経済産業委員会(平成18年3月8日(水曜日))

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009816420060308003.htm

塩川鉄也委員

日本共産党の塩川鉄也です。

きょうは冒頭、今社会的な大問題となっております中古家電問題について何点か質問させていただきます。

連日のようにテレビや新聞でもこの問題が取り上げられて、リサイクル業者の方がこれを機に廃業を決意せざるを得ない、こういう事態も生まれておりますし、電子楽器などのビンテージ愛好家の方から、日本の文化をごみにしていいのか、こういう怒りの声も寄せられているときであります。

その点で何点か聞かせていただきますが、そもそも、この中古品の扱いについて、電気用品安全法の法制度のスキームの中でどうなっているのか、この問題ですけれども、ここにお持ちしました電気用品安全法の関係法令集、この前身であります電気用品取締法関係法令集、この中に中古品の扱いについての記述というのはあるのでしょうか、ないのでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

そうした法令集におきまして中古家電製品に関する記載はございません。

しかしながら、そもそも法律におきまして、二条一項の電気用品の定義におきましても、中古品を除くというふうな規定はございませんで、この定義からして、当然、電気用品と書いておるものには中古品が含まれるというふうな解釈が、これは、電気用品取締法の時代から確立をしていることは明らかであるということでございます。

塩川鉄也委員

解釈できるのであれば法令集に書いておけばいいのに、一言も書いていないわけです。ですから、後づけの話だということはここを見ても明らかで、中古用品の扱いというのは、そもそもこの法制度の想定の外のものだったということだと思うのです。

そこで、重ねてお尋ねしますが、経済産業省は、昨年一部のリサイクル業者に、PSEマークのない中古家電が売れなくなればどうなるかという影響調査、アンケートの調査を実施したとお聞きをしています。結果として、とにかく三月三十一日まで周知徹底に努めるということを経済産業省内部で確認をしたということなんですが、このアンケートについて、対象としたリサイクル店はどこなのか、それから、このアンケート調査を依頼した日時は、日付はいつなのか、この点をお答えください。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

お尋ねの調査でございますけれども、この調査は、電気用品安全法の猶予期間がことしの三月三十一日に終了いたします、今や半年を切った時点において、中古家電製品についてのお問い合わせなんかもあることから、中古家電の販売事業者に対しまして、制度の周知も兼ねまして、対応の状況を調査することといたしたものでございます。

対象といたしましては、これは電話帳等に、中古家電を売っておられる方、一万二千店ぐらい載っております、これの中から、店舗を多くお持ちの、例えばハードオフですとかあるいは生活創庫といったような各お店に伺う。それから、中小の単一の店舗のリサイクル店を含めて、総数として千店を数え上げまして、これらに対して十一月九日付で調査を発送して御回答いただいて、実情の把握と周知に努めたということでございます。

塩川鉄也委員

千店ということですけれども、重ねてお伺いします。

ハードオフとそれから生活創庫、この二つの大手のリサイクルの業者ですけれども、そこで何店舗ぐらいのアンケートを行ったのか。それから、残りの二百については、私は、これは家電製品協会を通じて紹介してもらったというふうに承知していますけれども、そういうことでよろしいのでしょうか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

今先生が数字をお挙げになりましたように、大手のハードオフ、生活創庫で八百店、それから、二百店については電話帳の中から抽出をして調査票をお送りしたということでございます。

塩川鉄也委員

電話帳云々と言いましたけれども、その委託窓口としていたのが家電製品協会にかかわる団体だったんじゃありませんか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

ちょっとそこは定かではありませんけれども、何かその調査を実施するに当たっていろいろ助力を得たというふうなことはあるかもしれません。

塩川鉄也委員

家電リサイクル法を所管する担当の方からその点は確認をさせてもらいましたけれども、千店のリサイクル業者の調査といっても、そのうちの八百というのは、ハードオフ、生活創庫という大手のリサイクル業者です。残りの二百社についても、これは家電製品協会、つまり、大手の業界団体、家電メーカーに連なる傘下のリサイクル店なんです。

