経済産業委員会(平成18年3月29日(水曜日))

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009816420060329008.htm

達増拓也委員

私は、電気用品安全法と、それに基づくPSE マークの問題について質問をいたします。

このPSE マークについては、現場が大変混乱をしております。特に中古販売事業者の皆さん、もともと、古物商ということで、古物営業法に基づき、警察庁の所管であって、経済産業省の所管の法律ではない法律で監督されている。なかなか経済産業省からの情報が届きにくいような体制になっていて、また、業界の中での団体の組織化ということについても、ほかのさまざまな製造事業者等の団体に比べますと組織化が進んでおらず、本当に、地域の一軒一軒の中古販売事業者の皆さんは、一体何が何だかわからない、そういう不安に悩まされているという現状だと思います。

最近になって報道も、マスコミ、盛んに行われているわけでありますが、これも、ややセンセーショナルな報道もありまして、四月一日をもってPSE マークがついていない中古品はもう資産価値がゼロになってしまうとか、全部ごみになってしまう、ごみの山になってしまうとか、そういう極端な報道もあります。一方では、先週金曜日の経済産業省の動きについて、翌日の報道の中では、実質、PSE マークなしでも販売できるように経産省が転換したというような報道も行われ、これはもう現場の事業者の皆さんからすると、法律がどうなっているのかよくわからない、法律を遵守したい気持ちはもちろんあるけれども、どうすれば遵守することになるのかがわからないということ、おととい、月曜の時点でも、まだそういう声を聞いております。なかなか、中央で決まったことが地方の現場に伝わっていくにもタイムラグがありますし、その伝わり方も、きちっと伝わっていかない。そういう中で、何が何だかわからないがゆえに、ではもう店を畳まなきゃならないのかなとか、もう首をくくるしかないかななんという、そういう話にまでなっていってしまう。

したがいまして、まずきょうは、私は、電気用品安全法とPSE マークについて、中古販売事業者の皆さんの知りたいこと、聞きたいことを質問していくということで、具体的な中身の質問をしていきたいと思います。そのため政府参考人への質問が主になりますけれども、よろしくお願いをいたします。

さて、まず、そもそも、この電気用品安全法二十七条で販売制限が設けられ、PSE マークがついてなければ販売できないというふうに書いてあるわけですけれども、本当に中古品も対象になるのか。中古品というのは、旧法、電気用品取締法のもとで適正に製造や販売をされた電気用品という意味でありますけれども、この点については、もともと、七年前の立法時、中古品は想定されてなかったのではないか、そもそもこの電気用品安全法、販売制限の対象にはなってないんじゃないかという主張もありますので、質問をいたします。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

お答え申し上げます。

電気用品安全法におきまして、電気用品という概念につきましては中古品を除くというふうな規定ぶりをしておりませんで、新品及び中古品を区別せずに、電気用品として扱っております。この点につきましては、電気用品取締法の時代からそういうことになっておりまして、中古品も規制対象であるという旨、その時代からお問い合わせに対しては回答をしております。

したがいまして、旧法下で製造、販売をされた電気用品の中古品につきましても、電気用品安全法第二十七条第一項の対象となるということでございます。

達増拓也委員

二十七条一項の対象として販売制限の対象になるということですが、二十七条の二項には、経済産業大臣が承認をすれば販売制限の例外を設けることができると規定されています。

そこで、電子楽器等のいわゆるビンテージ品については、この二十七条二項の経済産業大臣承認ということで、PSE マークをつけなくても販売ができるようにするというふうにしているところだと思いますけれども、同様に、中古品全般、中古品といっても、旧法、電気用品取締法のもとで適正に製造や販売をされた電気用品であります。そうしたものをこの二十七条一項の販売制限の対象外にするというようなことを二項の経済産業大臣承認で、政府の決断としてそこはできないんでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

電気用品安全法は、電気用品の安全に関する国民の安全を確保するというための法律でございまして、中古電気用品を販売されるのであれば、安全確認の検査を行ってPSE マークを付していただくというのが安全確保の道であると考えております。

