十二条第三項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入され、所得税については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第五十一条第一項の規定によりその者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される。

質問

4) 前記のいずれも認められない場合、事業者が本法の施行によって一方的に損害を被ることになるものと考えられるが、このことについての政府の見解を求める。

答弁

御指摘の「前記のいずれも認められない場合、事業者が本法の施行によって一方的に損害を被ることになる」の意味するところが明らかでないため、お答えすることは困難である。

質問

5) 例えば、本法の対象とされている装飾用電灯器具等には美術品・アンティーク類としての商品価値が高い物も存在するが、そうした装飾用電灯器具等の日本国内における税法上の資産価値が本年三月三十一日を以て滅失すると仮定した場合、脱税などに悪用される恐れが生じるのではないか。また、当該装飾用電灯器具等にPSEマークを付することにより美術品・アンティーク類としての商品価値が逓減する可能性も考えられるが、この点についての政府の見解を求める。

答弁

御指摘の「脱税などに悪用される恐れ」がどのような事態を想定しているのか明らかでなく、お答えすることは困難である。

御指摘の「美術品・アンティーク類としての商品価値が逓減する可能性」については、個別具体の事例に即して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。

四 電子楽器類やアンティーク類など、現行の商品では代替性の効かない電気用品の取り扱いについて

質問

1) 本法の対象とされている電子楽器類(電気楽器・電子楽器・その他の音響機器など。)や映写機・テープレコーダー・ビデオテープレコーダー・レコードプレーヤーなどの録音・録画及び再生機器、電子応用遊戯器具などはいずれも我が国における近現代の文化史上、極めて大きな意義を有する品々であり、本法の施行に伴いそれらの貴重な品々が廃棄され、入手が著しく困難となることに対して各方面から深い憂慮が示されているところであるが、そもそも古代から近世にかけて建築され、現在まで伝わる建築物が現行の建築基準法(平成十年法律第百号)に適合していないからと言ってその全てが取り壊されることが有り得ないのと同様、これらの電気用品に関してもその「文化的側面」を重視すべきであり、これらの電気用品を本法第二十七条第二項第一号における「特定の用途に使用される電気用品」と解し、当該条項に基づく経済産業大臣の承認を古物商等やその事業者団体に与えるなどの方法で対応することは現行法上も可能ではないかと考えられるが、この点についての政府の見解を求める。

答弁

法第二十七条第二項第一号の承認は、我が国における電気用品による危険及び障害の発生を防止する上で問題が生じないと判断される限定的な場合に与えるものである。

質問

2) 本法の対象とされている装飾用電灯器具等には、専らアンティーク類としての商業的価値を有する物も有るが、これらは現存する数も少なく、中には本法に定める適合性検査に耐えられない物も存在するとされている。然るに、こうしたアンティーク類の価値は本法に定める「電気用品」としての価値ではなく「美術品・装飾品」としての価値が主であり、その流通に関して本法の規制を一律に適用せず、電気用品ではない一般の古物として取引することも現行法上は可能ではないかと考えられるが、このことについての政府の見解を求める。

3) そもそも、我が国の商工業発展を支えて来た貴重な「産業遺産」も含まれる当該電気用品に対して、新制度の基準に適合しないとの理由のみを以て一律に規制を適用する運用は現在、一般国民の間で大きな混乱を招いているが、その理由の一つには「貴重な文化的所産の散失」に対する一般国民の重大な懸念が挙げられる。今後、本法を運用するに当たっては「産業遺産」の保護と継承を阻害しないことが求められると考えられるが、政府の見解を求める。

答弁

法は、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とするものであることから、法第二条第一項に規定する電気用品に該当するものについては、それがいわゆるアンティーク類又はいわゆる産業遺産であっても、法の規定の適用を受ける。

五 廃棄物の急激な増加に対する懸念について

質問

1) 環境省は、経済産業省との協議において本法の経過措置終了に伴い廃棄物が急激に増加し、当該電気用品が大量に不法投棄される事態も懸念される中、具体的にどのような対策を取ることを決定しているのか。答弁を求める。

2) また、環境省は地方自治体の関係部署に対しては本法の施行に伴う不法投棄等が増加する恐れについて周知を行い、対策を促しているのか。答弁を求める。

答弁

環境省としては、経過措置終了に伴う新たな対策は講じていない。なお、地方公共団体における廃棄物の不法投棄対策を促進するため、地方公共団体に対する情報提供、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第四条第三項の規定に基づく技術的援助等を従来から行ってきたところである。

六 経過措置の一部終了を迎えるに当たってのガイドライン作成について

質問

1) 本法の経過措置の一部終了まで既に一か月を切っているが、経済産業省は一般国民及び古物商等に対する明確な運用上のガイドラインを残された短期間に作成し、公表する等の対応を準備しているのか。答弁を求める。

2) また、四月一日の施行までに明確な運用上のガイドラインを提示することが不可能な場合は、経過措置終了を電線類・小型交流電動機類の経過措置終了が予定されている二年後程度まで延期し、その間に改めて古物商等に対する規定を新たに設けるか、あるいは、一般国民に対する明確な運用上のガイドラインを作ってその周知徹底を図るべきではないのか。答弁を求める。

答弁

経済産業省としては、現在、国民に対し、法の運用に係る考え方等の周知徹底を図っているところであるが、今後とも、より一層具体的な情報の提供に努めてまいりたい。

七 本法の施行に伴うインターネットオークションの監視体制構築等について

質問

1) 一部報道によると、経済産業省は本法の経過措置の一部終了に伴いインターネットオークションを個別に監視する体制を構築するとのことであるが、その目的と監視方法の詳細、当該業務に当たる人員数について提示されたい。

答弁

経済産業省としては、御指摘の「本法の経過措置の一部終了に伴いインターネットオークションを監視する体制を構築する」との決定をした事実はない。

質問

2) インターネットオークションに当該電気用品を出品している個人と、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)における個人事業者(平成十八年一月三十日付経済産業大臣通達による。)を区別する基準は何か。答弁を求める。

答弁

お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、例えば、個人が、当該個人の用に供するために購入した製品を、必要がなくなった等の理由で他人に販売する場合などは、事業者としての行為ではないと考えられる。