ですから、十一月九日時点で、家電メーカー系列のリサイクル店、あるいはその大手のリサイクル店には、四月からは中古家電は販売できなくなりますよということは少なくとも伝わってはいたわけですね。なぜほかの業者には二月だったのか。十一月の初めの時点でアンケートということを通じて周知を図るという目的もあるということをおっしゃいました。なぜほかの業者の人には三カ月も後のことしの二月に入ってからだったんですか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

まず、周知活動は、いろいろな形で、パンフレットですとか講習会ですとかやってきたわけでございます。それで、中古家電の販売店については必ずしも十分に行き届いてはいないのではないかというふうな懸念もございましたので調査を我々やったわけですけれども、調査票をお送りする際には、旧法に基づくマークを表示した電気用品は四月から販売できなくなります、こういうふうにお書きして、その調査票にも明示をしてお送りしたわけです。

結果的には、それは、例えば一万二千全部にやるべきではなかったかというふうな御意見もあるかもしれませんけれども、今回こういうふうな調査をやったことがその中古家電の販売店の間でいろいろ認識が広まっていったという意味においては、私どもがやったその周知調査というのはそれなりの効果を果たした、周知の効果を果たしたというふうに思っております。

塩川鉄也委員

大手家電メーカー傘下のリサイクル業者と大手のリサイクル業者には、少なくとも十一月の初めでどういう状況になるかというのは伝わっていたかもしれないけれども、それ以外の圧倒的多数のリサイクルの業者の皆さんは知らなかったんですよ。三カ月も後の二月になってからやっと文書で通知をするということなんです。

そもそも、それが周知徹底の、結果としてそうなったんだと言うけれども、期限はいつですか、三月三十一日ですよ。それまでにどうしたらいいのかということで皆さん大問題になっているんじゃないですか。その点で、五年間の猶予期間があったのにもかかわらず周知徹底をしてこなかったという経済産業省の責任が問われるわけです。

そこで、お手元の配付資料の三枚目ですけれども、これは、九九年の電気用品安全法の改正に基づいて、経済産業省の部内資料として、流通経過措置期間、つまり、猶予期間の扱いについてどういうふうに、なぜ五年とか七年とか十年なのかという理由も添えた表になっているわけですけれども、いわば、この流通経過措置期間、猶予期間というのが在庫の処分の期間ということだというのはこの法令集の中を見ても明らかです。

ごらんいただきたいのが、「電気用品名」でいきますと六番の「電熱器具」のところで「五年」とあります、真ん中のところですけれども。そこのところに、「理由」の欄にちょっと書いてありますが、「平成七年時百十七品目の乙種電気用品移行に際し、旧表示電気用品について一律五年の流通経過措置を見たところ、表示については今回は更なる全面改正となり、全製品に影響が及ぶ」ということにこの九九年改正でなったものですから、「このため、最低でも五年を担保することが販売店における財産保護の観点から不可欠と考えられ、特例を適用しないものにあっては前回同様一律五年とすることとした。」ということで、いわば、五年のこの猶予期間というのが在庫を処分する期間ということですよね。ですから、販売店における財産保護の観点から、財産としてある商品の処分のために五年という猶予期間を設けているわけなんです。

今お話ししましたように、中古の家電販売の事業者の皆さんは、大手であっても十一月の初めの時点、大半の方は二月になってから初めて事態を知ったという中で、この財産保護の観点というのはどこにいっちゃったんですか。中古のリサイクル販売業者には財産権保護が必要ないと経済産業省はお考えなのか。

迎陽一経済産業省大臣官房商務流通審議官

ここで言っております財産権の保護云々ということ、在庫というお話でございますけれども、それは、大変その流通在庫の期間が長くて、法律の施行前に在庫されたものが売れるまでに非常に長期間要するような商品があるわけでございまして、そういったものについての財産権の保護というふうなことであると理解されるわけでございまして、今先生が御指摘になられたのは、その周知が御存じだったか御存じでなかったか、あるいは私どもの周知が十分だったか十分でなかったかという議論はさておきまして、法施行後に官報に公示されて、制度が決まった以降に買われたものについての財産権の保護云々というのとは、これは違うものであるというふうに私は理解できると思います。

