round_the_roomさんの 「スティングの歌ったスタンダード曲」
@<Round Midnight> 『アンディー・サマーズ/グリーン・チムニーズ』(99年)収録 |
オリジナル いわずとしれたセロニアス・モンクの代表作で、初録音は44年のクーティー・ウィリアムス楽団(ピアノはバド・パウエル)です。モンク名義の初録音は47年11月で『ジーニアス・オブ・モダン・ミュージックVol.1』で聴く事ができます。 決定的名演はソロ・ピアノ集『セロニアス・ヒムセルフ』(57年)に収録されているテイクです。このアルバムは数有るモンクの名作の中でも最高峰に位置するものですが、初めて聴いた時は「何て下手糞なピアノなんだろう。と思いました。(笑) しかし、聴きこめばモンクの不思議なハーモニー、タイム感にはまってしまいます。 若かりし頃のスティングが「薬を飲むと思って聴いた。」と発言したのがこのアルバムなのです。 |
その他の名演 ディジー・ガレスピーやリー・モーガンなど名演は非常に多く総てをピックアップするのは不可能です。昨年だけでも、チック・コリア、キース・ジャレット等が歴史的名演を録音しています。 しかし、決定的名演といえば『マイルス・デイビス/ラウンド・アバウト・ミッドナイト』に収録されたテイクでしょう。マイルスのミュート・トランペットは言うに及ばず、コルトレーンも素晴らしいプレイを聴かせてくれます。また、興味深いのはノー・クレジットながらアレンジャーがギル・エバンスだという事実です。スティング版はこのアレンジが原型となっていると思います。 |
A<STRENG FRUIT(奇妙な果実)> 収録アルバム
『ロック・フォー・アムネスティー』
Conspiracy Of Hope(Rock For Amnesty)830 588-2(86年) |
オリジナル 『ビリー・ホリデー/奇妙な果実』(39年,44年)MVCJ-19214 不世出の大歌手ビリー・ホリデーの代表作です。 当時、コロムビアがレコーディングを渋ったこの曲を、彼女の理解者のひとりミルト・ゲイブラー氏が自らのコモドア・レーベルで引き受けたことからこの歴史的名盤がうまれました。 |
その他の名演 『カサンドラ・ウイルソン/ニュー・ムーン・ドーター』(96年)TOCJ-5996 昨年スイング・ジャーナル誌で“21世紀残したいJAZZ”という特集企画が行われていましたが、ボーカル部門の1位はビリー・ホリデーとカサンドラ・ウイルソンの同アルバムでした。女王の座をビリーから譲り受けたかのように、めったに歌われる事が無かったこの曲をビリー以来約半世紀の時をへだてて録音しました。 カサンドラの声を初めて聴いた時は衝撃的でした。(決して誇張ではありません。)女性にこんな声が出せるのだろうか? 彼女の作品はすべて、傑作なので是非聴いてください。 |
B<The Ballad Of Mac The Knife> クルト・ワイルとベルトルート・ブレヒトが28年にベルリンで初演した『三文オペラ』からのナンバーで原題は「モリタート」(罪状記)です。 |
オリジナル 28年の初演の音源は聴いた事はありません。また現存するのかどうかもわかりません。 54年にアメリカで再演され、新しい英詩がつけられました。 |
その他の名演 この曲も多くの名演が存在しますが、その中でも代表的な2作品を紹介します。 『エラ・フィッツジェラルド/“マック・ザ・ナイフ”エラ・イン・ベルリン』(60年)POCJ-2491 エラが<マック・ザ・ナイフ>を歌ったのはこの日が始めてです。ドイツでのコンサートだったので、サービスからこの曲を選んだのですが予想以上の大変な受け様に彼女自身も乗りまくりっています。 サッチモ風(物真似)まで飛び出し思わずニンマリしてしまいます。この日以来彼女の十八番となりました。 『ソニー・ロリンズ/サキソフォン・コロッサス』(56年)vicj-60261 ここでは、<マック・ザ・ナイフ>ではなく原題の<モリタート>とクレジットされてます。 テーマは原メロに忠実で明るく軽快な演奏です。アドリブは随所に原メロのフェイクを折り込みながら自由奔放で、長いフレーズに野太い音色、豪快なブロウとロリンズ最高のプレイです。 私はこのアルバムを買って(聴いて)後悔した人に今だかつて出会った事がありません。(笑) |
C<You Don't Know What Love Is> 収録アルバム 『ガイ・バーカー
