エモロック/エモコアレビュー
(S=激YAVA!、A=素晴らしい B=中々良い C=普通 D=イマイチ E=駄作)
Reverse Eclipse/Geoff Farina
Karateのボーカリスト・ギタリストであるジェフのセカンドソロ。
てか、なんですかこれは。良すぎじゃないですか良すぎじゃあないですか!!
ボーカルとバッキングとソロのギターしかはいってないんですが、
あくまでロックであったKarateという枠が外れた彼がプレイするのは
まぎれもなくJazz。夜明けにしっとり聞きたい美しいソロと
見事なリズム感を披露するバッキング、そしてKarateでも健在の
極上なきボーカルが存分に聞けるこのアルバムを聞かずして
Karateファンを名乗るべからず。ああほんと素晴らしいアルバムだ。
ジェフさん一生ついてくよ。(S)
Believe it mammals/Bats and Mice
EPの時はEngineDownのギターが在籍、400yearsや
sleepytime trioのメンバーが在籍するBats and Mice待望の
ファーストです。簡単に音を説明するとダークなミドルテンポの
不協和音ポストハードコアなんですけど、こいつらの個性は
『煮え切らないところ』でしょうか。ほんっと煮え切らない。でもそこが
良い。
ジメジメとインディー臭を漂わせながら進んでいきます。
そこからじわりじわりと放出される狂気のグルーヴと
冷たく温かい質感を感じ取る事が出来たらもう彼らの虜ですよ。
深化したEngine down、というのはエンジンダウンに失礼かな。(A)
one bedroom/sea and cake
『音響』『ポストロック』とは結局なんだったのか。この言葉が生まれて
ずいぶん経ちましたが、皆が納得するような答えをだせる人は
いなかったように思います。その答えはこのアルバムにあります。
聞えてくるのは軽快なリズムにのった美しいメロディ。あえて
いわせてもらえば、ただのポップスです。それが素晴らしく良い。
既存にとらわれない音作りや大胆なコンピューターの導入は、新しい音楽
を生み出すためのものじゃなくて、良い音楽を生み出すためのツールでしか
ないはず。そしてこれこそが究極のポストロックなのだと僕は声を大にして言いたい。
(A)
do dollas/mclusky
アルビニという男は時に金が絡んでるとしかいいようがないバンドに
やっつけ仕事をするから、このバンドもそうなのかなと思ったけど、
そうでもなかったMcluskyのセカンドです。一言でいうとグランジ。
Nirvanaのユーテロの音でPixesがレコーディングしたらこんなだろって
感じ。凄くかっこいいんだけど、それだけ。孤独なヒーローの叫びは
どこにもない。こういうバンドが出てくるたびにNirvanaが恋しく
なるんです。今カートがいきてたらどんな音楽やってるんだろうとか
、このバンドきいたらどんな風に思うんだろうとか考えちゃう。
話がズレてるのはわざとです。(B)
in place of real insight/karate
溺愛してますジェフファリナ率いるKarateのセカンド。
当時は4人組でギター2本です。
クリアトーンで美しい泣きメロってとこは今と一緒なんですが、複雑なコード
遣いだとかリズムの組み方はポストハードコア、エモといっても良いくらい
ロックロックしてて意外だけどカッコイイ。2番なんてI can't remember!!とか
叫んでるし。当然今のKarateのようなアダルトJazzな雰囲気はあまり
感じられず、比較的普通の音に聞えるかな。ファンからは駄盤扱いされそうなアルバムではありますが、逆に
初心者はこれからはいったらKarateというバンドが見えやすいかも
しれません。(B)
Riot for Romance!/No Knife
オルタナ版gang of fourといったところでしょうか。ニューウェーブ
パンクとでもいいますか。サンディエゴ発、インディーの大御所
No Knifeの新作です。ちゃきちゃき
絡み合うギターとタイトなドラム、ぶっとく歪んだベースラインというのは
最近ではもはや珍しくもなんともないんですが、さすが10年選手。
クオリティ馬鹿高で曲が良すぎなんですよね。ここでこの音が!という
期待通りのプレイと、こんなかっこいい展開が!という驚きのプレイが
そこら中に溢れています。アルバム
タイトルも最高。きっとナンバーガールはこんな風に
なりたかったんだろうな。(A)
highly refined pirates/Minus the bear
BOTCHとかのメンバーが集まったスーパーグループらしいMinus the bearの
ファーストアルバム。同じくニューウェーブはいったインディーパンク