しかしながら、今御指摘のございました古い音響楽器、いわゆるビンテージ品等につきましては、希少価値、文化的価値等が高いというふうなことで、試験検査を実施することの機器への悪影響を懸念するお声がある、それから、実際に販売される場合にも取り扱いになれた専門の方等に販売される、こういうふうな場合には二十七条二項の特別承認の制度を適用して、PSE マークがなくとも簡単な手続で販売できるようにしようということを先般発表した次第でございます。

これを中古電気用品全般について適用することができないかということでございますけれども、一般的な中古電気用品につきましては、多くの方が日常的に一般にお使いになるものでございますし、それから希少価値という点についても、数多くあるものでございますので、これについては、検査をして合格するものを販売していただくということで、そういう形で安全を確保していきたい、こういうふうに考えております。

達増拓也委員

そうしますと、現行法、今の電気用品安全法に基づいて、その法の執行をするという立場からすると、中古品もこの販売制限の対象になるのだという答弁だったと思います。

そうしますと、そういうPSE マークのついていない中古品を抱えた中古販売事業者としては、何とかこれを売りたいということで、例えば個人の資格で知人に売り渡したり、ネットオークションで売ったり、フリーマーケットで売ったりということはできないんでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

電気用品安全法におきまして規制しておりますのは業としての販売でございまして、個人個人の取引までは規制しているものではございません。

でありますから、例えば個人の方が、御自身使っておられたものを知人の方にお譲りになる、あるいはネットオークションですとかフリーマーケットにおいて売るのであれば、そこについてまではこの法律は規制をしていないということでございます。

しかしながら、販売事業者の方が在庫処分のためにネットの場で個人の名前を使って大量にお売りになるとか、あるいは繰り返し販売をするというふうな行為につきましては、これは個人の名であっても業としての販売ということで、法律の対象になると考えております。

達増拓也委員

個人の資格で売ったりするわけにはいかない。そうすると、やはり業として中古販売事業をやっている事業者さんは、この電気用品安全法上のいわゆる製造業者になって、届けを出して製造業者になって、自分で検査した上でPSE マークをつけて販売するという、基本的にもうそれをするしかない。逆に言えば、それをやりさえすれば、今現在PSE マークがついていないような中古品でも自由にどんどん四月一日以降販売することができる、そういうことでよろしいんでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

ただいま御指摘のとおりでございます。

法律第三条の事業者の届け出を行っていただきまして、法律所要の検査をみずから行った上でPSE マークをつけて販売していただくということが可能でございますし、こうしていただくことが安全な中古品が提供されることにつながるというふうに考えております。

達増拓也委員

確認ができました。

もっとも、この電気用品安全法第三条の事業者としての届け出、三条には「電気用品の製造又は輸入の事業を行う者は、」その届けをして云々と書いてありまして、中古販売事業者は本当は、製造業者なのかそれとも輸入業者なのかというと、販売業者なわけであって、いわばみなし製造業者になるような形になるんだと思います。

これは、現行法を前提として解釈をすればそれしかないということなんでしょうが、法律そのものの、かなりこれはアクロバティックなやり方でその法を守っていかなきゃならないということで、やはり私は、この法律には問題があるんだと思います。

ただ、その問題というものに施行から五年間だれも気がつかなかった。また、成立から数えると七年間気がつかなかった。最終的な責任はやはりこの立法者、国会にあるんだと思っております。経済産業省の周知の不足とかいろいろありますけれども、そういったことをチェックすることはやはり立法者、国会がやるべきことでありました。

ただ、そういう国会議員を選ぶ国民やまた事業者さんから国会議員に言っていただければ、調べて、そのときに発覚するとかあり得たわけですし、またそれは、マスコミがおかしいなと思って調べてみれば、そのときにわかったことかもしれません。いわば日本国民一億二千万が五年間なり七年間なり法律の不備に気がつかなかったという異常事態が発生している。

