TOKYO FUSION NIGHT
Special Session Feauturing Shuichi "Ponta"Murakami
Polydor MR3159(LP)

やっと本物を見て聴くことができた、伝説のアルバム。
うれしいので、ライナーの一部をご紹介。
HARUさんに大感謝です。
ライナーの写真を見ると、当時、村上“ポンタ”秀一はYAMAHA YD-9000らしきを使用していることが判明。シンバルはZYLDIANでフェルトレス。スネアはスチールの5.5inchでティッシュミュート。
スネア側にはYAMAHA製のティンパレス。8"(single head),12"(tom),13"or14"までが見える。
8"と12"はdotのついたclear head。当時最先端?だったと思われるSyncussion使用。

Rhythm track recorded live at Epiqulous Hall:78.7.4
Overdubbing & Mixdown at Teichiku Suginami Studio:78.8.30/9.18
Mixdown at Polydor II studio.
Produced by Shigehiro Kokubu.
Directed by Hidenori Ogawa.
Sound Produced and all arranged by Satoshi Nakamura.
Sound assistant produced by Shuichi Murakami.
SIDE A

1.CAPTAIN CALIBU/4'20"
作曲:Dave Grusin
 アール・クルーやリー・リトナー&ジェントル・ソウツの演奏で有名なこの佳曲は、きっと今の20歳位の人が10年後に聞けば、ああ懐かしいなと喜びを感じ、今の時代を想い出す曲になるでしょう。このアレンジは中村哲による全く新しいもので、前出の二つの演奏とはまた違った雰囲気を味わわせてくれるはずです。

村上“ポンタ”秀一(ds)
鳴瀬喜博(Fender b)
難波弘之(ep)
中村哲(ts)
大村憲司(first g.solo)
野呂一生(second g.solo)
松原正樹(g)



2.PROMISE ME YOUR LOVE/8'30"
作曲:Ralph Macdonald/William Salter
 ジョー・ファレルらの演奏で知られるメロディーのきれいな曲ですが、フュージョン・ミュージック好きのキミなら、どこかで耳にしたことのある曲だと思います。冒頭のラテン語のシャベリは、このアルバムで大活躍の'78年スタジオ・ミュージシャンの新人王ペッカー橋田によるものです(彼のプレイは佐藤博&ハイタイムズや高中正義グループでも聞けます。)松原のサイド・ギターも光っています。

村上“ポンタ”秀一(ds,bells)
鳴瀬喜博(Fender b)
難波弘之(ac)
中村哲(ss,ep)
野呂一生(lead g)
松原正樹(side g)
小林泉美(Solina with Mu-tron Bi-Phase)
ペッカー橋田(per,voice)



3.NABI'S NAPPING/8'10"
作曲:Shuichi Murakami/Satoshi Nakamura
 アルバム中唯一のポンタのオリジナルで、中村哲によりさらに発展させたテーマの展開は、不思議な何とも云いようのない、それでいてしたたかな手応えを感じさせてくれるフュージョン・ミュージックの世界を築き上げています。Nabi's Nappingとはポンタの愛娘、奈美ちゃんのお昼寝の意味で、まるで彼女が夢の仲でいろんな所へ飛んでいっているようです。

村上“ポンタ”秀一(ds,bongo,sound of drinking water)
鳴瀬喜博(Yamaha custom fletless b)
難波弘之(ep,Mini-Korg)
中村哲(ss,voice,handclapping)
野呂一生(g)
細野晴臣(steel drum)
ペッカー橋田(chekera,voice,handclapping)
斉藤ノブ(cowbell)
マック清水(conga)
小川英則,坂本由美子,国府茂博(other per,handclapping,voice)
Horns Spectrum[兼崎“ドン平”順一(tp)新田“ヨロシク”一郎(tp)中村“ストロボ”哲(ts)]
粉川忠範(tb)吉田敏幸(tb)



SIDE B

1.COME AND DOWN/8'30"
作曲:Satoshi Nakamura
 中村哲がポンタの為に書き下ろした意欲作です。Part IとPartIIに分かれていますが、Part I はアルバム中最もジャズ・タッチの強い仕上がりとなっています。鳴瀬のしなやかなベース・ラインは、ジャズでもロックでもない“今”を表現していると思います。さすがと思わせるポンタのハイハット・テクで始まるリズム・オンのPart IIでは、若手二大ギタリスト、プリズムの和田アキラとカシオペアの野呂一生の掛け合いギターが聞きものです。中村のSopranoSaxによるブローと、とてもポンタらしいドラミングが駆けめぐる世界を、五管編成によるホーン・セクションがタイトに引き締めています。

村上“ポンタ”秀一(ds)
鳴瀬喜博(Fender fletless b)
難波弘之(ap)
中村哲(ss)
野呂一生(g,left side)
和田アキラ(g,right side)
Horns Spectrum[兼崎“ドン平”順一(tp)新田“ヨロシク”一郎(tp)中村“ストロボ”哲(ts)]
粉川忠範(tb)吉田敏幸(tb)



2.AIR POCKET/9'06"
作曲:Kohsuke Mine
 峰さんのオリジナルですが、彼の演っていたものとは全く違ったサンバ調で、10の効いた張りのあるリズムの曲となっています。野呂の若狭溢れるプレイに引き続く、難波のセンスの良さを示すピアノ・ソロのあとは、LPの最後を締めくくるのにふさわしいポンタと中村の掛け合いが圧巻です。二人の意気のあった、互いに心情を察するようなinterplay...。そしてポンタのリハーサル・本番リハを通じて最も力の入った汗の噴き出るドラム・ソロをよく聞いて下さい。これが村上“ポンタ”秀一の真の姿、真のプレイです。

村上“ポンタ”秀一(ds)
鳴瀬喜博(Fender b)
難波弘之(ep)
中村哲(ts)
野呂一生(g)
ペッカー橋田(per)
小林泉美(Solina with Mu-tron Bi-Phase)



村上秀一
 古くは五輪真弓&エントランスでの渡米の際の“セクション”とのセッションや、2年前、ニューヨークでの“スタッフ”とのセッションワーク等で、米国においても高い評価を受けている村上“ポンタ”秀一だが、来日時のマイク・ブレッカーやハーヴィ・メイスンの言葉を借りるまでもなく、彼の秀逸したテクニックや根性、そして“ポンタっぽさ”とでも言えそうな個性は、海外の一流どころと肩を並べる日本のトップ・ドラマーである彼の大きな強みである。
 赤い鳥に始まり、ライブ活動ではカミーノ、バンブー、ラーフィングドッグスといったグループを経て、最近では多くのジャズ・ミュージシャン(渡辺貞夫、峰厚介、日野晧正、渡辺香津美、益田幹男、酒井俊、笠井紀美子、中本マリ等々)とのセッションで腕を磨き、また並行して深町純、大村憲司、高中正義、坂本龍一、プリズム、サンバカリオカ、山下達郎、吉田美奈子、松岡直也サルサオールスターズ、高橋達也と東京ユニオンなど、全く数え上げたらキリがない程のスタジオ、ライブワークをこなし、当然スタジオ・ミュージシャンとしても最高級ランクである。
 彼の実力、人柄をみてもこの人気は、確かにうなずけるものであることは間違いない。
1951年神戸生まれ。現在東京駒沢に住み、奥さんと女の子(奈美ちゃん)一人をもつ大の子煩悩である。

(国分茂博)
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