『あやつり人形』
1、ねがい
ぼくはただのあやつり人形
糸がないと動けない
とても 悲しい
とても つらい
いつか 人間に
なりたい
糸がなくても 自由に動ける
人間になりたい
2、けつだん
ぼくは決めた
旅にでることを
もう二度と帰ってこないことを
さようなら ご主人様
こんどはぼくが
ご主人になるんだ
そんな夢を描いて
ぼくは旅にでる
たった一人で
3、苦労
でもぼくは 動けない
どうしても 動けない
やっぱりどうしても
ぼくには ムリなのか
せっかく 決めたのに
ピクリとも動かない
そう考えたら
かおが 熱くなってきた
すごく 熱くなってきた
4、涙
おかしいなぁ
ぼくは 人形なのに
涙がでてくる
どうして?
でも 涙の数だけ
強くなれた気がするよ
だから がんばるんだ
一人だけど
5、糸
たとえば ぼくについてるこの糸を
切ってみたら どうなるだろう
でも ぼくにはこの糸をきることさえできない
でも この糸はぼくの
大切な 友だちだ
だから もう ぼくは
一人じゃないよ
6、スタート
とうとう ぼくの手足が動いた
やっと ぼくの手足が動いた
これでぼくは やっと
旅に出れる
二人っきりの大切なたび
君とぼくとの大切な
スタート
7、よろこび
人間には感情がある
ぼくも それは知っているよ
だけど ぼくは自分に感情があるだなんて
ぜんぜん 知らなかった
でもこれで ぼくも人間になれるんだ
とっても うれしいよ
だって
ぼくにも感情があったから
8、本当の人間
ひょっとしてぼくは
人間だったかも知れない
ひょっとして人間は
感情をもつだけの
かなしい
あやつり人形なのかも知れない
そうだ だからぼくは
旅に出たんだ
本当の人間になるために
やっとぼくは
心の糸を けつだんと言う
心のハサミできることができた
そう それが
本当の人間だ