しかし、この異常事態、では、法律を変える議論に入っていけばいいかというと、今、わけがわからないということで、店を畳まなきゃならないんじゃないか、首をくくらなきゃならないんじゃないか、そういう皆さんが現にいるわけで、私としては、今はもう危機管理状態、非常事態ということで、とにかく現行法の解釈というものを、その中身を明らかにすることで、わけがわからなくて、そういう生活や仕事を失ってしまうような人たちが出ないようにすることがせめてものこの国会としての役割の一つではないかなと思って、きょうの質問をいたしております。

この法律ができたときの九九年、平成十一年というのは、コンピューター二〇〇〇年問題前夜でもありまして、まさにそういう二〇〇〇年問題ということにそれまでだれも気がついていなかった。それがインターネットの中で、大変なことが起きるぞという情報が広まり、やがて国会や政府も動き出し、そして全国民、二〇〇〇年に備えた、そういうことがございました。

今回のことについても、インターネットの中で気づいた人たちがまず問題にして、そしてそういった情報交換を始め、政府も気づき、国会も気づき、関係者、とにかく無事に二〇〇〇年の元旦を迎えようという形で、今、とにかく四月一日を迎えようということだと思います。

それを乗り越えた上でまたこの法律の見直しということはしていかなければならないと思っておりますが、その四月一日をできるだけ安定して無事に迎えていかなきゃならないときに、三月二十五日付の新聞等でございますが、PSE マークがなくても中古電器販売実質オーケーというような報道をしていまして、経済産業省が二十四日に政策転換をしたんだ、事実上の本格施行先送りだなどという報道がありまして、これは月曜日になって現場の事業者の方々に話を聞きましたら、新聞でそう読んで、では、もう検査しなくても、PSE マークがなくても売っていいようになったのか、そう思ってしまったという証言を聞いております。検査の体制ができるまではもう検査はしなくていいんだ、検査なしで、PSE マークなしで売っちゃっていいんだと東京の事業者からも聞いたと、そういう情報の混乱が起きておりまして、ここはちょっとたださなきゃならないと思うので、質問をいたします。

新聞報道などもよく中身を見ますと、販売を容認するわけではなく、あくまでレンタルならオーケーだというふうに書かれているわけです。そうしますと、経済産業省が発表していたのは、レンタルであれば、販売ではないのだから、PSE マークがなくてもできるということは当初からそういう説明だったはずでありまして、実は、先週金曜、二十四日にそういう政策転換があったわけではなく、このPSE マークをめぐるルールというものは、この二十四日、何ら変更は行われていない、それ以前の経済産業省の説明等々、そこに従っていけばいいんだという理解でこれはいいんでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

この問題は電気用品の安全に関する問題でございまして、電気用品販売の際には、中古品といえども検査を行ってPSE マークを付していただくとの方針については、何ら変わるものではございません。

ただ、一方で、新制度の開始まであとわずかになった段階で、事業者の方々の中に、検査機器等が十分備わっていなくて、直ちに検査を実施してPSE マークをつけて販売することができないというふうな状況の方々がおられまして、そうした方々が、検査ができるまでの間、例えばレンタルを行って、商品は引き渡した上で、事後的に検査をした上で所有権の移転をするとか、こういうふうないろいろな方法、工夫を考えておられるという状況がございます。

私ども、いろいろ御説明あるいは話し合いをする中で、従来より、レンタルについては販売に当たらないという見解を示しているところでございまして、そういうものについては違法と言えないというふうな再確認を行ったという事実はございます。しかしながら、基本の方針を転換したとか、あるいは、法的にできることはできる、できないことはできないということでございまして、何か政策を転換した、あるいは方針を変えたというふうなことではないと考えております。

いずれにせよ、事業者の方々が一日も早く円滑に検査が行える体制を早急に整えていく、そのために、私どもも、十四日に発表いたしました支援策を可及的速やかに実施していくということで、一日も早い円滑な移行に最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

