エモロック/エモコアレビュー

(S=激YAVA!、A=素晴らしい B=中々良い C=普通 D=イマイチ E=駄作)


miniature portraits/five style
トータスのドラマーやEuphoneのギタリストが在籍するスーパー インストバンドはSub Popから。インストってことで、あぁあっち系の エモっぽいのね、と思われるかもしれないがこれはちょっと違って、 ポップ&ファニーなパーティーインストロックバンドなんです。 不可思議なビートを淡々とたたきだすドラマーと、ディレイがゆるく かかったファンキーなギターの相性が絶妙に良く、ギリギリのラインで 馬鹿っぽくならない。ほんと、ダサオシャレに仕上がってますよ。 聞いててトキメキが止まらない、玩具箱のようなアルバムです。 暑苦しいインストエモに疲れた貴方は是非。(B)




s.t./an automotive
元joan of arc〜ghosts and vodkaのベーシスト、Eric Bocekの ニューバンドのデビュー作、レーベルも当然six gun loverです。 ギター、ベース、ドラムとシンセ、鍵盤というポストロックな 編成ですが、音の方もまさしくシカゴインストロックそのもの。 疾走感溢れるpele系の曲から壮大にじわじわ展開する音響チックな曲、 歌ものポップまで幅が広いのでちょっとえげつなさを感じてしまうけど、 そういう経歴の人のバンドだから当たり前なんだよね。 ghosts and vodkaやjoan of arc、peleやtortoiseなんかのシカゴ系は大好きって人は ハズせないでしょう。(A)




teaching the history of teaching geography/pele
来日にともない再発された(左のジャケは古い方)Peleのファースト アルバム。ベースが今と違うしキーボードも加えた4人編成なんですが、 やっぱりPeleはPele。聞けばすぐわかる彼らならではの爽やかでジャジーな インストロックを展開しています。現地点での新作the nudesがインプロだった のに比べ、 こっちは全体的にちゃんと作られている為ちょっと大人しく感じるのも 事実。だけどやっぱり5番みたいなメロウに疾走する曲は彼らならでは だし、キーボがこれだけ相性良いという事も再確認できました。新作までの つなぎって事で。(B)




american don/don caballero
いわゆるpeleやghosts and vodkaなんかに代表される爽やかなインストエモ と同類に分類されるであろうドンの新作。 トリッキーなギターや動きまくるベースライン、 手数多めのドラムというと皆さん軟派なジャズチック、シカゴ音響生演奏 派ね、とか思うかもしれませんが、彼らはそういうスタイルでありながらも 心地よさよりもカッコよさがびしびし伝わってくるんですよ。 だから聞いてても眠くならないんですね、むしろ興奮するんです。 もしかしてハードコア、メタルバンド出身の人達なのかな。 男気溢れる気合の入ったインストエモ、大推薦盤。(A)




battle champions/dianogah
ツインベースとドラムでエモ音響ぶちかましてくれる スリーピースインストバンド、当然シカゴ発。この作品は 聴けばすぐわかりますが アルビニProduceなので、Peleなどの軽快な爽やかインストではなく、 ヒリヒリとしたハードコアな触感の中でベースのアルペジオがいやーな 感じに絡んで低めの温度で進んでいく感じ。 曲によってはギターやピアノ使ってたりボーカルが入ってたりするので シンプルながら楽しませてくれます。ちなみにこの次のアルバムでは ジョンマッケンタイア(Tortoise)がプロデュースしているそう。いいなあ。 (B)