ウイズ
ストリングス/ホワット・ラブ・イズ』(98年)POCJ-436 |
オリジナル Don Raye/Gene DePaulによる屈指のバラード・・っとしかわかりません。(笑) というのも、この曲が収録された私が所持するジャズアルバムのライナーにはコレだけしか書かれてないのです。 尚、41年の作品だそうです。 |
その他の名演 『ジョン・コルトレーン/バラード』(62年)MVCZ-10080 哲学的でウネウネとした不安定な雰囲気のフレーズが特徴のテナーの神様コルトレーンがマウスピースのトラブルから偶然生まれた甘い傑作バラード集です。強力なリズム隊(エルビン・ジョーンズ)を従えているにも拘わらず、空間を利用したアレンジはポリスに通じものを感じます。(笑) 日本で、一番人気のあるコルトレーンの作品です。 『マイルス・デイビス/ウォーキン』(54年)VICJ-60264 タイトル曲の<ウォーキン>が名演中の名演として知られていますが、ワン・ホーンで演奏される<ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ>も勝るとも劣らない名演です。まさに、リリカルの極致です。 『ソニー・ロリンズ/サキソフォン・コロッサス』(56年)vicj-60261 このアルバムは2度目の登場です。(笑)ロリンズの演奏の特徴はコルトレーンとは対照的でダイナミックでメリハリの利いたフレーズです。 『ティル・ブレナー/チャッティン・ウイズ・チェット』(00年)POCJ-1479 これからのジャズ界をリードするはずのドイツ人トランペッターの2作目です。 ここでは、チェット・ベーカーの名唱をサンプリングに使うというジャズとしては非常にユニークなアイデアとアレンジです。 |
D<MY ONE AND ONLY LOVE> 収録アルバム 『リービング・ラスベガス/オリジナル・サウンドトラック』(96年)POCM-1173 このサントラではスティングはスタンダード曲を3曲歌ってます。残りの2曲(ANGEL EYES、IT'S A LONESOME OLD TOWN)は後程紹介させていただきます。96年の録音ということで、てっきりピアノはケニー・カクランドだと思っていたのですがこのサントラのすべてのピアノはデイブ・ハートレイのようです。 この曲は数あるスティングの歌ったスタンダード曲の中で一番好きな曲です。 |
オリジナル Wood/Mellinよる51年の作品です。 やはり、オリジナルは未聴です。 |
その他の名演 『アート・テイタム〜ベン・ウエブスター・クァルテット+3』(56年)VICJ-2080 左目は盲目、右目はひどい弱視というハンディにも拘わらずロシアの大ピアニスト、ヴラジミール・ホロヴィッツをして「彼のように弾きたい」と言わしめた天才ピアニストです。 彼の他のソロ作品は私にはあまりにもテクニック至上主義すぎて、あまり馴染めませんでしたがこの作品はテナー・サックスの巨匠ベン・ウエブスターと共演し非常にくつろいだ演奏を聴かせてくれます。(とはいえ、テクニックは本当に凄い!!) 糖尿病による尿毒症で亡くなる二ヶ月前の録音です。 『オスカー・ピーターソン/プリーズ・リクエスト』(64年)V/V6-8606 テイタムを敬愛し、テイタムのテクニックにテンタテナーの要素を加えたのカナダの巨人オスカー・ピーターソンです。ピーターソンのテクニックは完璧で珠を転がしたような粒立ちに部類のスウイング感は比類なきものです。 このアルバムにおける同曲は<サムワン・トウ・ウォッチ・オーヴァー・ミー>を引用句として用い、優雅で甘美な演奏を聴かせてくれます。 また非常に録音も良く、アナログ時代はオーディオのチューニング用に使用されたそうです。 |
E<SOMEONE TO WATCH OVER ME> 収録アルバム 『スティング・アット・ザ・ムーヴィーズ』(97年)POCM-1553 その他にCDS『魂のパイロット』等多数に収録されています。 初出は88年米・日盤マキシ『Englishman In New York』です。 |
