USロック/ポップレビュー

(S=激YAVA!、A=素晴らしい B=中々良い C=普通 D=イマイチ E=駄作)


L.D.50/mudvayne
テクニカルエモメタバンド、 mudvayneのメジャーファースト。ゴリゴリの凶暴性をプログレばりの 変拍子やポリリズムで自在にあやつりながら壮大な空間を自在に 駆け巡ります。TOOLとKORNとPANTERAとSLIPKNOTががっちり握手した 感じ。前半は比較的ストレートなナンバーが続くが、中盤以降の長くて プログレな曲にはただただ圧巻。そしてなによりこのメタリックな音の 中で埋れることなくフラットで上品な音を特異な双方で奏でる天才的な ベーシスト(しかもダースモール似)の存在こそがこのバンドの オリジナリティを高めている事は間違いない。(S)




wiseblood/corrosion of conformity
ハードコアとブルースのミクスチャー、なんて言い方も今ならできる かもしれない男らしく汗臭いブルースメタルバンド(ブルメタ)の 大傑作。エッジのたったヘビィにウネるギターとパワフルでしゃがれた ボーカル、タイトでバス連打がびしびし決まるリズム隊。 サバス的な古臭さをモダンな音でコーティング、激渋のギターソロまで ばっちり聞かせてくれます。かっこよすぎる音に嫉妬したジェームス ヘットフィールドも喜んで参加、恐怖のデュエットを披露してます。 中古で安く落ちてるので未聴の方は是非。(A)




follow the leader/korn
初期のハードコア的ささくれを残しながらもより変態的に、各々の 個性を確実に伸ばしながら新しい要素に挑戦して成功している 奇蹟のようなサードアルバム。だいたいKORNはセカンドまで で終ったとかいってるやつは大抵サードからKORNに入った軟弱なファン だと思うんですけど、忘れないでください。ヒップホップとのコラボレーション を再び世の中に持ち出したのも、ラップメロディ一体になった歌唱法を 生み出したのも、多弦楽器の強みを最大限に活かして新しい音楽ジャンルを 作り出したのも、このバンドだということを。(S)




three dollar bill, Yall/Limp Bizkit
KORNが見つけてデビューした、なんてこと皆は既に忘れてるんじゃ ないかと思いますが、これはじめて聴いたときの衝撃はでかかったです。 感触はすごく初期KORNに近いけど、全然こっちは軽いの。音も、感情も。 警官に追いまわされたこそドロが文句いってる感じ。チンピラが そこら中あたりかまわずツバはきまくってる感じ。同じプロデューサーで 同じような音出してるのに、こうもベクトルが違うんだなってくらい 違う。初期衝動がギッチリつまってるのでパンクな感触強くて ひりひりしたハードコアのささくれ感じたいならコレ。(A)




st/handsome
97年発表のメタルバンド。どんなバンドだったか、誰絡みだったか サッパリ忘れました。バンド名がハンサムって事でかなりマヌケかつ インパクトあるんですが、サウンドは今でいうへビィロック、当時なら グランジでしょうな。リフの質感がHelmetみたい。丁寧に メロディを追うわけでも絶叫やラップでアジるわけでもない 微妙に陰惨なボーカルが良いんだか悪いんだかわからないけど、 97年当時はそれなりにカッチョいいロックバンドが出てきたものだと 思ったとか、思わなかったとか。(C)




st/slipknot
地獄からやってきた恐怖の仮面9人組。ハードコアとかラップとか グラインドとか、全てを飲み込んだ脅威のミックスチャなんだけど、 これが凄い。無駄にテンポが速いドラム、無駄に多い手数、無駄に 叫んだりわめくボーカル、無駄にローチューニングなギター。ピーヒャラピーヒャラ お祭りサンプリングも最高。 『彼らの物凄い怨念が心にズンズン伝わって』とか、まじ違うから。 これは大笑いしながら聞くものです。『ミギャー!グオオ! パパパパパパパパパドドドドド』だぜ。ジョジョが好きな人は 必聴。(S)




