エモロック/エモコアレビュー
(S=激YAVA!、A=素晴らしい B=中々良い C=普通 D=イマイチ E=駄作)
sugar/aloha
ポストtortoise+唄心、polyvinylレーベル所属のaloha待望の
新作。前作はしっとりとしたナンバーが多くて癒し系
だったんですが、新作はロック感が強くなってます。頭から疾走する
ドラムが心地よいナンバーなんですが、やっぱりそこはaloha。異様な
ムードを作り出すビブラフォン、ノイズだしてるだけのギター、淡々と
響く鍵盤、疾走してもジャズなリズムで曲を形作るドラムなど、一筋縄
でいかないサウンドを構築してます。やりたい事の
マトが絞れた感じで、alohaとしかいいようがない音世界の創造に成功した
意欲作。(A)
kid A/radiohead
問題作といわれたradioheadの4枚目。しかし実際は問題作でも何でもない。
歪んだギターがないテクノになった迷走している、色々悪口いわれて
ますけど、何いってんだボケが。このアルバムの凄いところは、シーンに
風穴をブチあける斬新な手法でも、ましてやトムの精神性でも何でもなく、
ひたすら曲につきる。バラエティに富んでいながらどれもクオリティ
馬鹿高い名曲がギッチリつまってるのが凄いんだよ。そもそも
radioheadが革新的なバンドだった事なんて一度もない、いつも後追いだ。
それでもこれだけ支持されているのは、素晴らしい曲を作り続けたから
だよ。(S)
this=everything/national skyline
HUMのベーシストのソロプロジェクトとして始まったバンドの
セカンドアルバム。タイトルもバンド名もRadioheadっぽいけど、音も
Kid Aに近いかな。ただ、影響うけたんじゃなくて、音響志向を推し進めた
結果似てしまったんじゃないでしょうか。全体的な志向は
エモ+音響+ニューウェーブ、って感じ。オリエンタルなギターの
アルペジオが延々と繰り返される中で、広がって行くフィードバック音、
淡々と刻まれるテクノビートと、その上に浮遊する高音ボーカルによって
構築された無機質な音世界の中で身を任せるのは快感です。(A)
the afternoons malady/jejune
男女ツインボーカルのエモエモなスリーピースといえば彼らですねの
Jejune。これほどバンド名と音がピッタリくるのも珍しいってくらいに
未熟な初々しさ満載。
ボーカルのハモりと切なさ激情のギターがすんごい泣けます。
初期MineralやElliottなんかに代表される、弱々しく儚くも
力強いふにゃふにゃ感がそこここに満ち溢れてるんだよね。
パワフルで繊細な名曲1と2で圧倒され、
3以降のキュートで寂しいポップなメロディの曲にウルウル。
青臭さがつまった青春の1ページ、貴方も開いてみませんか?なんて。
(B)
the art of disappointment/benjamins
エモレーベル、Drive-Thruから登場の、WEEZERだ!!て感じの4人組。
黒ブチメガネが2人もいます。曲もポップでノイジーな、いわゆる
パワーポップ(懐かしい言葉)なんだけど、初期WEEZERと違って
カッチリしてるしメロディもしっかりしてるし、って事であんまり
僕の心にはひっかからなかったわけです。こういうジャンルの音楽
ならなんでも好き!っていう人にはたまらんバンドなんだろうな、と
思いました。あと、最近のWEEZER好きな人は買ったら良いと思う。
僕はOZMAの方が好きだなー。(C)
the californian/sunday's best
polyvinylレーベルとしては意外なほどストレートなロックを奏でる
4人組、セカンドアルバム。タヒチ80ばりに中性的で
甘く、ポップなんだけど哀愁はいったボーカルを全面に
フィーチャーしつつエモのダイナミズムが
炸裂してます。全体的に前作より若干曲がスローダウンして、もう本当に普通の
ロックになっちゃいました。前作ではドラムがサビで力いっぱい歌う
意味のわからないコーラスがあったんですけど、
不評だったみたいですっかり綺麗になくなりましたよ。
全10曲、色々なタイプの曲があってどれもクオリティ高いです。(A)
to bury within the sound/engine down
エンジンダウン、なんて直球ハードコアを彷彿とさせるバンド名ですが、
実際は哀愁と切なさ漂う、スロー〜ミドルテンポ主体のダークな
ポストハードコアバンド、
2作目。Mogwaiなんかに代表される不気味で悲しげなギターが2本絡み
あいながらジワジワと力をためてスローに爆発して行く感じの演奏
と意外なほど上手くて表現力のあるボーカルがベストマッチです。
戦争があった後の焼け野原で一人たたずんで、静かに泣いてる感じ。
RadioheadのPyramid SongとかHow To Disappearみたいなダークで憂鬱な
メロが好きな人は聞いて見てください。
(A)
home/Josh Rouse
エモコアバンドのボーカルのソロ!ってくらいに声が青春哀愁エモ系な
Joshさんのセカンドアルバム。さっぱりしたアコギを中心に、味付け程度の
ピアノや空間系エフェクトかかったギター、木琴なんかが入ってます。
全体的にどの曲も地味なんだけど甘酸っぱくて青春してますよ。
中でも、爽やかにちょっぴりホロ哀しく疾走する3番なんかは
ラジオヒット間違いなしのポプーでキャチーな名曲です。
エリオットスミスとかジェームズイハのソロ
(あそこまでフラワーじゃないけど)が
好きでギタポ系クラブとか行っちゃうような
女のコは必聴。(B)
he sang his didn't he danced his did/Tim Kinsellas
joan of arcやowlsの中心人物であるティムキンセラのソロ。
アコースティックで変なコードを彼が延々と弾き語りながら
相変わらずの彼らしい歌詞とメロディを淡々と歌ってます。
スタジオで彼がなんとなく弾き語りしてるのをそのまんま録音して
1枚のアルバムにまとめた感じ、というと乱暴かな。で、これが
素晴らしく良いんです。特にJoan Of Arcに多く見られる彼の美しい
側面が全面に押し出されて、切なくて哀しくて潔癖な感じが
凄く良く出てます。相変わらず彼の声は、音楽なんて聞きたくないって
気分の時に一番フィットするんだよなあ。(A)
downward is heavenward/HUM
スマパンに強く影響を受けて結成されたHUMの
最終作は、やっぱりスマパンなんだけどその中でどんどんクオリティを
高めて自分の音にしてしまったなぁという感じ。ギターを何十も重ねて
繊細かつ分厚い音を作りだして、その中を揺らめくように切り裂くように
リードギターが浮遊する。作りこまれた緻密な音世界は
凄まじく、それにのる優しいボーカルがまたぴったりマッチしてて良い。
ジェームスイハがビリー無しでスマパンを再結成したらこんな感じに
なるんじゃないかなあ。かなり作りこまれてるので、良いオーディオで聞いてください。
(A)
モドル
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