http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009816420060224002.htm
日本共産党の塩川鉄也です。
きょう、私、最初に、この間にわかに大きな問題となってまいりました中古家電の販売問題について質問をいたします。
九九年改正の電気用品安全法が、五年間の販売猶予期間を経てことしの四月一日から、五年物についての適用が行われることになります。そのため、PSE 表示のない中古家電製品の販売ができなくなります。
これが行われますと、リサイクル店や楽器・オーディオ店、質屋、骨とう品店などが倒産、廃業の危機にさらされる、こういう声が広がっています。これじゃ商売がやっていけないという関係業界から怒りの声も寄せられています。あるリサイクル店の方などは、店の売り上げの四割が電気製品で、今回対象になるのはその八割ぐらいに上る、普通三月は引越シーズンで本当は一番忙しい時期なのに、今仲間の間ではもう店を閉めるしかないと大変な騒ぎになっているという声であります。
ところが、消費者にとっても大きな影響が出るわけで、今月に入って、大手のリサイクル業者や楽器店などが、中古家電品の買い取りを中止するところも出ております。ビンテージとか名器とか言われるような中古楽器、オーディオ機器の入手が難しくなることなど、消費者にも大きな影響が及ぶことになります。さらに、中古家電の大量廃棄にもつながりかねない事態で、循環型社会にも逆行するのじゃないか、こういう声も上がっております。
こういう混乱が生じた大きな原因の一つが、周知徹底がされていなかったことであります。本来、この五年間の期間があるわけですけれども、消費者はもちろんのこと、リサイクル業者でさえ、この家電製品についてPSE マークがなければ販売できなくなる、中古家電が今のままでは販売できなくなるということを知らなかった。
そこで、経済産業省に伺いますが、法の施行から五年間の猶予期間が設けられた、その理由の一つは、関係者への周知徹底を図ることだったと思うのですけれども、その点だけお答えください。
お答え申し上げます。
私ども、今先生の御指摘ございましたように、多くの方に関係をするというふうなことでございますので、法改正以降、法制度の周知につきましてはいろいろ努力をしてまいりました。五年間にわたりまして、十九万部のパンフレットをさまざまな場面で配布する、あるいは講習会、セミナー等を開催いたしまして、延べ二万二千名以上の方に御参加をいただくというふうなことで、広く周知を図ってまいったわけでございます。
また、こういうのに参加をされないような方もおられるというふうなことで、経済産業省のホームページに平成十四年から新しい制度についてのわかりやすい周知というふうなこともやってまいりました。
このようにいろいろ努力をしてまいったわけでございますけれども、最近になって、まだ知らなかった、こういうふうなお声もございますので、本年に入りましてから、改めてまた九十六の関係業界団体あるいは二百社以上の方々に対していろいろ通知をする、それから関係省庁の協力も得まして、中古品販売店関連の団体に対しても周知を行う、それから経済産業省のホームページにQアンドAを掲載するというふうなさらなる周知の徹底を図っておるところでございます。
この五年間というのは周知徹底を図る期間ですから、そういう努力をしているのかということが問題になるわけですけれども、私が聞いているのは、製造事業者とか販売事業者じゃなくて、中古品を扱っている販売業者ですよ。リサイクル業者、中古家電を扱っている業者の人に周知徹底を行ったのかというのを聞いているのですよ。
例えば、警察庁なども把握をしているリサイクルショップの業界団体があるわけですよね。そういうところは組合、連合会の名前などが当然列記されているわけです。そういう団体に五年前に通知とか出したのですか。
五年前の時点では、警察庁の協力を得てそうした団体に通知をするというようなことは行っておりません。
むしろ、先ほど申し上げましたように、いろいろなパンフレットの配布ですとか、あるいはどなたでも来ていただけるセミナー、講習会を開催するとか、ホームページという形でやってきたわけでございますけれども、ことしに入りましてから、お話のございましたような警察庁を通じた関係団体への事務連絡というふうなものを送付して万全を期すということでやっておるわけでございます。
警察庁を通じてやったのは、ことしに入ってからなのでしょう。五年間、何もやっていないのですよ。周知徹底、周知徹底と言葉だけで、肝心な中古家電を扱うリサイクル業者には何ら直接徹底していなかったというのが経済産業省の五年間じゃないですか。何のための周知徹底の猶予期間なのか。