達増拓也委員

いずれにせよ、PSE マークをつけなければ売ることはできない、逆に言うと、PSE マークをつけさえすれば自由に売ることができるということが確認できたと思います。

それをやるためには、電気用品安全法上の製造事業者ということの届け出を出さなければならないわけですが、これは、普通の一般の中古販売事業者の皆さんからすると、なかなか敷居が高いことではないかと思います。

その届け出というのは簡単なものなのかどうか。地方経済産業局にA4 一枚紙ぐらいのものを郵送すればそれでいいのか。何か、免許とかあるいは届け出を受理した通知とか、受け取って初めて製造事業者として認められるのか。それとも、届け出を郵送した時点で、検査してPSE マークを張ることができる製造事業者になるのか。また、製造事業者になることで、頻繁に役所に出頭しなきゃならないとかいろいろ報告をしなきゃならないとか、何か面倒な義務を負うことにならないのか。そういった疑問を販売事業者の皆さんは抱いていると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

まず、届け出書類の煩雑さという点につきましては、従来、場合によって何十枚というふうな届け出が必要になるケースもあったわけでございまして、この点につきまして、先般発表いたしました対策の中で、手続の届け出書が一枚で足りるように大幅な簡素化をするということで発表いたしました。既にこれは実施に移しております。

それから、届け出は、書類に記載の不備がなければ直ちに受理をされるものでございまして、これは郵送で送っていただくのでも構いません。現実に郵送で届け出が行われております。また、届け出さえすればいいわけで、受理通知とかそういったものが効力発生のために必要だというふうなことはございません。ただ、実際問題として、事業者の方からお求めがある場合には、受理番号のついた届け出書のコピーを御返送する、あるいはお渡しするというふうな対応を行っております。

それから、実際に届け出事業者になった場合には、検査記録を作成し保存する義務、こういったような義務はございます。また、法律の執行として、報告徴収ですとか立入検査の対象となるというふうなことはあるわけでございますけれども、何か頻繁に出頭を求められるとか頻繁に報告を求められるとか、こういうふうなことではございません。

達増拓也委員

思ったよりは敷居は低いということがわかったと思います。

さて、そうやって届け出をすれば、いよいよ検査をしてPSE マークを張るという段取りになるわけですけれども、検査ということは電気用品安全法では第八条二項に書いてあるんですが、ただ、そこには具体的にどういう検査をすればいいかは書いておらず、政省令を見なければわからないことになっております。

ただ、この電気用品安全法の関連政省令というのはすごい膨大なもので、また別表の方に行ったりしなければならなくて、インターネットで見ることはできるんですが、私もそれを探し出すのはかなり苦労いたしました。法律になれていない普通の人であると、なかなか容易に、どういう検査をすればいいかというのを確認することは難しいと思います。

一方で、三月二十二日付の「中古品販売事業者等が電気用品安全法に基づき行う自主検査記録の取り扱いについて」という通達、その検査記録のつけ方の例を見ますと、検査内容として、外観検査、絶縁耐力検査、通電検査の三種類の検査しかそこに書いていないんですけれども、結局、やらなきゃならない検査というのはその三つの検査なんでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

検査につきましては、電気用品安全法施行規則におきまして検査の方式が定められておりますけれども、特定電気用品以外の電気用品につきまして必要な検査は、基本的に、今御指摘のありました外観検査、絶縁耐力検査、通電検査の三検査とされております。一部の、電線管ですとかヒューズですとか、こういったものについて外観検査のみで足りるというふうな、それ自体電気を通すものではないので検査が省略されておるものはございますけれども、大方のものは三つの検査ということでございます。

達増拓也委員

外観検査というのは、見て壊れていないかとかいうことで、これは簡単にできる、本当にだれでもできる検査だと思います。三番目の通電検査というのも、これは、プラグをコンセントに差し込んでスイッチを入れて、ちゃんと電気が通って動くかという、スイッチオンできるかということですから、これもだれにでもできる簡単な検査だと思います。

