| 絶対聴くべし | おすすめ | コレクタ向け | 40代中盤を迎え、ますます過激に、そして活動の幅を広げるポンタ氏率いるPONTA BOX5作目は、初のバラード集。 「日本のジャズ界から総スカンを食らいたい」とまで言い放ち、既成のジャズの形に全くとらわれない、聴いたことがあるようで、実は全く新しいことをやりぬいた前作とうって変わり、オーソドックスなバラード集を出すあたり、まるで評論家がなんて言ってくるかを先読みしつつ、それをあざ笑うような展開だ。 THE THEME FROM "MODERN JUZZ"は、フジテレビ系「ニュースJAPAN」のエンディングテーマ。毎月一回金曜日、豪華ゲストを迎えて同番組に出演することになったPONTA BOX。 ニュースJAPANの安藤女史のなんとも的を外したコメントには困ったもんだが、ポンタ氏を月いちのレギュラーとして出してくれるあたりは見直してもいいだろう。 PONTA BOXのアルバム全体に言えることだが、シンバルの種類が聞き分けられるほどの生き生きした録音技術に感嘆し、今までの大半のインスト系のアルバムの、特にアコースティック楽器に対する録音のいい加減さを知る。 もちろん、ポンタ氏のキャリアに裏付けられた、「マイクのりのいい」チューニングや楽器選びも大きい要素を占めているに違いない。 私はバカボン鈴木のパール兄弟以後のキャリアには詳しくないが、ベースの音やフレーズで存在を気持ちよく主張していると思う。これは、バラードを聴いてまたよく分かる。 佐山のグルーブ感も好きだ。伸び縮みするビートとアンサンブルの絶妙さは、かつてのキースジャレットとジャックディジョネットのインタープレイを想起させるものがある。山下洋輔以降、もっともポンタ氏と合うピアニストだと思う。 ジャケットデザインだけでなく、キャラクターの八百八だぬき(うでの数珠!)、メンバーの衣装などへの楽器のチョイス、といったこだわりも見逃せない。 バンドは、ステージングや活動にまつわるあらゆるデザインものなどビジュアルにこだわることによってもお客を喜ばせる。総合ゲージュツなのだ。ビジュアル系と言われる薄気味悪いお化粧野郎の方がその辺をよく分かっている。「バンドマンは音楽だけでなく、ありとあらゆるものに美しさや醜さを知り、きちんとこだわらないといけない」というメッセージが伝わってくるのである。 曲については書かない。まあ、しっぽりと聴きなせい! Uploaded Nov.9 '97 |