例えば、警察庁が把握をしている、古物営業法に基づいて業者は公安委員会に許可申請書を提出することになっています。この古物商の総数というのは何社あるか御存じですか。
約六十万軒というふうに伺っております。
そうなんです。ここにはもちろん中古家電を扱っていない業者も含まれていますけれども、このルートでいけば中古家電を扱うようなリサイクル業者へ届くはずなのですよ。ちゃんと古物営業法に基づいて許可申請書が出されているのですから、やる気になればすぐにでもできるはずだ、それを五年間放置してきたのが経済産業省で、今の混乱の責任は経済産業省にあるのが明らかじゃないでしょうか。
二階大臣、ぜひとも、この関係団体や消費者の意見をよく聞いて、周知徹底を図ってこなかったのですよ。つまり、施行日がこの二月だというような話じゃないです。これから本来五年間の猶予期間があってしかるべきなのです。そういう点でも、四月からの適用を延期すべきじゃないですか。いかがでしょうか。
お示しの点でございますが、電気用品を扱う一般的な家電製品の業者に対しましてこの五年間の措置を講じておるわけでございまして、それで今先生がお示しされておりますのは、リサイクル業者初め古物商等々に対して十分やっていないではないかという具体的な点ではないのかなというふうに思っております。
つきましては、確かに古物商、リサイクル業者に対する徹底方がややそういう意味で不十分であったような気を私は感ずるわけでございまして、残りました期間におきまして、ぜひこれを周知徹底するためにあらゆる法を講じて徹底をしていきたいというふうに思いますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
西野あきら経済産業副大臣お認めになったように、徹底が不十分だったと。不十分どころか、やってこなかったのですよ。
警察庁を通じて実態を把握できるようなところに対して、五年前にやろうと思えばすぐにでもできることを、五年間放置をしてきた。であるならば、五年間これから延ばせとは言いませんけれども、もう少し猶予の期間を設けて、現場がちゃんと着地できるように、そういう努力というのを行うことこそ経済産業省の今の仕事じゃないでしょうか。
二階大臣、その点でぜひ御答弁をお願いします。
実は、単なるその周知として、みずから事業者が行うということも当然でございますけれども、それを、実は手段を持たない業者もあろうかというふうに思いますので、そういう場合には、既にそういう資格を持っておる、あるいは登録をされておる民間検査機関等がございますので、そういうものを十二分に活用していただけば可能だというふうに思いますし、あるいは、個々に経産省の方にそういう御相談がありました節には、きめ細かに対応して、その処理についての適切な指導、助言をしていきたいというふうに思いますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
五年間の経過措置期間において、各事業者に対して新法の対応のために徹底すべきではなかったのか、こういう御質問でありますが、当然それはその猶予期間に徹底することが大事でありますが、今日この時点におきまして、この経過措置期間の終了に向けて今具体的な対応を進めておるところであります。残された期間に全力を尽くして対応を行い、また、各方面からの御意見等につきましては、経済産業省としてはできるだけ親切に対応していくという姿勢で臨んでいきたいと思っております。
リサイクル業者の方も製造事業者という立場であれば販売もできるという話もありましたけれども、実際にもう足元がもつれているような実態の中で、自分の経営資産をやりくりする中で、新たにそういった資金も投入しなくちゃいけないということについて、多くの方はやはり倒産とか廃業を考えざるを得ないというのが今の現状だと思うんですね。それを見据えての対応なのかということを私、率直に思うんです。そういう意味では、リサイクルという形で、資源循環の立場でも、物を大切にしようという思いで行われている皆さんのそういう仕事を応援するし、消費者の立場に立った対応というのが本当に求められていると思うんです。
そういう点でも、私、ここで、行政の責任で中古家電用品の安全を担保するような認証検査機関というのはきちんと整備する必要があるんじゃないのかと。今の段階で改めて要望したいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