ただ、二番目にある絶縁耐力検査というのが、ちょっとこれは、私もぱっと見てぎょっとするわけでありますが、この絶縁耐力検査というのは必ず必要なんでしょうか。

例えば、新品同様のいわゆる新古品という、製造されて一度も販売はされてないけれども、古いものなので中古販売業者の方に来て中古品として売られるような、出荷されたときの箱に入ったままで、そういうのは、まず外観検査だけで、見て壊れていない、水にもつかっていない、それでいいんじゃないかなと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

今お話のありました絶縁耐力検査というものにつきましては、電気が漏れていないかという検査をするわけでございまして、感電ですとか漏電ですとかの危険を避けるために重要な検査であるというふうに認識しております。

それで、要するに、いわゆる新古品についても検査が必要なのかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、PSE マークのついていない旧法制度下では個別品目ごとにこういった検査をするという義務がかかっておりませんで、そういうことで、必ずしもこういう検査を経ていないということでございますので、いわゆる新古品であっても、新しくPSE マークを付すためには、先ほど来申し上げている外観、絶縁耐力、通電の検査をしていただくということでございます。

達増拓也委員

この絶縁耐力検査というのが一つ敷居が高い印象を受けるわけですけれども、これについて、経済産業省、三月十四日付の「電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策について」、ここで絶縁耐力検査への支援、協力をいろいろ盛り込んでいるんだと思いますけれども、これは普通の人でも簡単にできるものなのでしょうか。簡単にできるものだとしても、でもやはり専門家にやってほしいなという場合には委託をしてやっていいものなのでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

検査自体は、何か資格が必要であるとかあるいは非常に難しいというふうなものではございません。実際に私どもで、いろいろな場所で何回か機械で実演なんかもやっておりますけれども、機械の使用に若干習熟していただければどなたでもできるような検査であるというふうに考えております。

それから、検査の方法については、今言ったような、簡単かという御質問もあるものですから、私ども、こういった検査機器の使用方法についての講習会も、これは明日から開始をいたしますけれども、全国で実施をしようと考えております。

ただ、一方で、非常に少数のものについて、自分で検査機械を買って検査をするのではなくて、検査をするようなところにお願いをするというふうなことも、そういう形で第三者に委託をするというふうなことでも、法律上、構いません。ただ、その場合でも、検査記録の保存義務というのはその事業者にかかってくるわけですし、PSE マークを付する主体は、受託者ではなくて、委託をした事業者の方ということになります。

達増拓也委員

念のために確認しますけれども、何の資格がなくてもできる検査だということで、電流を流す検査というのは聞くとちょっと怖いような感じもするんですけれども、それは、普通の人がやって危険がないような、そういう検査なわけですね。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

絶縁耐力を見るために千ボルトの電圧をかけるわけでございます。ただ、千ボルトというとすごく危険かというと、電流量は非常に小さいわけでございますけれども、ただ、実際に検査をする場合は、ゴム手袋をはめるとか、そういった注意は払っていただかなければならないということでございます。

達増拓也委員

そういう検査をしてPSE マークを張るわけですけれども、これも、初めてそういうことをやるという一般の中古販売事業者からしますと、PSE マークというのはどこかに行けばくれるものなのか、役所かどこかが交付して、それをもらってきて張るものなのかと疑問に思うと思うんですが、これは事業者が自分でつくって張るものなわけですね。その場合も、これは法令に従った形であれば手書きでやってもいいんでしょうか。また、他人につくってもらう、何か、ラベル屋さんとかにささっとつくってもらってもいい、そういうたぐいのものなんでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

まさに、電気用品の安全の確保については、自己で検査をして自己で認証するという体系になっているわけでございまして、表示についても、役所が交付するというふうなものではございません。

それで、表示の方法については、電気用品ごとに定められておるわけでございますけれども、基本的には、電気用品の表面に容易に消えない方法で表示をしていただくということになっておりまして、この条件さえ満たせば、手書きであるということでも構いませんし、あるいはシールみたいな形で、ほかの人につくってもらったものを張るというふうなことでも問題ありません。