オリジナル 26年のミュージカル『オー、ケイ!』で初めて紹介され、その後49年に映画『恋の乱戦』(レーガン元大統領主演)でも使われました。 もちろんスティング版は『誰かに見られている』(87年)の主題歌です。 ※ガーシュウィンについて@ ジョージ・ガーシュウィン(1898-37)はアメリカが世界に誇る偉大な作曲家です。兄アイラ(作詞)とのコンビでジャズ、ブロードウエイミュージカルそしてハリウッドのシネマ・ミュージカルに名曲の数々を書きました。それらの楽曲は多くの(殆どの)音楽家に多大な影響を与え、現在も色褪せる事無くスタンダードとして演奏されています。 |
その他の名演 『キース・ジャレット/メロディ・アット・ナイト、ウィズ・ユー』(99年)POCJ1464 慢性疲労症候群という病の為、演奏活動から遠ざかっていたキースが復帰第一弾として録音したのが久々のソロピアノ集となる本作品です。キースのソロ・ピアノといえば、無から始まる奇跡の即興演奏ですが、妻に捧げたというこの作品では一つ一つの音を噛み締めるようにメロディーの美しさだけ大切にして弾いているように感じました。 じっくり聴き込むにも、癒し系BGMとしても最適な一枚です。 |
F<IT AIN'T NECESSARILY SO?> 収録アルバム 『ジョー・ヘンダーソン/ポーギー&ベス』(97年)POCJ-1385 コルトレーンを追撃する最右翼と評されていたヘンダーソンですが、70年代(フュージョン全盛)はやや低迷していましたが、80年代半ば(伝統継承派の台頭)から再び注目を集めるようになりました。 私的には特にバーブと契約を結んだ最近の作品が充実しているように思います。 この作品は企画の面白さでも定評のあるヘンダーソンの力作です。(全盛期に迫る名盤と評判でした。) |
オリジナル 登場人物がすべて黒人といガーシューインの傑作フォーク・オペラ『ポーギー&ベス』(35年)の第2幕で遊び人スポーティング・ライフがピクニックで信仰深い人々を冷やかして歌う有名曲です。初演者はジョン・バブルルスです。映画『ポギー&ベス』(59年)ではサミー・デイヴィス・Jrがスポーティン・ライフを演じています。 ※ガーシューインについてA ガーシューインの最大のヒット作が前出の『ポーギー&ベス』で、アメリカの最も優れたオペラとまでいわれてます。 ここからのヒット曲は<イット・ネセサリー・ソー>の他に<マイ・マンズ・ゴーン・ナウ>や<アイ・ラブ・ユー,ポーギー>等がありますが最大のヒット曲はなんといっても誰もが一度は耳にしたことがある<サマータイム>でしょう。 |
その他の名演 『マイルス・デイヴィス/ポーギー&ベス』(58年)SRCS9107 スティングは大好きなアルバムとして、マイルスの作品の中から『カインド・オブ・ブルー』、『ビッチェズ・ブリュー』と共にこの作品を挙げています。この作品はギル・エバンスとのコラボレーションの第2段です。既にモード化が押し進められブルージーな要素が希薄となり、都会的で洗練された演奏となってます。ガーシューインの作品を取り上げているアーチストは枚挙のいとまがありませんが、間違い無くその頂点に君臨する作品です。 尚、この作品における<IT AIN'T NECESSARILY SO?>の邦題は<ご自由に>です。 『ハービー・ハンコック/ガーシュウィン・ワールド』(98年)POCJ-1421 ガーシュイーイン生誕100周年を記念し、スティービー・ワンダー、ジョニ・ミッチェル、チック・コリア、ウェイン・ショーター等豪華メンバーでレコーディングしたハンコックの快心作です。3管フロントを擁した8人編成と5人に縮小されたインタールド的バージョンの2テイクが収録されています。 |
G<NICE WORK IF YOU CAN GET ITうまくやれたら> 収録アルバム 『ザ・グローリ・オブ・ガーシュイン』(94年)PHCR-1265 ガーシューイン作品集ですが、ジャズ・アルバムではありません。あのジョージ・マーチンがガーシューインの友人ラリー・アドラー(hca)の80歳記念作品として、エルトン・ジョン、ピーター・ガブリエル、エルヴィス・コステロ、ジョン・ボン・ジョヴィ等のPOP&ROCK界のスーパー・スター達によるトリヴュート作品です。 この企画を聞き付け真っ先に参加を表明したのはスティングだったそうです。(笑) 尚、邦盤のライナーノートにはその他の名演リストが載っています。 |
オリジナル フレッド・アステア主演の映画『A DAMSEL IN DISTRESS(踊る騎士)』(37年)の挿入歌です。 ※ガーシューインについてB |
