http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009816420060329008.htm
日本共産党の塩川鉄也でございます。
きょうは、この間取り上げてまいりましたPSE 法、中古家電販売問題について質問をいたします。
この中古電気用品の販売禁止問題が、大変な大混乱でありました。検査機器がそもそも間に合わない、五百カ所の無料の貸出場所をつくるといっても、年度末までに確保できる台数が百数十台だというお話なんかもありました。そのため、もう営業は続けられないと廃業された方もいらっしゃいましたし、在庫を廃棄処分されるという方もあったわけであります。
その点で、三月二十四日に経済産業省と中古家電の販売事業者の方との話し合いが持たれまして、共通理解が図られたというふうに承知をしております。その内容について、何が確認をされたのかを最初にお尋ねしたいと思います。
二十四日に中古家電販売の事業者の方々と話をいたしました。
その結果として、共通の理解に立ったことにつきましては、事業者の方々は、検査ができる体制が整い次第検査をしてPSE マークを張って販売をしたい、しかしながら、一方で検査機器が備わっていない等によりまして今すぐ検査をして販売するというふうなことができない状況下で、レンタルですとか、あるいはレンタルと事後検査を組み合わすとか、こういった形で営業を継続することとしたいというふうなお話がございました。私ども従来から、販売というのは法の規制にかかっておるけれどもレンタルというのは法の規制にかかっていないというふうなことで、この点については違法とは言えないという旨の再確認をいたしました。
またそれから、検査機器の無償貸し出し等行っておるわけでございますけれども、検査機器の使用方法ですとか、あるいは届け出書類の書き方について説明会を全国でやってほしい、こういうふうなお話がございました。私ども、無償機器を貸し出したりあるいは検査をするだけではなくて、そういったことも十四日の対策の延長としてやっていこうというふうなことをお話し申し上げたわけでございます。
それから、今後こういった話し合いはしていこうというふうなお話を申し上げました。こういうふうなことで、共通の理解を見たということでございます。
私どもといたしましては、十四日に発表いたしました対策というのを極力、一日も早く実施するということで、事業者の方々が円滑に検査を実施できるというふうなことを実現していく、それを私ども最大限支援していくということで、円滑な法の施行に向けて全力で努力をしていきたいと考えておるところでございます。
四月一日を目前にしまして、緊急避難措置という形ではありますけれども、経済産業省と事業者の方が歩み寄って、実質的に中古電気用品の販売が可能になったと受けとめております。しかし、課題は残るわけで、広く今リサイクル社会の推進ということが言われております。
法律でも、循環型社会形成推進基本法の五条を読みますと、「原材料、製品等については、これが循環資源となった場合におけるその循環的な利用又は処分に伴う環境への負荷ができる限り低減される必要があることにかんがみ、原材料にあっては効率的に利用されること、製品にあってはなるべく長期間使用されること等により、廃棄物等となることができるだけ抑制されなければならない。」とうたってあります。
使えるものは長期間使おうということがうたわれておるわけで、政府は、リデュース、リユース、リサイクルの三R政策を推進しているわけです。
先週末、日曜日に、新宿駅東口のアルタ前で、この電気用品安全法の問題での集会がございました。若者がネットで集まって、それぞれ自分の好きな、歌を歌ったり含めて、パフォーマンスをするという集会で、私もあいさつをさせてもらいました。参加された若者の方にどんな思いで来たのかということを聞きましたら、貧乏劇団で、音響機器は全部中古でそろえざるを得ないんだ、そういう意味でも切実だという話ですとか、電子楽器ですとかあるいはゲーム機とか、七〇年代、八〇年代のものがいいという声もありましたし、何より、所得の少ない若者にとって、中古家電で暮らしを支えているという声がありました。
共通しているのは、使えるものを捨てろというのはおかしいという声であるわけで、いわば、この三Rの理念が広く国民の中に定着していることを示すと思います。そういう点で、中古家電販売を禁止しようというのは、そもそもこの三R政策の推進と矛盾するんじゃないのか、このことを率直に思うわけです。
大臣に伺いますけれども、二十六日付の読売新聞で、二十五日に中古品販売業者の開いた集会で、経済産業省の消費経済政策課長が、「メーカーとばかり話してきて、循環型社会という大切な役割を(中古品販売業者と)十分話し合わずに進んだのが一番の反省点」だと。要するに、メーカーサイドの話しか聞いてなかったということを反省として述べたということが報道されていました。
その点で一点大臣に伺いますが、そもそも、リサイクル品を販売する中古家電販売業者、中古家電販売業界というのが三R政策の重要な担い手だと思っております。中古家電販売業界は、リユースなどリサイクル社会を支える不可欠な産業だ、こういう認識が必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
お答えをいたします。