達増拓也委員

手書きでいいということは実はこの法律全体の象徴的なことだと思うんですけれども、要は自己責任ということなわけですよね。

七年前に、規制緩和規制緩和という規制緩和の中で、国がそれまでチェックしていた安全について、それを製造事業者、輸入事業者が自分で、自己責任で安全性をチェックし、それを示して販売すればいいという自己責任の原則だという、その感覚というのはなかなか一般には伝わりにくいんだと思うんですけれども、なるほどそういうものなのかという得心が得られれば、本当にお金をかけずに、手間暇かけずに事業者の人たちが安全を保証して消費者に売る。

実は、これは事業者の人たちに聞いているんですけれども、もともと安全に気をつけて売っていたぞ、そんな壊れたものを壊れたままで売ったりはしていなかったし、ちゃんと消費者の人たちが安全に使えるようにということは気をつけて今までも売っていたんだと。そういう意味では、そういうあきんどとしての当然の心構えということを、きちっとルールを理解して形にしてやればスムーズに対応できるのかなというふうにも思います。

ただ、一つ留保しておくと、そういう安全に関する自己責任ということについて、中古品販売事業者に今まで以上の負担がかかるというのは間違いないことで、法律の設計の仕方としてそれでいいのかということは残ると思います。法律はやはり製造事業者、輸入事業者のところに負担をかける仕組みでありますし、本当に自己責任自己責任というのであれば、消費者の自己責任ということで、PSE マークのない中古品を買うかというところを消費者の自己責任で、ビンテージを例外扱いするところにはそういう思想が出てきていると思うんです。

ただ、今これを蒸し返してああでもないこうでもないとやることでかえって現場が混乱して、仕事や生活を失わなくていい人が失ってしまう危険を冒すよりは、私は、今は仕方がない、現行法のもと、経産省の解釈のもとで現場でやってもらうしかないと思うので、質問を続けていきたいと思います。

これは現場の事業者さんから聞かれた質問で、非常に深刻な面持ちで聞かれたんですが、PSE マークを付して販売したものが事故を起こした場合、そのとき、そのPSE マークをつけた中古販売事業者が責任を負うことになるのかという質問ですけれども、これはいかがでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

製造物責任法上、製造物責任をだれが負うかという点につきましては、基本的には、最初につくった方に責任があるというふうに考えております。

ただ、実際問題として、中古品を売る段階でいろいろ中古品事業者の方が何か手を加えて、そこの部分に起因して何か事故が起こったというふうな場合には手を加えた方に責任が生じてくるケースがあると思いますけれども、まず、何も手を加えないで検査をして、PSE マークを張ったがゆえに製造物責任が発生をするというふうなことは考えられないと思います。

ただ、もう一つは、製造物責任については、変な表示をした場合に責任が生じるケースがございます。例えばもとの製造者の表示を削り取るとかそれの上に張るとか、そういうふうな誤認を生じさせるような表示をするとそういう表示者が責任を負う場合があるわけでございますけれども、通常、PSE マークを付したことによってそういった誤認が生じて、責任が発生するというふうなこともないと考えております。

達増拓也委員

もう一つ現場の事業者さんから強く言われたことがございまして、それは、相談窓口を整備してほしいということであります。現状、きちんとした対応ができる相談窓口というのは地方経済産業局だけということかと思います。最新のこのことについてのビラでも、電気用品安全法のお問い合わせ御相談窓口ということで、地方経済産業局の担当課担当室の住所、電話番号が書かれているわけであります。

これは、例えば岩手県の事業者さん、東北経済産業局は仙台でありますから、一々仙台に行くのも大変だし、電話で済めばいいんですけれども、なかなかそこは敷居が高いんですが、政府として、相談窓口は地方経済産業局以外には設けないんでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

まず、法律執行についていろいろ御相談に応じる責任というのは私ども経済産業省にあるわけでございますので、経済産業本省それから経済産業局において御相談に応じるということで、今現在、非常に数が多いものですから、お待たせするとか、そういう御不便をかけているということに御不満があるやに聞いておりますので、そうした体制は極力充実をしてまいりたいというふうに思っております。