なんですけど、これはめちゃめちゃオシャレな感じ。最近でたnine days wonderの
新譜に似た曲調です。ギターがピラルク〜ピラレリ〜となってる
裏でドラムがドッチリドッチリチリチリドッチリ。キーボードが
ピコピコ。ボーカルはちょっぴりシンミリめです。
ジャケットだってイケてるよ。なんだかカタカナばかりの
レビューになっちまいましたが、素敵よコレ。とても綺麗な音像で、
Peleなんかに近いとこもあり。(B)
change/the dismemberment plan
ハードコア、ニューウェーブ、オルタナ、テクノ、ポストロック、音響。
全部混ぜてポップのスパイスを振りかければこのアルバムが出来あがるんじゃ
ないだろうか。それでいて彼らがすごいのは、ただの楽器志向な
頭でっかちインテリロックにならないところ。どうこういわなくても、
『素晴らしいバンド』の一言で済むと思う。
ボーカルだけじゃない、すべての楽器が歌ってる。だから歌メロだけじゃ
なくて全ての楽器のフレーズが強烈に耳に残る。
ポップ&キャッチーの神が降臨してるよ、マジで。くるりもこれ聞いて
嫉妬に塗れたんだろうなぁ。(S)
demure/engine down
大好きなエンジンダウンのサード。
前作からのメロウ&激情エモなところは変化なし。
全体的にギュっとタイトになったのは、ボーカルを主軸として
一つ一つの楽器が意識的に音数を減らし、個々のプレイよりも
全体としてまとまったパワフルな音を生み出そうとした結果では
ないだろうか。ちらっと聞くとサッパリしすぎた感もあるこの
新作だが、良く聞けば前作とは比べ物にならないほどの破壊的な、
彼ら特有のグルーヴを発生させている。絶叫などなくても、哀愁ただよう
メロディを中心とした唄モノであっても、この音楽は間違いなく
ハードコアだ。(S)
no good for no one now/owen
OWLS、american footballのキンセラ弟、マイクさんのソロ名義OWENの
セカンドです。ファーストとは結構違って生音オンリーですが、
アメフトのような変拍子ポストロック的な要素はあまりなくて
美しく織り成すアコギと唄が主体。それほど多くの楽器を使っている
わけではないのですが、一つ一つの重ね方が見事としかいいようが
ないほど流麗で感動的。その美しい旋律の上で静かに
歌われる素直で聞き手の心に染み込む歌詞とメロディは、寒い冬に
至福の一時を与えてくれます。こういう作品にめぐり合う度に、音楽
聞いてて良かったと思う。(S)
one by one/foo fighters
安定して素晴らしい作品をとどけてくれるFoo Fightersの新作。
デイブは今までにないくらい『かっこいいロック』に挑戦
しています。
メロディとコード展開のダイナミズムで生み出す高揚が売りだった
今までのスタイルにプラスして、楽器同士をテクニカルに絡ませる
最近のポストハードコア的な手法が見られるようになりました。
それが彼らのグルーヴと非常にマッチしているんですよ。だからこそ
こんなにかっこいいんだな。
相変わらず楽曲の出来不出来が激しいので、どうでも良い曲が半分くらい
収録されてますが、頭3曲のインパクトは半端ねーです。(A)
different/Q and not U
Dischordの看板バンド、Qさんのセカンドは今回もイアンマッケイが
手がけています。ベーシストの脱退によりツインギターの片割れが
ベースに転向、スリーピースに変わった彼らの1作目ということで
注目してたんだけど、あまり好きでないです。ツインギターツインボーカルの
ぶちギレ疾走カオティックパンクの勢いとハンドクラップいれちゃう
アホポップ感が彼らの持ち味だったのに、両方薄れちゃった。
いんちき臭さ、うす汚さが消えてるんですよ。なまぬるい。
作品としてはかなりクオリティ高いのかもしれないけど、あの無我夢中の
衝動感がないのは寂しいなぁ。(C)
10 songs/friend enemy
ティムキンセラのニューバンドですよ。元joan of arc、90 day men、
sunnyday real estateなど、大物が沢山ゲスト参加しております。
もう期待どおりのポストロックエモ!最高!といいたいとこですけど、
これはむしろ上級者向けの非常に難解な作品なのかも。
ティム流カオティック
ハードコアなんでしょうか、使っている音は美しくペダルスティールが
さえまくったビューティフルロックなのに、その全てが不協和音として
機能して最低最悪のカオスを生み出すグロポップになってるんです。
精神異常者の頭の中を除いてしまった
感覚に襲われる。(B)
モドル
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