Iowa/slipknot
怒涛のセカンド、Produceは当然ロスロビンソン。前作のピーヒャラ具合が 消えてサウンドもよりメタリックにタイトにラウドに。馬鹿さが好きだって ファンは相当がっかりだけど彼らのアグレッシブさは 倍増してますので、彼らのメタリックさが好きだった人には 快作となっております。ブラストがどうとか、アンダーグラウンドな メタルがどうとか、関係ないでしょ。Slipknotはいくら笑えるかだと 思う。メタルのアグレッシブさに興奮覚えながらニヤニヤする暗黒遊園地。 このマッチョで猟奇的な音世界は唯一無ニですわ。 北斗の拳が好きな人は必聴。(S)




progress/ultraspank
KORN以降のへビィロックとしてかなりのクオリティを誇る5人組。 メロディの美しさとサウンドの荒荒しさのバランスが非常に良いです。 U2のボノばりに延びのある歌声やSLAYERばりのパワフルシャウト、TOOL 系の陰惨メロディを見事に使い分けるボーカルと、良く練られたタイトな 演奏。ドロドロしたダークな曲もあればアップテンポでキャッチーな曲も ある。NINのデジタル感、KORNの激しさ、TOOLの不気味さなど、こいつらは 全てを持っている。非常に器用なバンドだっただけに解散が残念。(A)




white pony/deftones
セクシーでサイコなボーカルを要するサクラメント出身へビィロックバンドの サード。静と動を使い分けながら展開する絶叫メタル色は大きく後退し、 ジワジワと曲を展開しながら聞き手を音の洪水に引き込む彼らの個性を 強烈に出してきた作品がこれ。もはやヘビィロックなどという枠に とらわれず、Deftonesというジャンルを確立するかのような オリジナリティで説得力十分のサウンド。過剰に加工された分厚い音の 中でその波にひたすら身をまかせるのは非常に心地よい。(A)




st/korn
生々しくテクニカルなドラムと、ビキビキいいながら超低音で音階にならない音を ひびかせドラムと一体化するベースのリズム隊。二人で不気味かつ トリッキーな不協和音を紡ぎながら聞き手を不安に陥れるギター、叫び 呟き、時に泣きながら歌うエモーショナルなボーカル。音の分離も非常に 良く、一つ一つの音の息遣いがズシズシ伝わってくる。曲も非常に練られて おり、その高い技術力とのた打ち回る感情が一つになった奇蹟のアルバムだ。 多数のフォロワーを生みながら以後巨大化していくのは周知の事実である。(S)




master of puppets/metallica
メタリカ古株ファンの中で多分一番人気が高いサードアルバム。 気が滅入る芋掘りリフが全編を支配して、ラーズの上手いんだか 下手なんだかわからないけど勢いのあるドラムが疾走していきます。 1曲1曲が長くそんな中で分厚いリフで辺拍子をビシバシきめながら (ビシバシという言葉がピッタリ)どんどん 展開していく様はめちゃめちゃかっこいい。スコスコしたベースの音も 個人的に大好き。美旋律を絡めた スラッシュメタル、という評が多いですが僕はこのテクニカルと 勢いが一体になってるところ凄いなぁと思います。(A)




whisper supremacy/cryptopsy
今ならカオティックに入れても良いかな、と思ったけど名前もジャケも デスメタルなのでこっちでレビュー。激しくテンポを変えてトリッキーな リフでどんどん展開していくタイプのグラインド・デスメタです。こんな音楽構築しなきゃ いけないなんて、よほど辛い幼年期過ごしてきたんでしょうな。精神 破綻してるよ。アホみたいにフレーズつめこんだり転調してもまったく ヨレず、っていうかリズムマシーンみたいなドラムにはただただ呆気に とられるばかりです。途中で入ってくる耽美なフレーズもグー。(B)




S&M/metallica
いやあ、本当凄い。クラシック好きのメタリカ好きは絶対買え。って、 当たり前の事しかいってないんだけどさ。初期の彼らの曲がこれだけ オーケストラと相性良かったとはね、って感じ。小沢征爾よか今は マイケルカルメンでしょ!特にスターウォーズ!?って感じに物凄い 高揚リフで始まるMaster Of Puppetsの『フーヨェー!』には マジでしびれた。ジェームスはやったら歌うまいし、演奏はカッチリ してるし、ライブだけど音はアリエナイくらい良い。観客の声もバッチリ 収録して臨場感タップリです。 これだからメタルはやめられないぜ!!(A)






モドル