●ネズミに噛まれて
仕事上トラックに乗って走り回る日々。結構しんどい仕事である。
畳の配達なのだ。重さ40キロぐらいの畳を団地の5階まで12枚運ぶ
のは冬といえど汗が止まらない。
朝、大将にもらう1日の段取り帳、、それを終えないと仕事は終わらない。
時間との闘いでもある。少しでも早く現場に着きたい。だが障害物は多々ある。
・・・・その日は朝から気分が晴れなかった。何事もどうしてもうまく
いかない日というものが必ずある。何をやってもうまくいかないのだ。
そんな悪運日が襲った今日、、、道路工事で迂回させられ大幅にタイムロス。
通りなれた道に少しでも出て少しでも時間を短縮しようとアクセルを強めに
踏んだ。すると何やら黒い車が背後についたと思った瞬間、赤いランプを回転させ
我がトラックに停止を求めた。覆面パトカー……パトカーに乗せられ見せられた数字は80…ここは最高速度60キロという道だった。20キロオーバーだと語るポリ様は微笑んだ。いつもならネズミ捕りやオービス、覆面パトカーなどには細心の注意を払っているのに、この日は気分が優れなくうっかりしていたのだ。
罰金の話を聞き…時間は阻まれ、財布は軽くなり、気分は深海よりも闇が覆った。
まぁ自分が悪いのだから仕方ない。こんな場合はどんな言い訳も通用しないし、事故をおこさないように神様からの忠告だな…とこの先の安全運転を誓ってパトカーに別れを告げた。
さて…残りの仕事を早く終わらせよう!と前向きに切り替えて気持ち新たに無意味に
爽やかにトラックを走らせた!!走り出して約200メートル、、、、、、、
止まれの旗をふった警察が道を誘導する。向かった先で聞かせれたのは20キロオーバーで違反、罰金という話だった。。。
ネズミ捕り……魂が枯れたような僕のまぁるい点の目に映ったのは、免停の現実と貯金通帳の記憶、5分前の思い出、そして沈みかけている眩しい太陽だった。