UK ROCK/POPレビュー

(S=激YAVA!、A=素晴らしい B=中々良い C=普通 D=イマイチ E=駄作)


live in Japan/Primal Scream
あらためてこうライブ盤を聴くと、彼らのアルバムは総て違うとか 言われてるけど根底に流れてるものって全くかわってなかったん じゃないか、と。ダンサブルな、ロケンロール。そこまでなら まぁ良いアルバム作ってるよね、で終るバンドなんでしょうけど、 だったらライブ盤でここまでビンビンこないわけ。とどのつまりは マニのベースは神懸ってる。グルーヴィっていう意味不明な言葉が ビチっと当てはまる、グルーヴィなプレイ。彼が中心になって楽曲を ひっぱってる様が、ライブ音源でも手に取るようにわかる。 とにかくスゲーんだ。(A)




hits/Pulp
2000年に会おうよ、などという台詞が一切聞けなくなった2003年に寂しく 発売されたPULPのベスト。今きいてみても彼らの下世話で キャッチーな曲が作品として高品質だったのが良くわかる。 Disco2000やcommon peopleのような名曲だけでなく、どれも秀逸で 今きいても全く色褪せる事がない。低音ボイスがセクシーで高音で ヘロヘロになるジャービスのカリスマっぷりは 初期から現在にいたるまでその魅力を発揮しつづけていたんだなぁと 再確認できました。ニューウェーブの新人も 良いけど、こういうバンドのCDも聞いて欲しいものです。(A)




1977/ash
ファーストアルバムが一番良いっていう音楽マニアは沢山いるし、 何ツウぶってんだよ新しい方がクオリティ高いじゃねーか、って思うし 実際そうなんだけど、結局自分も大好きなバンドはどれもファーストが 一番だったりする。Ashなんか特にそうで、もうどれだけこのファーストを 聞いた事か。胸キュンなのにノイジー、 ポップなのにハードコア、十代なのに老け顔(笑)。初期衝動に溢れ ハートを鷲掴みにする名曲の数々が次から次へと繰り出される、まさに 奇蹟としかいいようがないこのファーストアルバム、間違いなく僕は 墓場まで持って行く。(S)




the invisible band/travis
いまやUKロックの顔、Travisのサードアルバム。 シンプルな弾き語りをドラム、ギター、ベースが 彩ります。とにかくこの全体の音像が素晴らしすぎます。 バンドとして出している一つ一つの音は非常に シンプルなのに、伝わってくる音は透明感にあふれて奥行きを感じさせる。 しかも、小さな息遣いがスッと体に解け込んでくるような身近さ という音像が見事に作られてます。ほんと凄いよ、 プロデューサー。などと全然バンドを褒めないでレビューを 書いてみる試み。だってフランの歌と声が素晴らしいのは、言うまでも ないことだから。(S)




Trailer/Ash
今やお子様バンドの肩書きも不用になったASHのシングルやB面をあつめた ファースト音源。当時僕は『Angel Intercepter』をラジオで聞いて速攻で 買いにいったんだけど、間違ってこっちを買ってしまった。 ダーティでポップに疾走するインディー色強いパンクだなぁって印象 しかなかったんだけど、今聞くと既にがっちり完成されているなあ。 この後に出るメジャーファーストに比べるとキャッチーさがないけど、 彼らのヘビィな面と繊細な面が良く出てます。これに至福のメロディが 加わってASHは一気にスター街道をかけ抜けることになりました。 (B)




asleep in the back/elbow
おお、ピンクフロイドだ。プログレだ。 淡々と刻まれるドラムと間の多い印象的なベースフレーズの1曲目から ずいぶん渋い趣味の新人だなぁ、と感じさせる。 2番も、美しいメロディーが 全面に押し出された感動的に盛りあがる名曲なんだけど、 イントロからずっとポリリズムなんだよね。いやあ実にテクニカルだ。 ピアノやアナログシンセなど、様々な浮遊する音で壮大に描かれる 世界観、というと褒めすぎかね。6は本当名曲だと思いますよ。 新人でコレかよ、って驚きまくりだけど渋すぎて最近の若者には 辛いかも。(B)




