ダイアトニック・コード(メジャー調)
調と共に、コードを採る際に非常に役に立つものがもう一つあります。
それが『ダイアトニック・コード』と呼ばれるものです。
これも「聞いた事はあるけど意味はよく知らない」と言う人が多いのではないでしょうか。
本項ではこの『ダイアトニック・コード』について、詳しく説明していきます。
さて、『ダイアトニック・コード』ですが、簡単に言ってしまうと『とある調で主に使われる7つのコード』の事を指します。
大半の曲において、使用されるコードの多くは、この『ダイアトニック・コード』になっています。
そのため、『調』と『ダイアトニック・コード』を把握する事が、コードを採る際に大きな助けになると言うわけです。
では、例を挙げてみましょう。
『C調で用いられるダイアトニック・コード→C、Dm、Em、F、G、Am、Bm-5』
これだけでは、何故これらのコードが使われるかわかりませんね。
まず、C調からわかる事を抜き出してみましょう。
C調と言うことは、Cメジャースケールが使われているんでしたね。
Cメジャースケールを書き表すと、ドレミファソラシド=CDEFGABC、です。
ここで気がついた人もいるかも知れませんが、7つのダイアトニック・コードの大文字部分と、スケールを構成する音を表す文字が一致してますよね?
コードの大文字部分、これを『根音』と呼びます。
つまりダイアトニック・コードとは、『スケールを構成する7つの音を根音とする7つのコード』という性質を持っているわけです。
これがまずダイアトニック・コードの探し方の基本になります。
しかしこれでわかるのはあくまで『ダイアトニック・コードの根音部分』のみですね。
先ほどの例を見ると、所々にマイナーコードを表す『m』や、『-5』と言った記号がついていたりします。
何故マイナーコードを使用したり、『-5』とつけなければならないのでしょうか?
これも実は、スケールが大きく関係しているんです。
例に挙げたダイアトニック・コードの構成音を全て書き出すと、以下のようになります。
C調のダイアトニック・コード |
コード名 |
構成音 |
C |
ド |
ミ |
ソ |
Dm |
レ |
ファ |
ラ |
Em |
ミ |
ソ |
シ |
F |
ファ |
ラ |
ド |
G |
ソ |
シ |
レ |
Am |
ラ |
ド |
ミ |
Bm-5 |
シ |
レ |
ファ |
何か気がつくことはありませんか?
実は7つのダイアトニック・コードの構成音は、全てスケールの構成音と一致しているんです。
例えば『Dm』がもしも『D』だったらどうなるでしょうか?
『D』の構成音は『レ、ファ#、ラ』なので、Cメジャースケールの構成音には存在しない『ファ#』を使うことになってしまいますよね。
そのため、Cメジャースケールの構成音に合わせて、『Dm』を使っているというわけなんです。
このように、ダイアトニック・コードとは、『各コードの構成音が、スケールの構成音と一致する』という性質も持っています。
さて、ダイアトニック・コードには2つの性質があることがわかりました。
『スケールを構成する7つの音を根音とする7つのコード』であることと、『各コードの構成音が、スケールの構成音と一致する』ことですね。
この2つを合わせて考えれば、どのような調であってもダイアトニック・コードを見つけられます。
ただ全てのコードの構成音を把握するのは大変ですし、いちいち探すのは面倒ですよね。
ですが、そんな手間を省くための方法が、実はちゃんと存在してるんです。
D調の時のダイアトニック・コードを考えてみましょう。
D調と言うことは、Dメジャースケールが使われているんでしたね。
Dメジャースケールを書き表すと、レミファ#ソラシド#レ=DEF#GABC#D、になります。
所々に#がついて難しくなりますが、落ち着いて調べればきっと大丈夫。
ダイアトニック・コードの2つの性質から考えると、以下のようになります。
D調のダイアトニック・コード |
コード名 |
構成音 |
D |
レ |
ファ# |
ラ |
Em |
ミ |
ソ |
シ |
F#m |
ファ# |
ラ |
ド# |
G |
ソ |
シ |
レ |
A |
ラ |
ド# |
ミ |
Bm |
シ |
レ |
ファ# |
C#m-5 |
ド# |
ミ |
ソ |
さて、この表と先ほどのCメジャースケールの表とを見比べると、とある法則がある事に気がついたでしょうか?
この法則に気がつければ、ダイアトニック・コードを簡単に探せるようになるまで後一歩。
よーく探してみましょう。
早くも正解を書きます、あまり引き伸ばしても仕方ないですので。
自分で見つけたい! という方はなるべく頑張って下さい、その方が身に付きますから。
実は『C調のダイアトニック・コードとその構成音』から『D調のダイアトニック・コードとその構成音』を見ると、全ての音が『1全音上の音』なんです。
スケールの始まりの音はC→Dで1全音上ですし、それぞれのコードの根音から、構成音の一つ一つに至るまで、漏れなく全てがです。
何故こうなるのかは、スケールをしっかり理解していればそう難しくはありません。
スケールというものは、音と音の間隔が重要だと前章で説明しました。
メジャースケールであれば、始まりの音から『全全半全全全半』になるんでしたね。
と言うことは、始まりの音が1全音上がれば……そう、当然スケールの他の構成音も、1全音ずつ上がるわけです。
もしも1全音上がらなかったりすると、『全全半全全全半』が崩れてしまい、メジャースケールとは言えなくなってしまいます。
スケールの構成音が全て1全音上がれば、ダイアトニック・コードの構成音も全て1全音ずつ上がるのはわかりますよね?
つまり、スケールの構成音が『ある一定の音と音の間隔』を持つと言うことは、同時に『ダイアトニック・コードとその構成音も、ある一定の音と音の間隔を持っている』、と言うことなんです。
この『ダイアトニック・コードの持つ、ある一定の音と音の間隔』を覚えてしまえば、ダイアトニック・コードを簡単に出す事ができます。
少々遠回りになりましたが、ダイアトニック・コードを簡単に出す方法は、以下のようになります。
αメジャースケールの構成音を、順に『T、U、V、W、X、Y、Z』とする。
その場合、α調で用いられるダイアトニック・コードは『T、Um、Vm、W、X、Ym、Zm-5』になる。
これはメジャー調であれば、どの調にでも適用できます。
試しに例に挙げたC調とD調に照らし合わせてみて下さい、ぴたっと一致するはずです。
ローマ数字を使う理由はよくわかりませんが、恐らく数字だと他の表現と混同する可能性があるから、と言ったところだと思います。
慣れない内はW=4とY=6を間違えたりするかも知れませんが、頑張って覚えましょう。
1.2.3.ダイアトニック・コード(マイナー調)