●冬季ゲロマラソン
高校時代、真冬にマラソン大会なるものが行なわれた。
おおげさにも陸上競技場を貸しきって。。。
もちろん憂鬱である。休もうと思えば休める。しかし休んだものには後日放課後に学校外週をマラソン大会と同じ距離を走らされる。
先生方はおおかた9割くらいサボるであろう生徒達にビビっていたのである。
競技場を借りたのに30人程度になる寂しさを恐れていたのである。
そこまでして・・・走らせる意味を問う・・・
当時サッカー部に所属していた。ある日のミーティング、サッカー部全員マラソン大会で49位にはいること。連帯責任で一人でも50位以下なら
全員で坂道ダッシュとボスが言った。そんなバカな。とっさに思ったのは「みんなゴメン」である。決して得意ではないマラソン。サッカー練習前の
軽いジョギングで吐き気を催すのに、10何キロも走りきることは未知の領域である。体力を持ち合わせていないのである。
とにかく目標に向かって走るしかない。。
当日、スタート待ち、、帰宅部の太っちょに一緒に走ろうと誘われた。丁寧に断ってもう1人の太っちょを紹介してあげた。2人仲良く走るらしい。
そして待ちに待たないスタート・・・一斉に競技場を出て行く。。。
さて、どれくらい走ったのか、何位なのか、、、「あと2キロ」看板を抱えた先生に指差され、50番と言われた。これは・・・目の前にいる奴をなんとしても
抜かないと!初めてマラソンに面白さを感じた瞬間であった。でもそんなこと感じてる場合じゃなく、とにかく1人抜きせねば。
最後1キロは競技場内、、追い抜きをかけようと、49位にピタリとついた。
そして競技場in。振り絞る力、限界を超えた足の回転・・・
スタンドからは走り終えた女のコの黄色い声援・・・
ゴール手前100メートル・・・
パンク寸前の全身・・・そして吐き気・・・抜いた!!!
49位のまま・・・このまま・・・
このままゴールに。あと200メートル・・・勝ちを確信した10メートル手前。
「野原君頑張れ!!」
スタンドから飛んだ可愛い子の声援に手を上げて応えた瞬間・・・吐き気の我慢という糸がプチンと切れたように、どうしようもなく、どうしようもなくゲロが吹き飛んだ。
手前5メートルである。失速。。・・抜・・・虫の息でゴール・・・。
背中に50のシールを貼られ・・・達成ならず、、、ゲロ止まらず。。。とてもダサい。。スタンドを見上げることは出来なかった。
そして何より部員の眼差し。
ゲロが止まった頃、最下位争いの2人が競技場入りしていた。一緒に走ろうと言って来たデブと紹介したデブ。競技場入りして、
急に最下位が嫌になったんだろう、片デブが裏切ってダッシュしはじめた。これまた抜きつ抜かれつ・・・我が心が無色のままデブ2人のデッドヒート
でマラソン大会は幕を閉じた。
帰りに「50位はセーフかと思ってた」という言い訳虚しく、全員にボスからダッシュを命ぜられた。