先生のお示しがありますこのことによって、ほとんど廃棄してしまったりして業が成り立たない、そういう顕著な例があるということですと、非常に残念なことでありますけれども、相対的には必ずしもそこまでいっていないと私は思うんでございます。しかしながら、数多くの業者さんでございますから、あるいはそういう窮地に今陥っている方もあるのかなというふうに思います。
しかしながら、今、仕組みとしては、検査を委託する機関もございますし、あるいはそういう資格を持った業者も、そういうところに委託することもできるわけでございますので、そういうことを通じて処理をしていただくように、御相談がありました節にはきめ細かに対応していきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしく御了承いただきたいと思います。
もう一点申し上げたいのが、ビンテージとか名器と言われる中古楽器、オーディオ機器などの問題であります。
今、署名の呼びかけというのも始まっておりまして、対象となる機器、五年猶予期間のが、この四月から適用になるということについては、その規定の変更を求めるという署名運動の呼びかけが行われているんですけれども、その呼びかけの方のお一人に音楽家の坂本龍一さんなどもいらっしゃるわけです、シンセなどの。そういった今回の対象となるような中古楽器などを扱っている方の中からも、やはりこの問題については見直してもらいたいという声が上がっているわけですね。
音楽業界で働く方の声としても、楽器などは特に、七〇年代のシンセサイザーとかギターアンプの方が今のものより音がよかったりするんだ、そういう点でも日本の文化の問題にもなっているんだということを述べておられました。
そういう意味でも、楽器とかオーディオ機器など文化的な価値の高い製品の扱いについては、二階大臣、ぜひ血の通った対応ということで、お考えいただけないかなと率直に思うんですけれども、いかがでしょうか。
今の先生のお示しのビンテージ物につきまして、かなり古い歴史といいますか、機器や音響機器等々があるというふうに思っておるわけでございます。そのことはよく承知をいたしておりますし、それについてはさぞかし私自身も価値があるものだろうなというふうにも思うわけでございます。
だからといって、そのものについては、安全性を確保するという観点からしたら、それは除外していいんだ、こういうことには、私は、残念ながらならないというふうに思っております。
そういうことからいたしまして、これからも事業者等に対しまして、先ほども申し上げましたとおり、個別の御相談にしっかりとおこたえをさせていただいて、丁寧に対応させていただきたいというふうに思いますので、御了承いただきたいと思います。
ぜひ、名器と言われるような、こういった文化的価値の高い製品についての扱いについて、血の通った対応をお願いしたいということについての二階大臣のお言葉をいただきたいと思います。
ただいま御指摘のように、文化的に価値ある、そうした、古典的なといいますか、古い楽器等につきましては、これはお互いに文化という面で大切にしていかなくてはならないと思いますが、ただいま今日の状況について、西野あきら経済産業副大臣からもるる御説明を申し上げたようなことでありますが、私どもは具体的な御相談にはできる限り親切に対応していく、そういう方針を私は関係者にも申し渡しておりますので、議員の御指摘を踏まえて、なお一層心にとめておきたいと思います。
経済産業省の皆さんは、こういう問題で提起をすると、安全の問題をおろそかにできないじゃないですかとおっしゃるんです。そのとおりですよ。おろそかにしてきたのは経済産業省じゃないか。五年間周知徹底を行わなかった。こういうことを通じてこういう事態を生み出してきた経済産業省の責任というのが改めて問われるということを申し上げたいと思うんです。
〇一年の電気用品安全法の施行で、家電用品の安全については、製品流通前の国の安全性チェックを緩和して、製造業者の自主検査に変えました。そういう中で、規制緩和の中で、家電事故が増加をしている。
経産省所管のNITEと言われる機関でも、事故情報の収集制度報告書を出しております。これを見ても、家電製品の原因が明らかな事故のうち、製品に起因する事故の割合、使用している人が原因の事故ももちろんあったりします、そういういろいろな事故原因の中でも、製品に原因がある、製品に問題があるという事故の割合が、〇一年度が七三・四%が、〇四年度に八七・〇%にふえているわけです。
規制緩和で国民の安心、安全が後退している、こういうことそのものを見直すことが求められている、このことを申し上げて、次の問題に移ります。