さらに、技術的な御相談については、国内に六つの登録検査機関がございまして、こういったところでも御相談に応じておるところでございます。現在、そのスタッフを増強して対応を図っておるということでございます。

それから、都道府県、市町村につきましては、三月十四日に対策を発表した際に、これらの対策の周知、それから、あるいは公設試験機関での検査を実施していただく、こういったいろいろな協力を考えてくださいというお願いをしておりまして、今お話しのように、例えば自治体の方で、自分たちの方でも相談窓口をつくろうというふうなことであれば、これは我々としては大変歓迎するところでございまして、そういうところがございますれば、よく連携をとって、全体として御相談に十分応じられるように努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

達増拓也委員

警察庁からの政府参考人に伺いたいんですけれども、中古販売事業者は、実は、警察庁所管の古物営業法に基づいて都道府県の公安委員会から営業許可が与えられ、ふだんは都道府県警、都道府県の警察が業者を監督しているということで、今回のこのPSE マークについてなんですけれども、周知はどのようにしていたんでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

お答えいたします。

警察は、盗品等の売買の防止あるいは速やかな発見、回復などを目的といたしまして、古物商などを指導監督する立場にございます。他方、電気用品安全法は、電気用品の危険及び障害の発生を防止することを目的とするものでありまして、警察は、従来、同法の趣旨等についての積極的な周知は行っていなかったところでございます。

しかしながら、警察庁におきましては、経済産業省から本年二月十五日に文書で周知についての協力依頼を受けまして、十七日に、全国質屋組合連合会、全国古物商組合防犯協力会連合会など十八の業界団体にあてて連絡文書を発出いたしまして、加盟業者に対する周知を依頼いたしました。

また、都道府県警察に対しましては、二月十六日、都道府県警察からも管内の古物商等に対する周知を図るように指示いたしたところでございます。

以後、都道府県単位の業界団体に加盟業者に対する周知を依頼したり、あるいは、警察署から個別の古物商に対して直接周知するなど、各都道府県警察において鋭意周知を図っているところでございます。

達増拓也委員

設置法上、警察、いろいろ予算や人員の都合もあるでしょうから、所管じゃないところの法律についてまでそういう人員や予算を割けないという事情なんだと思います。

中古販売事業者が、この電気用品安全法、PSE マークについて、どうしていいかわからなくて困った状態になるというのは、さっきも言いましたが、二〇〇〇年問題と似たような状況があると思っております。

というのは、法律の不備あるいは法律の不存在で、行政が適切に、情報を必要としている、何か行動を必要としている、そういう暮らしや仕事の現場のところにきちんとそういう情報を届けられないし、また支援ができない。二〇〇〇年問題のときもそうだったわけであります。

二〇〇〇年問題のときは、それを補うように、いわばネット時代の、新しいネット的な課題にはネット的なソリューションということで、そもそもインターネットの中で情報が流通し、そしてそれが行政や国を動かし、また現場の必要なところを支援していく。行政や国を動かすというよりも、むしろ現場を直接支援していくような形で自治体でありますとかいろいろな市民団体、NPO とかいったところがあの二〇〇〇年問題のときには活躍して越年、年を越えるという作業を支援していったんだと思います。

この中古販売事業者が直面する課題を解決するに当たっても、政府が法律に基づいてやれるだけのことをやるというのはもちろんなんですけれども、やはり自治体とかあるいは市民団体、NPO 、まちづくり、循環型社会推進、環境保全とか、そういったことをやっている市民団体、NPO が相談体制をつくって中古販売事業者を支援していくような、そういうソリューションをとりあえずこの四月一日を越えるというところ、緊急事態、危機管理については、そういう形で越えていくのが望ましいんじゃないかと思います。

経済産業省や警察がもっときちっと団体を監督して、団体を組織化して、グリップきかせて指導しろということになると、それは、旧来型の政官業癒着の体制に戻れ、それを進めろという話にもなりますし、そうした形でこれを解決するよりは、むしろ新しい市民社会型、ネットワーク型のソリューションでいくのが望ましいんではないかと思っております。