その他の名演 『バド・パウエル/バド・パウエルの芸術』(47年,53年)TOCJ-5954 セロニアス・モンクと共にビパップ・ピアノの基礎を築いたバド・パウエルの最高傑作です。本作品は47年の8曲と53年の8曲、計16曲の演奏を収録していますが、特に<NICE WORK IF YOU CAN GET IT>を含む47年の演奏は凄まじく“神がかり的”と評されあの天才アート・テイタムに勝るとも劣りませんでした。 モンクがそのあまりに強烈な個性の為、ワン・アンド・オンリー的な存在だったのに対しパウエルの影響は絶大でいわゆる“パウエル派”という多くのピアニストを輩出しました。 |
H<IN THE WEE SMALL HOURS(OF THE MORNING> 収録アルバム 『クリス・ボッティ/スローイング・ダウン・ザ・ワールド』(99年)POCJ-1470 ブラン・ニュー・デイ・ツアーでも素晴らしいトランペットを聴かせてれたクリス・ボッティのリーダー作です。ジャズにおいてトランペッターはフロント・マンとして抜群の存在感をしめす花形楽器なのですが、クリスはどちらかというとサイド・マンとして魅力を発揮するタイプのように思います。 私の本アルバムの印象は耳障りの良い“スムーズ・ジャズ”というのが正直なところです。(あくまで、私感です。)しかし、やはりスティングの参加した<イン・ザ・ウィースモール・アワーズ>だけは白眉です。 |
オリジナル 『フランク・シナトラ/イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ』(55年)TOCP-8135 ボブ・ヒリヤード(作詞)とデビット・マン(作曲)がフランク・シナトラの為に書き下ろした曲です。この曲はシナトラの十八番でライブでは必ずこの歌を歌いました。本アルバムはシナトラの代表作だけにとどまらずジャズ・バラードの最高傑作とまで言われています。 |
その他の名演 『ザ・トリオ/オスカー・ピーターソン・トリオの真髄』(61年)POCJ-2464 オスカー・ピーターソン(p)、レイ・ブラウン(b)、エド・シグペン(ds)の黄金トリオによるシカゴ“ロンドン・ハウス”でのライブ録音です。このクラブは聴衆の質も良く、ピーターソンも大のお気に入りで数多くの録音が残されていますが、この作品はその中でも最高の一枚です。 ピーターソンはダイナミックでスインギーなプレイが特徴ですが、<ウィー・スモール・アワーズ>では甘くロマンチックな演奏を聴かせてくれています。 |
I<HOW INSENSITIVE(INSENSATEZ)> 普段POPミュージシャンには手厳しいJAZZファン&評論家やボサノバファン&評論家(?)もスティングの歌の上手さには舌を巻いていました。 ふん!そんなこと、我々ポリスファンはとっくの昔に知ってたことじゃぁーー!(笑) 収録アルバム 『アントニオ・カルロス・ジョビン/アントニオ・ブラジレイロ』(95年)ESCA6168 ボサノバの父ジョビンの遺作となった作品です。ボサノバは50年代ブラジルでサンバのリズム、ショーロ(歌曲)のサウダージ等の民族音楽にアメリカのウエスト・コースト・ジャズの要素がブレンドされて出来あがった音楽です。60年代に世界中を席捲しエスニック・ミュージックの代表となりました。そしてもちろんボサノバ・ムーブメントの中心人物がジョビンだったのです。 このラスト・アルバムではスティングの他に最近ボサノバ・アルバムを発表しているロン・カーターも参加しています。 |
オリジナル 『アントニオ・カルロス・ジョビン/イパネマの娘』(64年)POCJ-9209 もしかしたら<HOW INSENSITIVE>は別の形でこれ以前に発表されているかもしれませんが、ジョビン本人のボサノバ作品としてはデビュー作となるこのアルバムのテイクが初出だと思います。このアルバムには他に<イパネマの娘><ワン・ノート・サンバ><コルコバード><デサフィナード>等、後に有名スタンダード化する名曲が数多く収録されているボサノバを知る為の必須アイテムといえるでしょう。 |
