経済産業委員会(平成18年3月22日(水曜日))

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009816420060322006.htm

近藤洋介委員

民主党の近藤洋介でございます。質問の機会をいただき、感謝を申し上げます。

本日は、工業再配置促進法、そして民活法、輸入・対内投資促進法の三法案廃止についてまず最初質疑をいたしますが、その前に、本委員会でも指摘をされてまいりました電気用品安全法の運用について、幾つか伺っていきたいと思います。

電気用品安全法は、電気用品の安全性を確保するために中古製品にPSE マークを取るよう義務づけた法律でありますが、この四月一日から、五年間の経過措置を経て制度が本格導入されるということであります。しかしながら、中古電気用品につきまして、とりわけ電気・電子楽器や音響機器などいわゆるビンテージ物と呼ばれる分野について、制度の周知徹底が一部でおくれているという指摘を受け、経済産業省は、このたび中小事業者の負担を軽減するということから、特別の措置を発表されております。

委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、この一枚目に、経産省が三月十四日付で発表されたその骨子をそのまま記載しております。内容はごらんのとおりですが、全国で中小事業者を対象に検査機器の無償貸し出し、さらには、六カ月間無料で出張の検査サービスを行う、全国五百カ所で検査を受けられる体制を整える、さらには、いわゆるビンテージ物について検査を必要としない特別承認の制度を設ける、また、百万枚のビラも配布するというような措置も公表されておるわけであります。

そこで、最初にお伺いいたしますけれども、これらの一連の措置について、最低でどの程度の費用がかかるのか、また、全体で最終的にはどれぐらい見込まれるのか、おおよその数字でも結構でございますので、現時点でのコストにつきまして、事務当局でも結構でございます、お答えいただければと思います。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

お答え申し上げます。

今回の対策の内容につきましては、現在、関係各方面とも意見を調整しながら詳細を詰めておるところでございまして、これにかかる具体的な費用の額については、現在そういう状況でございますので、検討中の段階ということでございます。

近藤洋介委員

検討中といっても、今発表されていることを実施するにはどれぐらいかかるのかというのは当然積算して当たり前だと思うのですが、もう一度、現時点でどの程度見込まれるのか、お答えいただけないのですか。お答えいただけないような理由でもあるのですか。積算できて当たり前だと思うのですが。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

例えば、手続の簡素化ですとかルールを変えるですとか、費用のかからないものもございます。それから、広報関係ですとかそういうことで、通常の印刷費等かかるものもございますし、それから、無償の貸与なんかになりますと、機器を幾らぐらいで調達するか、これはまたいろいろ関係機関の協力も得ながらやってまいりますので、国の費用としてどれぐらいのものが必要かというのは、ちょっと現段階でははっきりしたことを申し上げられないということでございます。

近藤洋介委員

くどいようですが、では、百万枚のビラを印刷し郵送するのでどれぐらいかかるのか、さらには、機器を無償貸し出しするとおっしゃっていますが、機器を購入する額というのはどれくらいなのか、人件費の部分を除いても結構ですからお答えください、通告をしておりますので。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

広報の費用でございますと、例えば、ビラの印刷とかそういうことになりますと、五百万円とかそういうふうな数字がかかるわけでございます。それから、機器の調達につきましては、一般の市価ですと十万円ぐらいのものから二、三十万かかるものもあるわけでございまして、これは私どもが直接調達をするというふうなことではなくて、関係の機関で調達をするということなので、おおむね一台につき十万というふうなことでございますので、例えば百台を調達するということであれば一千万、千台を調達するということであれば最低一億とかそういうオーダーの費用がトータルではかかる、こういうふうな目安でございます。

近藤洋介委員

ここで数字をぎりぎり詰めるつもりはないのですけれどもね。ただ、要するに、こういった措置をやるに当たって最低でも数億円単位のコストがかかるのだろうということをやはり明らかにしていきたい、それを踏まえていきたいと思っておるわけであります。

大臣、この電気用品安全法につきましては、私たち民主党もさまざまな方面から意見を伺ってまいりました。既に新制度に向けて準備を進めていらっしゃる事業者もあるわけでありますから、この制度を、新たな措置を加えるということについて悩ましい部分も、正直、私ども民主党内にもさまざまな意見があったところでございます。ただ、行政の対応がすべて万全であったかというと、必ずしもやはりそうでない部分もあったのかな、不十分な点もあったんだろうなということを踏まえて、我々民主党としては、法律の施行を延期するという考えを含めた法案の準備も進めてきたところでございます。