私が実際に会った現場の事業者さんの中には、福祉とリサイクルを組み合わせて障害者の方々に仕事をしてもらって、中古品の回収、修理、清掃そして販売といった、要所要所に障害者の皆さんが参加してそして販売をする、そういう、福祉と組み合わせ、また、そういうお店の存在がまちづくりの核、中心市街地活性化の核にもなっていたりする、そういう事例もございます。

そうしたところは、まさにそういう福祉に関心のある人やまちづくりに関心のある人みんなで支えていかなければならないのかなというふうに考えておりまして、七年間、五年間、この法律の問題についてきちっと対応してこなかった立法府の一員として、まずそういったところで努力をしようと思っておりますが、一方、七年間、五年間、こういう事態になる、引き起こすようにしてしまった経済産業省、政府の方も、この非常事態、危機管理については、やはり非常な決意で対応していただかなければならないと思います。

最後に、二階大臣にこの点、決意を伺いまして、終わりたいと思います。

二階俊博経済産業大臣

達増議員から詳細にわたって、しかも具体的に御質問いただきました。これに対する答弁によって、疑問とされておった問題点をよく理解していただける方もまた増してくるというふうに思っておりますが、今、議員がお尋ねのように、経済産業省としても極めて重い責任を担っていることは当然であります。七年前のことだとはいえ、私ども、当面、この責任があるわけであります。

そこで、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、この電気用品安全法たるものは「電気用品の製造、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とする。」、議員御承知のとおり、このような目的に沿って誕生した法律であります。

今、実際四月一日から具体的に新制度をスタートさせるに当たりまして、各方面から御意見をちょうだいしたことは事実でありまして、私は、このたびちょうだいした各方面からの御意見を、今後とも、経済産業省としては、この四月一日にたどり着いたところで仕事が終わるのではなくて、これから仕事が始まるんだ、そういう気概を込めて取り組めということを、きのう、省議においても関係者に徹底させたところであります。これは、地方局を通じましても、ともに取り組んでまいりたいと思います。また、各県知事に対しましても既に協力の要請をいたしておりますが、これから具体的に取り組んでいきたいと思います。

もう一つ最後に申し上げておきたいのは、年間の火災が三万件発生しておる、これは各議員の皆さんが御承知のとおりでありまして、消防庁からもそういうデータが出ておるわけであります。

この出火件数の中で、電気用品が出火原因となった建物等の火災による被害の規模につきまして改めて確認をしておきたいと思いますが、出火件数は、二千九百七十六件、約三千件。火災のうちの約一割がこの電気用品に起因して発生しておる。しかも、死傷者五百二十九人、うち死亡六十五人。加えて、損害額は百二十一億円。こういう状況の中で、私は、この法律の必要性が当時検討されたものとさかのぼって思うわけであります。

それはそれとして、必要な法律であることには違いありませんが、いかにもこの周知徹底におきまして少し工夫が足りなかったのではないか。

そして、先ほどたびたび議員からも御指摘になりました、中古品の販売に御尽力といいますか、そういうことで一生懸命やっていただいている方々、時々休みの日なんか町へ出ますと、中古の関係者の皆さんが、テレビあるいは冷蔵庫の古いのがあれば、声をかけていただければ高いマンションなんかへでも上っていってすぐ受け取りに行きますよと放送で言っていますよね。ああいう方々にもむしろ、この法律の内容について、市民の皆さん、国民の皆さんに徹底するために御協力をいただくことができなかったのか。そういう呼びかけをもっと早い段階でしておくことによって、中古業者等の御意見を経済産業省として吸収することができたのではないか。

そうしますと、それは、先ほど御議論のあったように警察が担当しておる、こういうことになるのですが、私は、国民の皆さんから見れば、警察であれ経済産業省であれ、政府ということには違いないのですから、我々は他の省庁とも連絡をとって、これから、四月一日からさらに気合いを込めてこの問題に対しての対応をし、経済産業省としての名誉を挽回したいと思っております。

達増拓也委員

時間ですので、終わります。ありがとうございました。