hillside album/Arnold
98年にデビューした時はそれなりに騒がれたクリエイション発の UKアコギロックバンド。Travisのセカンドよりもっと フォークソングしてる田舎サウンド。アコギやオルガンの音が とにかく重くて重くて閉塞感タップリです。ボーカルの声は 爽やかだし曲もマイナーコード連発してるわけでもないのに、 とにかく暗くて重苦しい。この重さどこかで、と思ったら ダイナソーだった。なので僕は彼らに最大級の賛辞の意をこめて、 アコギ版ダイナソーの名前を贈ります。(B)




st/Sophie Zelmani
スウェーデンの女の子によるボブディランのカバー集、なんて いってもいいくらいに70年代の田舎を全力で再現したファースト アルバム。アコギを主体に、シンプルなベースラインと 静かなドラム、ハーモニカ等の必要最小限で構成された曲が 彼女の歌声を最大限にひきたてます。オッサンが低い渋い声で 歌うものも、こんなロリ声の女の子が歌うと全く雰囲気が かわるってのは新しい発見。 違うジャンルのボーカルと演奏をぶつけるってのは、MeltBananaにしろ Envyにしろ、うまくいった時はとんでもないものが出来るわけですな。 (B)




war/U2
U2、1983年の出世作。全体を覆う張り詰めた冷たい空気の中で 淡々と刻まれるドラムとベース、チャカポコギターに痛切なボノの 叫びが響きます。このアルバムにこめられたメッセージを直に 読み取る事が出来なくても、音にこめられた感情はびしびし伝わって きますよ。悲痛なボノの叫びが。 ポップな曲もファンキーな曲も全て冷たい感触で進みながら、アルバムの 最後の名曲『40』で癒される。U2というバンドがいかに突出して いたのかが良くわかる名盤。(S)




under a blood red sky/U2
U2初期のライブ音源。CD以上によく延びるボノの声はこの頃が 一番良かったよな、青臭くて力強くて。アルバムでも最後に収録 されている『40』はこのアルバムでも最後なんだけど、丁寧に歌う ボノの声が最高で、演奏が終ってもずっと歌いつづけてる観衆の声も 収録されてて、めちゃめちゃ泣けます。初期U2の勢いがバッチリつまった 素敵なライブアルバム。Gloriaの中でドラム、ベース、ギターソロなんかも あったりします。ただ収録曲が微妙な8曲なんだよな。(A)




united/phoenix
古き良き80年代を極上のポップセンスで再現したらこんな音になる。 フランスからの新人、ファーストアルバムはジャケットでもわかるように 80年代の音満載。ヘビィメタル、ハードロックも含めた懐かしい80年代が ここにある。甘ったるいキャッチーなボーカルが歌えばパンクロックも ハードロックも美しいバラードも、全てがポップソングになるんだよね。 ヘアスプレーと派手な衣装だけが80年代じゃないんだよ。これ聞くと、 カートが葬った80年代の音楽はこんなにオシャレでクールなものなんだって わかります。『確信犯』ってのはこういうのを言うのだ。(B)




ten songs about you/ben and jason
ゲイのように仲の良いベン君とジェイソン君のアコースティックユニット。 切なくて泣けるTravis系の哀愁音楽を奏でてくれます。基本的に僕は アコギ、バイオリン、ダブルベースといった弦楽器やピアノ、ハモンド、 オルガンといった鍵盤楽器に弱いんです。実に多彩な楽器群から生み出される 美しい音に、とっても弱いんです。綺麗で甘いベン君の声もたまらんなあ。 曲の完成度もかなり高く、どれもお涙頂戴の涙腺緩ませまくりチューンで あっという間の10曲です。音はやっぱり地味だけど、泣きたい人は絶対 買おう。(A)




words gets round/stereophonics
素晴らしいボーカリストが熱唱する 『これこれ!これだよ!』というキャッチーでダイナミックなロックバンド。 新人を聞き漁って、結局どれもイマイチだなぁと思ってた矢先にポンと出てきた から、正直衝撃はでかかった。声質、歌い方、歌詞の詰め方、リズム感、そして 歌詞。このボーカルの小さな体から迸るカリスマ性はいったい何なのだ。 個人的にはファーストの延長上のセカンド、大きく躍進するサードよりも衝撃と 青春がつまっているという事も含めてこのファーストアルバムが 一番好き。Local Boy In Photographはまじ名曲。(A)






モドル