かつては、消費は美徳である、そういう時代もありました。しかし、今日では、ワンガリ・マータイさんではありませんが、もったいない精神というものがむしろとうとばれる時代になったわけであります。
今、先生が御指摘の循環型社会の形成、すなわちスリーRを形成するリデュース、リユース、リサイクル、そのためには、中古品業者もいわばそのスリーRを担っていただく大きな役割があるわけでございます。そういうことの立場にあるということを申し上げながら、今御質問されております電気用品につきましては、まず何よりも国民の安全ということ、そういうことに課題を私どもは置いておるわけであります。
ちなみに、先ほど大臣も少しだけ触れましたけれども、電気用品によって起こりました昨年一年間の火災の件数を見ますと、約三千件近くあります。何と、この数字を私今見まして、三千件の中で死者が六十五人、死傷者が五百二十九人もあるというこの数字を見まして、これはおろそかにできるものではない、この数値が既にこういう結果を出してしまっておるわけであります。それだけに、消費者におきましても、安全な中古製品が供給をされて、先生のおっしゃいます循環型社会の形成の一翼を中古品業者もしっかり担っていただく、そういう考えのもとに、経産省としても今後とも可能な限りのサポートをしていきたいというふうに思っております。
大臣に伺いますけれども、中古家電販売業界、中古電気用品を販売する事業者、業界の方の社会的な役割について、大臣はどのように受けとめておられるのかということをぜひお聞きしたい。
あわせて、私自身が、この間何度も質問してまいりました。今回、そういう意味では、事業者の方や消費者の立場で私求めてまいりましたけれども、そのことに対するこの間の経産省の対応についての大臣の率直なお考えをお聞きしたいと思っています
塩川議員からたびたび適切な御質問をちょうだいし、私ども経済産業省としては、そうした議員各位のそれぞれの御提言に対しては、謙虚に受けとめて、そして、そのまま押し切るというのではなくて、一つ一つ丁寧に対応してまいったところであります。
今後とも、中古電気製品の販売の業界の皆様ともこれで御縁ができたわけでありますから、経済産業省としては、積極的にそれらの業界の皆さんとも意見交換の場をしばしば持って、これからの中古電気製品の、安全で、そして消費者の皆さんにとって使いでのいい、しかも新品の製品に比べれば比較的安いわけでありますから、安い製品を希望される方々に、需要と供給がバランスとれるようなことを、これも考えてまいりたいと思っております。何せ、各方面から一挙に吹き出してくるほどの御意見をちょうだいしたものですから、若干経済産業省も混乱をしておったような様相でありましたが、今、自信を取り戻して、これからの対応にきっちりとこたえていきたいと思っておるわけであります。
それにしても、七年前、この法案が誕生する経過におきまして十分な御議論が国会の場でなかったということに対して、先ほど達増議員からも御指摘がありましたが、私もその点につきましてはやや残念だなという思いはいたしますが、後ろを振り返るよりも、我々はきょうから、四月一日に向けて、さらに四月一日の後、これが円満にお互いの国民生活の中に定着していきますように、そして、過去、誤解があったとすれば、その誤解を解消できますように、経済産業省としては懸命に取り組んでまいる決意であります。それも、この委員会におきまして皆さん方からちょうだいしたたくさんの御意見について、大いに参考にしながら前に進んでまいりたいと思います。
七年前の審議のことがございました。私どもは、この全体の法案については、事業者任せの安全、規制緩和という点での反対をいたしました。同時に、七年前に気がつかなかったから問題だというのではなくて、そもそも、私は、この取締法、その以前から、中古品というのはこの法スキームの中の対象の外だった、その点についてこそ経産省の責任が問われなければならないということをこの間もお話ししてまいりました。
この点でのそもそも論について何点か伺おうと思っていますけれども、例えば、この電気用品取締法が審議をされました一九六一年、衆参の審議の状況を拝見いたしました。そういう中で、例えば、この販売の制限の問題について、どういうふうに言っていたか。
一九六一年十月二十七日の衆議院の商工委員会で、田中武夫議員という方が、この二十七条の販売の制限の問題について、この販売というのは新品を指しておる。それならば、再生品だとかあるいは改善をした修理品、手直しをした修理品、こういうものについては販売規制から逃れるのかどうか。つまり、修理したものについてもきちっとした販売の制限をかけるようなことは必要なんじゃないのかという立場での質問だったんですけれども、これに対して、政府の答弁というのは、店で売る限りは、これはちゃんとした検査のマークがついておらなければ売れないわけです。ですから、最初のものがちゃんとテー・マークがついておる、それをいろいろ修理してそうしてまた売るということであれば、一番最初にそのテー・マークがついておる限りは、これは一応本法では売ってもよろしいという形になっている。
つまり、今の電安法もそうですけれども、製造事業者、輸入事業者が安全についての技術基準の適合確認を行って、電安法でいえばいわば自主検査を行うわけですけれども、それによって市場に出る。ですから、一度市場に出た製品というのは、一度はそういう安全の確認が行われているということをここでも改めて言っているわけですね。