TNT/tortoise
『最近のテクノってJAZZ入ってるから苦手なんだよなあ』とかいう話を 先日電車で耳にした。きっと彼らはこのTortoiseのようなバンドを指して いっていたのだと思う。しかし彼らはテクノでもJazzでもなく、強いて いうならポストロック。先鋭的インストロック集団だ。全ての音を ProToolsにぶち込んで再構築という新しい手法が大絶賛された今作だが、 そんな事よりも歌なしでこれだけの世界観を描き出す彼らの表現力を 大きく評価したい。美しく響く鉄琴と木琴、反復されるビート、音階でなく 曲の色を変化させる曲展開。素晴らしい楽曲に身を任せたい。(S)




heal all monsters/honey for petzi
アルビニが手がけるドイツの3人組でインスト中心。 ドラムの音がShellacのようなんだけど、カラっと乾いたギターの反復 されるフレーズの中で歪んだ和音ベースとドラムが ラウドに曲を進めていきます。こういうバンドにありがちなどんどん 拍子を変える長い曲スタイルではなく、どの曲も短めでコンパクトに まとまってます。スローな曲は初期Mogwaiなんかを彷彿とさせるが、 アップテンポな曲にこそ彼らの真髄が見えるのでは。半端なく かっこいいです。(B)




st/サンガツ
ジムオルークProduceのツインドラムツインギターベースの5人組インスト エモバンド、日本発。1曲10分以上という長い展開の中でリズム隊を軸にどんどん 展開していく感じ。TOEやPeleなんかと違ってキャッチーでコンパクトな 仕上がりではなく、長く壮大な曲展開。ライブは凄いんだろうけど、 CDで聞くとイマイチたるい瞬間が多々あるのも否めない。彼らの表現 したいもの、世界観を音源に投影するにはもっと金が要るんじゃないか、 と思った。Tortoise以降の生演奏ポストロックはどんどんこんなバンドが 出てくるから面白い。(B)




dreams signals in full circle/Tristeza
ハードコア集団のメロディ開花ってのは今更新鮮なネタでなくなった けど、このTristezaも今までハードコアやってたんだけど Tortoise聞いて人生変わっちゃいました、みたいな転換期を 経てビューティフルなインストロックをはじめちゃった、かどうかは 知りませんがそんな音。空間系のギターの音色が美しい インストなんだけど、質感が非常に人工的なんだよね。 人間の手によって完璧に再現された美しい森なんだけど、よくみたら 全部作り物だし生物は一切いない、みたいな。いくら綺麗でも、なんだか 癒されないなー僕は。(C)




songs, ideas we forgot/TOE
Reachのドラマーを含む日本のインストエモロックバンド、ファーストEP。 Nine Days Wonderでお馴染みのCatuneからの発売。Peleだとか Ghosts And Vodkaを彷彿とさせる爽やかなインストが心地良い。 2本のギターが美しく絡み合う中でその隙間をぬうベースと、 ラウドで生々しいドラムが加速していく。つーか小技炸裂しまくりの ドラムが、ちょっと良すぎます。 名曲I Dance Aloneを始めて聞いた時は感動して彼らの虜になりました、 これマジ聴け。 春の間聞きまくりたい一枚。(A)




precious blood/ghosts and vodka
CapNJazz解散後、JOAにもPromiseRingにも行かなかったビクター が結成したインストエモロック。彼がOwlsにも参加してるのは 周知の通り。インスト版Nahtと 言われてますが、たしかにクサいです。でもボーカルなしなので おしつけがましくない。美しいアコギの曲もあれば疾走するエモな 曲もあり、Owlsとはまた一味違うビクターの複雑なギターワークには ただただ圧巻。音質があまり良くないのが残念だけど、インストエモ 好きは絶対買えってくらいにクオリティ、オリジナリティ高し。(B)




mokoohdi/mice parade
Dylan Groupのドラマーのソロプロジェクトとして始まり、気付いたら 6人編成になってたMice Parade。 物凄いリズム感で正確無比なマシーンのように刻まれるドラム(人間とは 思えませんよマジで)の上に 空間系の無機質なシンセや生ギター、暖かい管楽器、そして民族系の楽器が 重なっていきます。広がってる世界観は無限大。 質感は冷たいけど淡々としてないところが好き。 音楽もここまで到達したんだなぁ、 なんて妙に感心してしまいました。 『ポストロックなんてテクノだろ!あんなんロックじゃ ねえよ』っていう人でもこれは聞けると思う。(A)






モドル