経済産業省がこのたび当初の考え方を改めたということは、私は、賢明な政治判断を大臣、部局がされたのだなと思って、一定の評価をしたいと思うわけでございます。

そこで、大臣、やはりこれは、金額の問題ではなくて、一つの制度をやるということをこの時点において変えた、見直したということでありますから、この政治判断を下した理由を改めてお伺いしたいということと、こちらでさまざまな施策を出されておりますが、状況に応じて、この打ち出されている施策に加えて柔軟な対応をほかにもとられるお考えがあるのか、どのようにお考えなのかお伺いしたいのです。

二階俊博経済産業大臣

ただいま近藤議員から大変御理解のある御質問をちょうだいしたわけでありますが、ほかにも各党からもいろいろな御意見をちょうだいいたしております。

きょうは、閣議の懇談といいますか閣議のために集まってきておる閣僚の間でも話をしたんですが、七年前にこの法律がスタートした、そして、十一本の法律が一つに束ねられての審査であったということでありますが、それはそれなりの理由があるわけでありますが、いずれにしましても、今日、世間にこのような御心配を与えているとすれば、このことに対してかたくななことを主張しておるよりも、現実を踏まえて柔軟に対応することが大事だ。

ただ、一点、既に御承知のとおりでありますが、御理解いただきたいのは、この電気用品安全法というのは、漏電等によって火災を発生し人命に影響を及ぼすというような案件が年間二千件を上回る状況になっております。うち半分以上は家電商品が原因であります。ならば、やはりいつまでもいつまでも漏電の可能性があるかもしれないというものを使用し続けることに対して何らかの注意を喚起するということは、これは行政当局として当然のことであった。したがって、当時おやりになった関係者の皆さんに対して、今、何か特に意見を述べるとか、非を打ち鳴らすというつもりは私にはありません。

ただし、今こういう、いよいよ実施の段階でいろいろな御意見が政府に寄せられておれば、このことに対して最小限、我々が何か対応することによって円満な施行ということにつながれば、新制度が国民の皆さんの御理解を得て出発することができるだろう。したがいまして、残された期間はもうあと全くわずかになってまいりました。この新制度が円滑な実施ができるように、今後、懸命の努力をしていく。

ですから、やれることは何でもやれという、私もそういう指示を事務当局にも申し上げたわけでありますが、その結果、今、議員の御質問に対して十分なお答えになっていないかもしれませんが、これは近くきちっと精査をして国民の皆さんにも、国民の皆さんの側からも、あれもやれこれもやれ、それを周知徹底しろ、日本国民全部に知らせろということを法律施行のごとに一々そういう御意見が出ても、幾ら費用をかけてもいいんだよといえば毎日テレビのスポットでもやりますが、そんなことが許されるだろうかということも常識の問題として判断しなけりゃいけない、そういう難しい問題もあります。今度の問題はそういうことにも一つのテーマを投げかけた、このように私も思っております。

しかし、今、御質問に対しては、もっときちっとこたえるように私どもの方も対応していきたいと思っておりますが、とりあえず緊急避難的にやれるものは何でもやれ、こういうことで懸命に努力をした、このことだけはぜひ御理解をいただきたい、このように思う次第であります。

近藤洋介委員

大臣がおっしゃるとおりでございまして、すべての法律のごとにこの対応をしていては切りがないわけであります。今回については、さまざまなことを勘案して政治判断をされた。ぜひ、コストがかかる作業なわけですから、やはりその費用対効果ということは、もちろん行政の問題点があったからこういう形になったわけでありますが、その点も考えながら、かつ柔軟に対応していただきたいと思うわけであります。

あわせて、今回の問題については、私は行政のみに責任を押しつけるつもりはないわけであります。この制度改正を盛り込んだ改正案、大臣も御答弁いただきましたように、七年前に審議をされたわけですが、我が民主党もこの法案には賛成しておるわけであります。

ただ、問題点は、この法案の審議のあり方といいますか、にあったのかなと思うわけであります。このPSE のマーク、さらにはビンテージ物の点について、全く議論がされておりませんでした。私も議事録を見ましたが、ほとんど議論されていない。議会が法案の最終責任者でありますから、議会が賛成してこの法制度が通っているわけでありますので、もちろん行政の対応もありますが、やはり議会もこの点について見落としたという点については責任の一端があるのだろうと思うわけであります。