塩川鉄也委員

在庫の問題について、本来、五年前に知っていれば、当然のことながら皆さんは対応されているわけですよ。それは、製造メーカーや、またはその販売店について言えば、当然そういう皆さんはこういう周知の中で対応されてこられているわけです。しかし、中古の家電業者はそうじゃないんです。だからこそ、今になってどうしようと大変悩んでおられるわけです。ですから、二階大臣に、前回もお尋ねしましたけれども、重ねてのお尋ねですけれども、こういう現状に対してふさわしい対応をとる必要があるんじゃないのかと率直に思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

西野あきら経済産業副大臣

御案内のとおり、この経過措置につきましては、いよいよ一カ月を切ったということで最終の段階に入ってきたわけでございます。それに向けまして今日まで周知活動を展開しておりましたけれども、さらに最後のこの残りました期間にわたりまして、まだ必ずしも徹底した周知でないという御指摘もこれあり、また、その他の問い合わせ等々もございますから、さらに新聞広告、さらには携帯電話による広告を行ったり、ビラの配布等を行うなり、あるいは経産省のホームページのQアンドAに丁寧に対応するなどありとあらゆる方法を講じて、残りました期間に対して、いわゆる総動員をかけて周知徹底に最後の期間全力を挙げていきたいというふうに思っておるところでございます。

これは、御案内のとおり、人のいわば安全にかかわる重要な問題であること、そのことは先生もよく御理解がいただいておるというふうに思いますだけに、そういう意味で、ゆめゆめおろそかにできないという観点から、国民の皆さんや中古品を扱われます業者に対しましても一層の御理解をいただけるように最後の努力を行っていきたい、このように思っております。

塩川鉄也委員

大臣にあてて署名もたくさん今寄せられているそうであります。大臣からも一言お願いいたします。

二階俊博経済産業大臣

先般も塩川議員からの御質問もあり、私も、この段階でいかにすればいいかということも考えてみました。

しかし、御承知のように、五年間の経過措置の中であと一カ月を切っておる今日、今いきなり何かルールを変えるとかやり方を変えるということは、もう既に五年間のことを周知徹底した上で対応してこられた業者もおられるわけでありますから、私どもは、今、西野あきら経済産業副大臣が御答弁申し上げたとおり、残された期間いかほどのことがやれるか、全力を尽くして、この期間に、今御説明申し上げたような観点で積極的に対応して、そしてゴールを迎えた段階で、改めてまた今後の対策等について関係の皆さんの御意見等も伺い、対応してまいりたいと思っております。

私は、今、塩川議員はこの委細の資料をお持ちでありますが、いかなる経緯でこの法案が審議されたのかということも一応調べてみましたが、衆議院で採決されたのは、平成十一年六月十五日でございます。参議院では、平成十一年八月二日に採決されたというふうに記録されております。

そして、これは御承知のとおり、基準・認証制度改正の一括法として処理されております。したがって、どの政党がどのような御意見、どの国会議員がどのような御意見を当時述べておられたかということをつぶさに調べてみましたが、残念ながら、一括法でございますので、当法案に対する特別の審議が行われていなかった。

そして、今、五年間の経過でありますから、当時の大臣もおいでにならなければ、局長以下関係者も、当時その職にいた者はいないわけでありまして、しかし、これは役所としての行政の継続性から、我々は十分責任を痛感すると同時に最後の努力を傾けてみたい。先般も申し上げましたが、川を渡っている最中ですから、ここで馬を乗りかえたりUターンをするわけにはいかない。ですから、最後の期間がわずかでございますが、精いっぱい頑張るこの経済産業省の姿を見とっていただきたい。

塩川鉄也委員

ふさわしい対応を改めてとることを求めます。