![]() NYPB/ポンタ・ボックス/2001年8月22日発売 ビクターエンタテイメント VICJ-60805/¥2,900(税抜) 3views website http://www.jvcmusic.co.jp/3views/ Produced,Arranged & Computer Programmed by Yoichi Murata Recorded & Mixed at Avatar Studios,NY
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通算4作目、スタジオ録音としては3作目の"The One"から、つづく"The Modern Juzz","The New Frontier"と第2期PONTA BOXをしょってきたバカボン鈴木(b)の衝撃の脱退から約半年、ついに第3期、2人となったPONTA BOXの待ちに待った新作だ。 も一つ、これまでと違うのは、プロデューサーと録音場所。プロデューサー/アレンジャーは、出ました、今や飛ぶ鳥を落としちゃう村田陽一だ。録音場所は、そう、私があこがれ続ける最高の街、ニューヨーク。しかもアヴァタースタジオ(旧パワーステーション)。 この話を聞いたとき、頭の中は、いわゆる"スタッフ"だとか、"24丁目バンド"だとか、はたまた"ビリー・ジョエル"だとかのニューヨークサウンドが駆けめぐったね。 考えてみれば、我らがポンタ師匠は20代にしてロングアイランドに邸宅を購入、ヒノテルとお隣さん、ゴードン・エドワーズとかアンソニー・ジャクソンだとかマイケル・ブレッカーと遊んでたってわけだから、バンドマンとしての出生の頃に、典型的な(今や古いかもしれないが)ニューヨークサウンドってのが身に染みついているんだよね。ドラミングもちょっと"ガッド"入ってたしね。 今までのPONTA BOXのサウンドとかアレンジってのは、良くも悪くも(いや、決して悪くはない)「ドラマー」がリーダーだ!って感じのミックスバランスだったし、ギミックが激しかったり、ドラムの音表現の可能性もかなり追求されていた。でも楽曲は、単にクロウト好みだったり、プレイヤー好みに偏ってるわけでなくって、きちんとポップだったし、それもあってゴールドディスク(SJ)もらったりしてたんだろうね。 で、実際聴いてみて、感じたこと。ポンタ師匠は決して引いているというわけではないが、アレンジはバランス重視で、聴きやすいスムーズサウンドで、クォリティが高く、新レーベルの他のアルバムとも雰囲気が似てなくもなく、これが"3viewsサウンド"なのかなあ、という感じ。 作曲は、全15曲中、ポンタさんは3曲(村田さんと共作2曲、うち1曲は6作品の組曲、それと佐山さんとの共作)、佐山さんが共作含め3曲、村田さんが共作含め6曲と、当然村田カラーが強いわけだ。演奏でもトロンボーンはいいとして、M3,9,10,12,13,14でシンセサイザーを弾いているんだね。で、相対的に、だけど、佐山さんのコンポーザー/アレンジャーとしての役割が「低下」してるんだ。 それで、実は佐山さんのロック的ビート感(ジャズピアニストながら)とリリカルながらも野太いメロディが持ち味だったこれまでのPONTA BOXサウンドが陰を潜め、ホーンセクションやギターやビブラホーンも動員され、都会的に洗練されたスムージィなPONTA BOXになった。前半、村田さんの書いたM01~04やM12あたりがそんな感じ。 多分、そこが今までのPONTA BOXのアルバムと決定的に違うところだ。この違いは、実は、大きいと思う。 佐山さんは、スタインウェイにしがみつき、叩きつけ、トリオにおける鍵盤楽器の役割を追求し、ビート楽器としてもベースを介さずドラムスと丁々発止渡り合えることを示した点で、画期的!と思っていた私。その、未だかつて日本人のピアノトリオが「行かなかった(と思う)」到達点の音世界。その、今までに築いたPONTA BOXらしさはM6の"Gone,With Just Like Sharaku"、M8の"Five Steps To Seven"あたりにかいま見えるくらいだ。 もう一つの違い。いや、違いばかり挙げて申し訳ないが、ベーシストだ。リズム&ドラムマガジンのインタビューでもポンタ師匠は言っていたが、「まさにベーシストらしいベーシスト」だ。基本となるグルーブをきっちり押さえている。だからこそ、ドラムスの「遊び」が生きているのだが。いわゆるベースとドラムスのインタープレイは、あまり、ない。 色々聴いてみて考えたのは、「ライブはどうなるんだろう」。非常にうれしいことに札幌も含め全国11箇所12公演に及ぶ"NYPB"TOUR2001が予定されている。 これ、初の快挙!ゲスト、というか主要なメンバーとして村田さんは欠かせないんじゃないだろうか。もしも、今回のアルバムの曲をシンプルなピアノトリオで演奏するなら、それはそれでどんなアレンジになるか、非常に興味あるところだが、場合によってシンセやホーンセクションも加わったりして。 そう。PONTA BOXはライブが持ち味だ。そう、今までのCDもスタジオライブに近い音づくりだった。どんな音を聴かせてくれるのか、そして、どんなメンバーで来るのか、楽しみに待つことにしよう。 01.08.22 written by akiller
番外:今回も!Jacketが楽しめます。まずは縦型の変わったデザイン。NYPBはNew York Police Departmentつまり、ニューヨーク市警をもじった洒落なのだが、「絵」でも洒落は徹底している。ジャケの裏を見てご覧。 ポリス・カーはもちろんの事、庁舎のエンブレムも見のがしてはいけません。そそそして、CDをはずすと、そこに3m移動するのに20分かかったという、痛々しい師匠の姿が。 今日日、ジャケで30分楽しめるジャズアルバム、ありません。それだけでも買う値打ちあり! |