その上でなのですが、二ページ目をごらんいただきたいのですけれども、この法案、七年前通産省の基準・認証制度等の整理及び合理化に関する法律案といういわゆる束ね法案の中で十一本、ここにございますように消費生活用製品安全法から航空機製造事業法に至るまで、ガス、電気用品、高圧ガス、火薬等々さまざまなものの基準・認証について一本にこれをまとめて提出しているんですね。審議時間を調べますと、三時間十一分、こういうわけであります。

これだけの法律を三時間十一分で審議したということでありますけれども、この法案の審議のあり方、法律の出し方については当然、与野党国会対策委員会及び議会運営委員会が判断したわけでありますから、一義的には院の責任でありますが、実際には、法案のくくり方、出し方というのは、役所がシナリオを書かれて、こういうことでいかがでしょうかということをやって、政府、与党が一体となって提案をし、野党も含めて合意して議論するということでございます。

大臣は議会人として大変御経験が豊かであり、とりわけ議会運営については大変御造詣が深いと伺っておるわけでございますが、やはり私は、こうした法案の提出の仕方にも一つの問題があったのではないか、議会として監視がきかなかった要因ではなかったかと思うわけでございます。今回の件を教訓に、こうした法案の提出のあり方、束ね方、基本的には慎むべきではないかと思うわけであります。

今国会を見ましても、国土交通省関係で十一本の法案を束ねたというケースが出ております。厚生労働省でもそういった束ねのケースが出ております。もちろん、限られた時間の中での審議でありますから、さまざまな工夫が必要なのは、私も実は今国会から国会対策委員会の副委員長をやらせていただいていますので、理解はしているつもりでございます。

しかしながら、こうした束ね方が、後々考えてみますと、やはり議会のチェックが不足したということになるわけでございますから、少なくとも、大臣、経済産業省においては、こうした束ね方、束ね法という出し方は、極力というか原則やめるのだというこの大原則に立ち返る必要があるかと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたい。。

二階俊博経済産業大臣

近藤委員御指摘の点につきまして、私も考えてみないわけではありませんでした。第一、当時は、だれが大臣で、だれが局長であったかということも知りたいと思いました。大臣はわかりました。けさ大臣に直接話をしてみましたが、大体私の予測のとおりでありますから、これ以上はここで申し上げません。

しかし、国会の法案を御審議いただく立場にある私どもが、束ねがいいとか悪いとか、これはやはり慎むべきで、私の側から申し上げるのではなくて、委員長初め理事の皆さん、先ほどお話がありました各党の国対や議運等で御審議いただく、そして、その命令に従って、私どもはそれに応じて対応していくというのが今日のならわしであります。

私は、今おっしゃったようなことについて、重要な法律を十一本もまとめて審議して、その際にビンテージが何かというようなことに関しても何の御審議もなかったということは、これはいささか残念だなという思いも私は一議員として持っておりますが、私の今の立場で国会の審議に対して意見を述べるべきものだとは考えておりません。

しかし、参考までに申し上げますと、複数の法改正を一つに束ねるというのは、いわゆる束ね法ということで、政府共通の基準があるようであります。政策が統一的なものであること、あるいは各法案の条項が相互に関連していること、できる限り同じ委員会の所管に属すること等の基準で判断しておるようであります。お尋ねの法案も、この基準に照らし束ね法とした経過があるようであります。

このような取り扱いは、関連する法律の一覧性を高め、総合的かつ効率的に御審議いただくことに資するものであるようで、いい点もあるわけであります。国会審議においては、それぞれの改正内容について御審議と御精査をお願いしたいと経済産業省としては考えておる次第であります。

他方、政府としても、法案提出に当たっては、個別法の改正内容について、関係者の意見徴収を含め、これまで以上に十分な検討をしてまいりたいと思っております。

今、この十一の法案を振り返ってみますと、ほとんどは経済産業省に属するような関係でありますから、私どもも、今後、いわゆる後日のために、この法案が今日どういう影響を持って国民の皆さんに理解をされ御協力をいただいておるかということなど、勉強してみたいと思っております。

近藤洋介委員

大臣がおっしゃったとおり、これは役所がどうのこうの言える立場にないというのは十分承知しておるわけでございますが、その上であえて申し上げました。

委員長におかれましても、これは委員会の問題でもございますので、この件をひとつ教訓に、基本的には一つ一つ審議するんだというこうした姿勢を委員会運営においてもしていただきたいということを、あえて発言させていただきたいと思うわけでございます。

次に、工配法、民活法等の廃止法案の議論に移りたいと思います。