一番最初に、マークがついていれば販売ができますよというのが電取法をつくったときのそもそもの審議なんじゃないでしょうか。そこからいっても、中古品というのは電気用品取締法においてもそもそもから対象外だったということになると思うんですが、この点どうでしょう。
これは、先ほど御答弁申し上げましたように、電気用品安全法におきましては、中古品を除くというふうな規定はございませず、新品と中古品を区別せず電気用品として扱ってきておるわけでございます。電気用品取締法の時代においても、こういうふうな解釈で問い合わせ等に答えておるところでございます。
実際問題として、一番川上のところでPSE マークがつけられている場合については、これで販売をするというふうなことで、今先生がおっしゃったように問題はなくなるわけでございますけれども、今回、制度が変わりまして、PSE マークが製造、輸入の段階ではつけられて、年数が経過しておるわけでございますけれども、これらのものについては、中古品であろうと、新品であろうと、販売をするということにおいて何らかの検査をする、こういうふうなことは必要なくなるわけでございますけれども、こういったものがついていないものについては、所要の検査をして、安全の確認をして、PSE マークを付して売っていただくことが必要であるということでございます。
もともと、電気用品安全法のマークとそれ以前の電気用品取締法のマークで、安全性についての違いがあるわけじゃないわけですよ。ですから、中古品というのは、もともと一度は技術基準適合確認をクリアして流通している製品ですから、既に安全性が一度は確認はされているものなんだということが、これは一貫しているわけですよね。それをもう一回もとに戻してやれということから混乱が起こっているわけです。そこに問題があるということをずっと指摘をしてきたわけです。
ですから、もともと販売の制限の対象として念頭に置いていたのは何なのかということにもなるわけです。この点については、やはり一九六一年四月四日の参議院の商工委員会で、通産省の局長が、委員会において補足の説明を、電取法についての法案の説明を行っています。
要するに、販売の制限、念頭に置いているのは潜りの製造事業者なんだということを言っているんですよ。「新しく製造業者だけを取り締まっても、もぐりの製造業者があるいは型式承認を受けない不良品が相当市中に出回っておりまして、これが漏電をしたり感電をしたりして事故を起こしているということもございますので、販売の制限をいたしまして、電気用品の販売の事業を営む者は、ただいま申し上げましたテイ・マークの表示がついてないものは、電気用品を販売の目的で陳列してはならないという規定を入れた」んだ。つまり、潜りの製造事業者が不良品をつくって事故を起こしている、だから販売の制限をするということが、これは法案を提出している通産省がこういう説明を委員会に行っているわけです。
ですから、二十七条の販売制限というのは、そもそも潜りの製造事業者を規制するという趣旨ということではないですか。いかがですか。
立法当時において、もちろんその潜りの製造事業、要するに、所要のマークがついていないものを販売段階でもチェックをするというふうな趣旨を持っていたというふうなことは、そういうことは事実であろうかと思います。
ただ、ここで申し上げておきたいのは、先ほど技術基準をクリアしていて同様だというふうにお話がございましたけれども、従来の電気用品取締法の乙種の電気用品というのは、技術基準適合義務というのはかかっておったわけですけれども、個別の単品ごとの検査というのは義務づけられておらなかったわけでございまして、電気用品安全法になった段階で、新しくそういう義務がかかったわけでございます。
したがいまして、そういうものを経ていないものについては、五年間の猶予期間が終わった段階以降は、検査をしてPSE マークを付して売っていただきたい、こういうことでございます。
中古品については含まれないと書いていないということを言っているものですから、私は、そもそも、では立法時のその議論はどうだったかと振り返ったときに、販売制限の対象というのは潜りの製造事業者だと説明しているじゃないか。ここに中古品について言明がない。具体的に例示がある。潜りの製造事業者というのが販売の制限の対象だとここではっきりしているじゃないかということを申し上げたわけです。
そもそも中古品は電気用品安全法の対象外だということをはっきりさせるべきだ、このことを改めて指摘をするものです。いわば、役所が勝手に法律の解釈を変えて、結局、実態にするともとに戻さざるを得ないような、法治国家としてあるまじき混乱を生み出した責任は大きい。
あと、中古電気用品の火災のお話も西野あきら経済産業副大臣からございました。当然のことながら対策は必要であります。ただし、もともと製品の耐用年数の問題なんだと思うんですよ。ですから、中古品を販売することの問題とイコールじゃないんですよね。ですから、製品の耐用年数についてはメーカーの製造責任にかかわる問題であって、それこそ問われるものであって、中古品販売業者にその責任を転嫁するというのは筋違いじゃないのか、このことを最後に指摘をして、質問を終わります。