その他の名演 『エディ・ヒギンズ/アゲイン』(98年)TKCV-35104 50年代から活躍した白人ピアニストですが、70年代は消息を断っていました。しかし80年代からはその実力が開花し、特にビーナスレコード(Venus)と契約した90年代後半は素晴らしいピアノ・トリオ・アルバムを立て続けに発表しています。本アルバムと前作の『魅せられ心』は私も愛聴盤でした。彼もボサノバ好きのようで、98年の『愛の語らい〜ジョビン作品集』ではかなりマニアックな選曲のジョビン集を発表しています。 ※『魅せられし心』(97年)TKCV-35101には<Someone To Watch Over Me>が収録されてます。 『ハリー・アレン/ワンス・アポン・ア・サマー・タイム 』(99)BVCJ-31012 ボサノバ・ジャズといえばスタン・ゲッツですが、現在は何といってもハリー・アレンではないでしょうか。スタン・ゲッツの流れを汲む正当派テナー奏者として期待されているハリーの本作はブラジリアン・ギタリストの第一人者ドリ・カイミやジョー・コーン(g)、ラリー・コールディングス(p)らの息の合ったプレイを展開するボサノバ集です。 |
J<ANGEL EYES> アイダ・ルピノとハワード・ダフが主演した53年の映画『ジェニファー』(日本未公開)のなかのナンバーです。 |
オリジナル 『プレイズ・アンド・シングス/マット・デニス』(54年)MVCM-271 マットは有名な作曲家であると同時に弾き語り(p)の名手でもありました。本作はマット自身の弾き語りヴァージョンが収録された代表作です。マットのボーカルは声量こそありませんが、洒落たセンスと独特のフレージングにユーモアを織り交ぜ小さなクラブのカクテル・ライトがとても良く似合います。 |
その他の名演 『哀愁のリベルタンゴ/ヨーロピアン・ジャズ・トリオ』(99年)MYCJ-30029 ベテランのアルト奏者チャーリー・マリアーノをゲストに迎えたEJTの名作です。<エンドレス・ラブ><タイタニック愛のテーマ><ボディ・ガードのテーマ>等のヒット曲、有名曲のジャズ化に成功しています。一聴しただけではBGM風にもライト・ジャズ風にも感じますが、その演奏技術は非常に高く聴きこめば聴きこむほど奥行きの深さを感じる上質のジャズに仕上がってます。特にマリアーノのアルトをフューチャした<エンジェル・アイズ>は本作のハイライトでしょう。 『ガイ・バーカー ウイズ ストリングス/ホワット・ラブ・イズ』(98年)POCJ-436 シリーズCで紹介しました本作のラストにも収録されてます。 その他にも『オンリー・ザ・ロンリー/フランク・シナトラ』『エンジェル・アイズ/デイブ・ブルーベック』『オール・ザ・ウエイ/ジミー・スコット』『フォンテッサ/モダン・ジャズ・カルテット』・・等多数の名演名盤が存在します。 |
K<STOLEN MOMENTS> 収録アルバム |
オリジナル 『オリバー・ネルソン/ブルースの真実』(61年)MVCJ 19039 ジャズ・マンによるオリジナル曲がスタンダード化した代表例であり、サックス奏者オリバー・ネルソンの代表作でもあります。 アルバムタイトルの通りブルースのジャズ的解釈ですが同曲は16小節区切りという“ひねり”が加えられています。 そして、何よりエリック・ドルフィー(as,fl)、フレディーハバード(tp)、ビル・エバンス(p)、ポールチェンバース(b)らジャズ・ジャイアンツ達が一同に介した豪華さと彼らのアンサンブル、ソロ全てが素晴らしい傑作アルバムです。 |
その他の名演 『ワン・フォー・オール/情事の終わりに』(01年)TKCV-3509 現在のジャズ・メッセンジャーズといわれる彼らは滅多に他人のアレンジメントを使った演奏をする事はないそうです。しかし、オリバー・ネルソンのSTOLEN MOMENTSが持つ独特の雰囲気は何か新しい息吹を与えられるのではないだろうか?と考え録音したそうです。尚、スタジオではプロデューサーよりワン・テイクでOKがでたそうです。 追記 未聴ですが『スタンリー・ジョーダン/STOLEN MOMENTS』(91年)もなかなかの名演だそうです。 スタンリー・ジョーダンは両手を使ったタッピングで有名なギタリストで1stアルバムの『Magic Touch』(85年)CP32-5052がジャズとしては異例の大ヒットを記録しました。スティング関連で言うと『Magic Touch』にオマー・ハキムが『Cornucopia』にケニー・カークランドが参加しています。私は彼の来日公演のチケット(8列目)を取っていたのですが諸事情で行く事が出来なかったのが今でも口惜しく思っています。 |